俳句の本に「てにをは」の重要性・推敲についてよく書かれている。教室の先輩方も、「に」より「の」が良いと言ったりする。
長文の小説では、何万語も使用されるが、俳句は僅か十七文字である。一文字の重みは小説とは比べ物にならない。
しかし、文字を変えるとどう違うのか、先輩の話を聞いていても良く解らないことがある。つまり、読み手としての感受性が備わっていないと、一文字の違いが感得できないのである。
一文字を推敲するには、それだけの蓄積・修練を要する。
今日、句を考えていて一文字をどうするか悩んだ。
①週末の街に灯点り秋時雨
灯(ひ)、点(とも)
②週末の街に灯点す秋時雨
③週末の街に灯点る秋時雨
④週末の街に灯点し秋時雨
秋の日はつるべ落としである。日の暮れは早いが、時雨れる日は、特に暮れが早く、早々と灯がともされ、時雨が通り過ぎていく、そんな秋の季節を詠むつもりなのである。
①は散文的、説明的で情感・ふくらみに乏しい。
②は、焦点は秋時雨にある。イメージが狭い。
③灯のともった街と秋時雨が等置され、情景が描写されふくらみもある。①、②より良い。
「週末の街に灯点る」を秋時雨にかかる形容詞と読めば、②と同じになる。
④焦点は文字に表されていない、秋の季節にある。秋という季節が、早々と灯をともし、時雨を降らせているのである。
詠みたい世界には④が一番近い様に思われるので、④を採ることにした。
人によっては、③の方がよいと言うかも知れない。さて、どうだろう?
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最終更新日 : 2019-03-15