2019/05/11 松本たかし句集成 (その4) - 菜花亭日乗
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菜花亭日乗

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2019-05-11 (Sat)  21:51

2019/05/11 松本たかし句集成 (その4)



(901)    大空に莟を張りし辛夷かな
(902)   
水垢と椿と吹かれ別れけり
(903)   
山栗の大木のあるなつかしき
(904)   
厩ある姥子の宿の秋の暮
(905)   
ぢり/\としぼむ芙蓉やむし暑し
(906)   
秋の山縁広ければ臥して見る
(907)   
やう/\に三の鳥居や初詣
(908)   
風ふけば流れる椿まはるなり
(909)   
橙の大木にして避寒宿
(910)   
鉄の甲冑彳てる暖炉かな
(911)   
干茸に時雨れぬ日とてなかりけり
(912)   
つくばひにこぼれ泛めり杉の花
(913)   
追ひかけて届く鯛あり大晦日
(914)   
卒然と風湧き出でし柳かな
(915)   
こぼれ萩受けてあたかも浮葉かな
(916)   
雪沓をしつかと着けぬ吹雪きをり
(917)   
避暑町の少しさびれぬ花木槿
(918)   
裏白のからびまろまり藁を纏き
(919)   
初冬や龍胆の葉の薄紅葉
(920)   
桑原を飛びつつ雲のさみだるる
(921)   
うす青き銀杏落葉も置きそめし
(922)   
はからずも旭川翁と御慶かな
(923)   
杭の蜷ほろ/\落つる夕日かな
(924)   
全山の葛のしじまの破れざる
(925)   
枯菊に日こそはなやげまぐれ雪
(926)   
蝋涙に肩打たれたる十夜かな
(927)   
割竹を編んで敷いたり庭の春
(928)   
時雨るゝと著せたまはりし真綿かな
(929)   
今日となり明日となりゆく石蕗の花
(930)   
蓆戸を上げて顔出す鳥屋の主
(931)   
たまに居る小公園の秋の人
(932)   
ストーブの口ほの赤し幸福に
(933)   
越後路の軒つき合す雪囲
(934)   
納屋の屋根山につかへて落葉積む
(935)   
足もとに来る芝火を踏み越えぬ
(936)   
夕霞片瀬江の島灯り合ひ
(937)   
飲食に汚れし爐邊や草の宿
(938)   
絶壁につららは淵の色をなす
(939)   
曼珠沙華つゝがなかりし門を出づ
(940)   
柿の木に籠をくはへて登りけり
(941)   
プレゼント大きく軽し毛糸ならむ
(942)   
柿日和浄明寺さまてくてくと
(943)   
でんがくと白く抜いたり赤暖簾
(944)   
うち透きて男の肌白上布
(945)   
避けがたき寒さに坐りつづけをり
(946)   
山間の打傾ける枯野かな
(947)   
真白き障子の中に春を待つ
(948)   
静かなる自在の揺れや十三夜
(949)   
夏萩のとぼしき花の明らかに
(950)   
旅先の軽き恙のそば湯かな
(951)   
枯木中行きぬけたりし雲一つ
(952)   
枯桑の向ふに光る茶の木かな
(953)   
前山に雲みてかげる庭芒
(954)   
氷食ふ二階の欄にまたがりて
(955)   
避暑人の佇む海人が門火かな
(956)   
月高く炉火さかんなれ十三夜
(957)   
藪中の空溝深し竹落葉
(958)   
春月を濡らす怒涛や室戸岬
(959)   
炭斗の出てゐし部屋や秋の雨
(960)   
三河女と早苗取ろうよ業平忌
(961)   
三度来て水仙咲きぬ瑞泉寺
(962)   
菖蒲田の夕日に浮ぶ花となりぬ
(963)   
人形なき廊下の菊に憩ひけり
(964)   
遅れゐし雪どつと来し椿かな
(965)   
春昼やものの細かき犬ふぐり
(966)   
青笹に冰れる水の岐れけり
(967)   
乗鞍は凡そ七嶽霧月夜
(968)   
夏まけとかくしがたなくやつれけり
(969)   
籠二つ地に在り雲雀空にあり
(970)   
木洩日にうなづき止まぬ椿かな
(971)   
花静か天守の人語聞えつゝ
(972)   
時雨傘開きたしかめ貸しにけり
(973)   
夜遊びや炉辺から炉辺にたちまはり
(974)   
山国の藁塚木菟に似て脚もてる
(975)   
一ト火あり又一ト火あり冬山家
(976)   
とつぷりと後暮れゐし焚火かな
(977)   
茸山の深き落葉に藁草履
(978)   
徐ろに黴がはびこるけはひあり
(979)   
向日葵に剣のごときレールかな
(980)   
京言葉大阪言葉濃白酒
(981)   
棧も今は安けし葛の花
(982)   
踏青や野守の鏡これかとよ
(983)   
一人とる遅き朝餉や梅日和
(984)   
我癒えて今春草を踏み得たり
(985)   
行人や吹雪に消されそれつきり
(986)   
春水の浮き上り見ゆ木の間かな
(987)   
誰をかも待つ身の如し春炬燵
(988)   
枯蔓の吹つ切れてゐる椿より
(989)   
花過て山吹咲る木陰かな
(990)   
山の端に庵せりけり薄紅葉
(991)   
蘆を焼く火先を追うて人走る
(992)   
足袋をぬぎ袴をとりて涼しけれ
(993)   
ものの芽のほぐれほぐるる朝寝かな
(994)   
鳳来寺祭群衆紅葉冷え
(995)   
身を包む月の浴衣や世は情
(996)   
卒業を控へて遊ぶ物芽かな
(997)   
コスモスの家また浮ぶ雨の中
(998)   
雪山と降る白雪と消し合ひぬ
(999)   
毎日の朝寝とがむる人もなし
(1000)  
杉葉もてもさと葺いたり小鳥小屋
(1001)  
縁端に放りおこしたる円座かな
(1002)  
秋風のユーカリ大樹吹きしぼり
(1003)  
取散らす几辺なれども福寿草
(1004)  
洗髪乾きて軽し月見草
(1005)  
よき櫛の我が身と古りぬ木の葉髪
(1006)  
白猫の綿の如きが枯菊に
(1007)  
鳥おどし動いてゐるや谷戸淋し
(1008)  
冬耕の牛と一日吹きさらし
(1009)  
沈丁の香の強ければ雨やらん
(1010)  
霰打つ暗き海より獲れし蟹
(1011)  
我宿のおのづからなる冬至梅
(1012)  
木曾谷の奈落に見たる銀河かな
(1013)  
麗や皆働ける池の鴨
(1014)  
貝寄の風に色あり光あり
(1015)  
日がな居て取散らしたる炉辺かな
(1016)  
草堤に坐しくづをれて春惜む
(1017)  
塵捨てに来て跼みけり水温む
(1018)  
すかんぽを皆くはへて草摘めり
(1019)  
稲妻の四方に頻りや山の湖
(1020)  
遠き家のまた掛け足しし大根かな
(1021)  
冬浪の日かげりければ帰らばや
(1022)  
秋晴に虫すだくなる谷間かな
(1023)  
よき炉火と我とのみあり宿の春
(1024)  
炉べりより見返ればあり吊し柿
(1025)  
相抱く枯葉二片や落ち来る
(1026)  
月やさし葭切葭に寝しづまり
(1027)  
炉開けば遥かに春意あるに似たり
(1028)  
八方に山のしかかる枯野かな
(1029)  
だまされて遠道を来し霞かな
(1030)  
古雪の凍しが上に落椿
(1031)  
枯れつゝもそれとしるしや吾亦紅
(1032)  
寺共に七八戸在り露の谷
(1033)  
飼屋のぞけば女房顔を恐うしぬ
(1034)  
下萌ゆと思ひそめたる一日かな
(1035)  
行交や蛙月夜の廓道
(1036)  
風吹けば流るゝ椿まはるなり
(1037)  
落ちかかる夏座布団や椽のはし
(1038)  
ほのぼのと泡かと咲けり烏瓜
(1039)  
肱のせて窓に人ある芭蕉かな
(1040)  
銀河濃き夜々ひたすらの船路かな
(1041)  
初午や盆に乗せくる小豆飯
(1042)  
春潮の底とどろきの淋しさよ
(1043)  
芥子の芽や夕一時明らかに
(1044)  
啓蟄に伏し囀に仰ぎけり
(1045)  
いつしかに失せゆく針の供養かな
(1046)  
鶺鴒の歩き出て来る菊日和
(1047)  
初富士に往来の人や富士見町
(1048)  
こと古りし招魂祭の曲馬団
(1049)  
脱ぎ懸けし帷子月のおばしまに
(1050)  
酒沸いて小鳥焼けたり山は晴
(1051)  
くきくきと折れ曲りけり蛍草
(1052)  
鶲鳥はなやかならず赤きかな
(1053)  
打ち止めて膝に鼓や秋の暮
(1054)  
草の戸の開いて洩る灯や鬼やらひ
(1055)  
春の灯のつらなる廊下人も来ず
(1056)  
水仙の途絶えて花をつゞけゝり
(1057)  
毛布あり母のごとくにあたたかし
(1058)  
二つづゝ放り出しけり早苗束
(1059)  
芋の露姥子の宿ははや寝たり
(1060)  
干柿もおひ/\甘き炬燵かな
(1061)  
懸崖に色鳥こぼれかかりたる
(1062)  
高原の薄みぢかき良夜かな
(1063)  
恋猫やからくれなゐの紐をひき
(1064)  
武蔵野女子大生徒と百花園に遊ぶ
(1065)  
鈴虫は鳴きやすむなり虫時雨
(1066)  
松蟲にささで寝る戸や城ケ島
(1067)  
如月の山に遊べば杉の花
(1068)  
家家の枯菊捨てぬ滑川
(1069)  
箱庭の人に大きな露の玉
(1070)  
綺羅星は私語し雪嶺これを聴く
(1071)  
狐火の減る火ばかりとなりにけり
(1072)  
三つ並ぶ大きな窓や牡丹雪
(1073)  
早苗田にあやめ立ち添ふ業平忌
(1074)  
これよりの百日草の花一つ
(1075)  
かず/\の物芽の貴賤おのづから
(1076)  
大木にしてみんなみに片紅葉
(1077)  
山々を統べて富士ある良夜かな
(1078)  
焼れある蘆原踏めば水の湧く
(1079)  
往きつ来つ目白遊べり二タ椿
(1080)  
雪満目温泉を出し女燃えかがやき
(1081)  
餅花や捨んとしつゝ美しき
(1082)  
屋根々々の雪消日和の煙出し
(1083)  
尼寺の畳の上の花御堂
(1084)  
冬浜や浪に途切れし轍あと
(1085)  
外の面より煙這入り来秋の風
(1086)  
甘草や昨日の花の枯れ添へる
(1087)  
蛇苺鎖大師へ詣でけり
(1088)  
飾られてクリスマス待つホテルかな
(1089)  
片蔭の宿へ入り来し木曽路かな
(1090)  
ひろ/\と桃畑あり松の中
(1091)  
寒餅を搗かん搗かんとおもひつつ
(1092)  
きびきびと応ふる寒に入りにけり
(1093)  
藺を伝ひ生るる蜻蛉に水鏡
(1094)  
花人の皆出し園を閉しけり
(1095)  
掛けてある砧の衣の唯白し
(1096)  
宿とりて欄に凭りたる紅葉かな
(1097)  
藻の花に紛れ現れ泛子小さし
(1098)  
通り雨踊り通して晴れにけり
(1099)  
粟畑のあたり明るし山の裾
(1100)  
蟹提げて人霙れ来る三国かな
(1101)  
山代の雪に雨降る夜番かな
(1102)  
葱畑のけはしき月に戻りけり
(1103)  
杵肩に餅つきにゆく畦伝ひ
(1104)  
胼の手に何物も触るゝ事なかれ
(1105)  
秋草のもの芽ながらもおのがじゝ
(1106)  
月明の道あり川ともつれつつ
(1107)  
早苗束膝に当てゝはくゝりけり
(1108)  
秋扇や生れながらに能役者
(1109)  
芦原を焼払ひたる水とびとび
(1110)  
かへるでの花の紅さの光琳忌
(1111)  
谷かげに菊の黄色きみ寺かな
(1112)  
釣堀やみな日焼けたる釣なじみ
(1113)  
孜々として皆いそしめる菊の虻
(1114)  
大磯はすたれし避暑地土用浪
(1115)  
冬山の我を厭ひて黙したる
(1116)  
セルを着て遊びにゆくや東京ヘ
(1117)  
広前や降り舞ふ雪のおほどかに
(1118)  
猫の毛のエレキ蓄ふ小春かな
(1119)  
蜜蜂の出で入り出で入る巣箱古り
(1120)  
くつがえる蓮の葉水を打すくひ
(1121)  
睡蓮や鯉の分けゆく花二つ
(1122)  
薮に立つ欅三本鵙の秋
(1123)  
めりがちの鼓締め打つ花の雨
(1124)  
三つ落つる筧の音の夜長かな
(1125)  
木に凭りてみな/\を見る紅葉かな
(1126)  
走りゆく芝火の彼方枝垂梅
(1127)  
鍬音の露けき谷戸へ這入り来し
(1128)  
玩具など好きな主や午の春
(1129)  
春雷やぽたりぽたりと落椿
(1130)  
道缺けて淵見せてゐる紅葉かな
(1131)  
眠り薬利く夜利かぬ夜猫の恋
(1132)  
濯ぎ場のゆふべ濡れゐて桐の花
(1133)  
春潮の彼處に怒り此處に笑む
(1134)  
餅搗の水呑みこぼす顎かな
(1135)  
このわたの桶の乗りゐる父の膳
(1136)  
砂日傘びよう/\と鳴る下に在り
(1137)  
下萌の園の床几に添乳かな
(1138)  
暮れてゐるおのれ一人か破蓮
(1139)  
早春の牡丹畑を廻りけり
(1140)  
木犀に朝の蔀を上げにけり
(1141)  
ガラス戸に顔押しあてゝ雨月かな
(1142)  
虹の中人歩き来る青田かな
(1143)  
我去れば鶏頭も去りゆきにけり
(1144)  
うす黒き蛾おびたゞし葛の花
(1145)  
夏桑に破れすたれし飼屋かな
(1146)  
花辛夷人なつかしく咲きにけり
(1147)  
鉄塔の一脚に触れ螢草
(1148)  
借りし書の返しがたなく春隣
(1149)  
彼の森へこぼるゝ見ゆる渡鳥
(1150)  
凧の影走り現る雪の上
(1151)  
南縁の焦げんばかりの菊日和
(1152)  
門川の氷りたるより音もなし
(1153)  
能始着たる面は弥勒打
(1154)  
秋晴や歩をゆるめつゝ園に入る
(1155)  
句に入りて歌は忘れつ西行忌
(1156)  
螢籠飛ぶ火落つる火にぎやかに
(1157)  
炭竈に日行き月行く峡の空
(1158)  
舞まうて面なや我も年忘れ
(1159)  
そこはかと禰宜の起居や軒紅葉
(1160)  
山々を覆ひし葛や星月夜
(1161)  
椿落ちて水にひろごる花粉かな
(1162)  
磐石に乗つかけてあり小鳥小屋
(1163)  
木曽川の出水見んとて著たる蓑
(1164)  
尋めくれば山葵咲くあり沢ひそか
(1165)  
甘草の咲き添ふ石の野中めき
(1166)  
真つ白き障子の中に春を待つ
(1167)  
座敷には鼓出されて花に月
(1168)  
ふるさとに暫し寄す身や下萌ゆる
(1169)  
木屏風を引きかこひたる大炉かな
(1170)  
暮遅し白子は白く干し上り
(1171)  
外濠へ落つ公園の秋の水
(1172)  
硝子戸の晴るる日曇る日さくら草
(1173)  
俳席の次にはんべる夜長かな
(1174)  
向日葵の葉の真黒に焦げたるも
(1175)  
枯枝の吹き落つ響藪にあり
(1176)  
屏風絵の鞴祭の絵解など
(1177)  
春月の病めるが如く黄なるかな
(1178)  
古都の上にさしわたりたる雨月かな
(1179)  
ゆたかなる苗代水の門辺かな
(1180)  
幹高く大緑蔭を支へたり
(1181)  
徂く春の卒塔婆小町を観し疲れ
(1182)  
身辺や年暮れんとす些事大事
(1183)  
北浦のきらめく風や蓮根掘
(1184)  
からめ手の木曾川へ落つ露の径
(1185)  
風鈴や移り住たる夕心
(1186)  
虚子庵のいつもの部屋やお元日
(1187)  
出てゆきし湖舟を追うて秋時雨
(1188)  
麦打の遠くの音の眠たけれ
(1189)  
風花の華やかに舞ひ町淋し
(1190)  
芥子咲けばまぬかれがたく病みにけり
(1191)  
午過の花閉ぢかゝる犬ふぐり
(1192)  
牡丹に垂れし帷の重さかな
(1193)  
西行忌我に出家のこころなし
(1194)  
飯食に汚れし炉辺や草の宿
(1195)  
着膨れし体内深く胃痛む
(1196)  
濡れてゐる朴に月あり小夜時雨
(1197)  
山眠り激流国を分ちたる
(1198)  
朴の葉の高く残りて時雨れけり
(1199)  
それぞれの座布団もつて鳥屋を見に
(1200)  
鯊釣や片手に蘆をとらへつゝ
(1201)  
神垣の内の別墅や年の暮
(1202)  
海苔舟を松の木の間に海晏寺
(1203)  
踊見し木曾の夜霧に中り病む
(1204)  
秋簾木の間に吊りて野点かな
(1205)  
白菊の枯るるがままに掃き清む
(1206)  
箱庭とまことの庭と暮れゆきぬ
(1207)  
炭ひけば寒さに向ふ思かな
(1208)  
蟲時雨銀河いよいよ撓んだり
(1209)  
小鳥焼く火も一ツ角に大炉かな





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最終更新日 : 2019-05-11

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