派遣切りの嵐が吹き荒れている。
有名企業が次々に派遣切りの公表をしている。
派遣切りを競い合っているのではないかと思いたくなってしまう。
実態はもう前から始まっていただろうが、筆者が報道で最初に気になったのは、キャノンの大分工場の報道である。
『キヤノンのカメラ生産子会社、大分キヤノン(大分県国東市)が製造現場で働く1千人超について、請負会社などとの契約を解除することがわかった。
...
大分キヤノンが解除を検討しているのは、ライン生産などに従事する請負会社8社(従業員計1131人)との請負契約や、派遣会社13社(計46人)との派遣契約。』
キャノン御手洗会長は、経団連会長である。
この報道を見て、思ったのは、
派遣社員を雇い止めにすることは、契約によるもので違法ではないが、矢張り個人の業務実績・勤務態度などの個人の事情によるものであるべきであり、全派遣を問答無用に止めさせるのは、権利の乱用ではないかということ。
報道カメラが派遣の代表者が要望書をキャノン側に渡そうとしていることに対して会社の担当は受け取れないと拒否している状況を映していた。
見苦しい姿だ。理屈は、雇用しているのは元請け会社でキャノンではない、元請け会社に渡してくれということなのだろうが。
子供だましの屁理屈であることは明らかだ。派遣社員が行っていたのはキャノンの仕事ではないのか。
法律がこんな屁理屈を認めるのであれば、そんな法律は社会にとって必要ない。反社会的法律である。
会長に続けとばかり
東芝が大分・北九州で480人の派遣切り。
ソニーが続くが、ソニーは何と全世界で、社員も含めて1万6000人の削減。
その後は、自動車業界が続々表明。
ところでパナソニックはどうなっているのだろう。
大きな派遣切りのニュースは耳にしていない。
ネットには以下の様な掲載もある。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1321440093
ソニーの中鉢社長が、17日の会見で、以下の様に述べている。
米国の金融危機を発端とした10月以降の急速な景気後退は、「ここまで来るという予測はなかった」
、「営利企業のトップとして逆風下でも利益を出せるようにするのが私の役割」。
雇用か生産か利益か保身か、経営者が目標とする経営目的は何なのか、それは社会から離れて存在するのか。
利益の為に雇用を犠牲にするのか?
雇用を犠牲にして計上した利益に賞賛はあるのだろうか?
雇用を犠牲にする経営者に経営者の資格があるだろうか?
サブプライムを起点にした経済収縮は、アメリカの所為であって会社でも派遣社員でもない。
本来、経営者の責任は結果責任の筈だ。自分は結果責任を回避して、派遣社員にのみ結果責任を負わせるのは保身と見られても仕方ない。
この様な非常事態にあって非人道的な対応をしない企業が社会的責任を保つ企業といえるだろう。
人々はその様な企業の製品を買いたいと思うに違いない。
こんな処にお言葉を引用するのは畏れ多いが、天皇陛下は挨拶の中で以下の様に述べておられる。
「働きたい人々が働く機会を持ち得ないという事態に心が痛みます」
「皆で、この度の困難を乗り越えることを切に願っています」。
日本の企業、国民はアメリカの企業でもアメリカ人でもない。
何故利益第一に考えなければならないのか。
個別企業だけの問題ではないこの様な未曾有の災難と言っても良い様な危機には「皆で」対処することが必要なのだ。日本にはその様な考えが似合っている。
生産調整をして、仕事が少なくなれば、ワークシェアリングして賃金減少も経営者以下社員・派遣に至るまで皆で分担すれば良いのだ。
こんな報道がされている。
『倹約JAL社長、世界が注目 バス通勤や社員食堂利用2008年12月16日3時1分
(JALの西松社長=本社の社員食堂、同社提供)
販売不振にあえぎ、議会に資金援助を求めている米自動車大手「ビッグ3」首脳が破格の高給を取り、しかも議会に専用ジェットでやってきたことへの批判が国際的な話題となるなかで、バス通勤している日本航空(JAL)の西松遥社長(60)の「倹約ぶり」が海外メディアで注目を浴びている。
きっかけは、11月に米CNNが放送した東京発のリポート。経営再建に取り組む西松社長が都営バスで通勤したり社員食堂に並んだりする映像とともに、07年度に自らの年収を960万円に減額したことなどを紹介。世界有数の航空会社の最高経営責任者(CEO)として「異例」とし、「同年代の早期退職者と痛みを分かち合う必要がある」という本人の言葉も伝えた。
経営不振なのにCEOが巨額の報酬を得ている米国流との違いを強調する内容だっただけに、放送後、東京のJAL本社には「感激した」「米企業も見習うべきだ」「私のニューヒーローだ」といった米国からのメールに加え、カナダやオランダからも「努力に拍手」「経営者の手本」などの称賛の声が相次いだ。番組の映像がインターネット上にも転載されると、17万件以上のアクセスがあったサイトも出たという。
予想外の大反響に西松社長は「社員と痛みを共有するのは当然。このように取り上げられ、戸惑っています」とコメント。JAL広報部は「日本の経営トップの感覚としては、さほど特別な取り組みではないとの認識です。文化の違いでしょうか」と話している。(佐々木学)』(asahi.com)
社員と痛みを共有することは日本の経営のトップの感覚としては普通だと語っているが、実態は違ってしまっている。
経営者は、まず自分の経営者としての不徳を自覚すべきだ。
JAL社長の行動は、海外からも賞賛を受けている。
日本的経営とはその様なものだ。
経団連は、日本の国全体のことを考えて、社会不安を引き起こしかねない企業の我が儘を抑えるべき立場があるはずなのだが、会長以下情けない行動であると言わなければならない。
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最終更新日 : 2019-03-15