2009/05/27 深慮遠謀なLUMIX - 菜花亭日乗
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2009-05-27 (Wed)  23:40

2009/05/27 深慮遠謀なLUMIX


ご承知のようにLUMIXはパナソニックのデジカメのブランドである。


LUMIXの歴史はそう古いものではない。カメラ業界では新参だ。
2001年ライカのDレンズを搭載して本格的に業界参入した。
10年経過しないうちに、今ではデジカメのトップブランドである。
 コンパクト・デジカメでは価格.comの売れ筋ベストでは上位に入っている。
 人気の秘密は、技術開発力・資本力も大きいが、家電メーカーらしく消費者の購買意欲を盛り上げるような製品作りが、矢継ぎ早に行われているからだろう。


コンパクト・デジカメでは市場を固めたLUMIXだが、一眼レフはどうだろう。
 この世界は、NIKON、CANONの老舗の力は絶大である。一度は乗りたいCROWNではないが、一度は撮りたいNIKON、CANONである。他にも、PENTAX、OLYMPUSも頑張っている。


パナソニックは、コンパクト・デジカメの成功の余勢を駆って一眼レフでも戦略的に動いている。
 2008年に、パナソニックは、フォーサーズ規格を開発していたオリンパスと共同してマイクロフォーサーズ規格を立ち上げた。
 
マイクロフォーサーズ規格は、フォーサーズの基本規格をそのままに、以下の拡張を行った。
 ・フランジバックの長さを約半分(約20mm)に短縮
  (フランジバックは、レンズ交換式のカメラにおいて、レンズマウントのマウント面から、フィルム(撮像素子)面までの距離である。)
 ・マウント外径を約6mm縮小
 ・マウント電気接点を11点に増加


マイクロの名の通り、フォーサーズ規格の小型化である。
この小型化で従来の一眼レフと大きく異なる点が発生する。
 ・ミラーの廃止
 ・ファインダーが光学ファインダーが廃止され、LVF(ライブビューファインダー)となった。
 
この仕様の変更が、深慮遠謀の出発点になる。
ミーラーが廃止され、フランジバックが半分になった事で、使用できる交換レンズの幅が無限に広がった。60年も前のライカのスクリューマウントの交換レンズでも使用できるのだ。
 また、光学像ではなく撮像素子の像を電子処理された状態で見ることは、昔のレンズを使い時に大きな意味を持つ。
 光学像では、レンズのF値(明るさ)が大きい(暗い)レンズでは眼で見る光学像はそのまま暗い像になり、見にくくなる。
 一方、LVFでは電子処理された像を見るので、実際の光学像より明るくして見せる事が可能になる。


マイクロフォーサーズ規格の一眼カメラ(ミラーがないので一眼レフではない)の第一号機はパナソニックのLUMIX DMC-G1である。


 



 パナソニックは、小型軽量を宣伝し、女性にマッチしたカメラとして広告宣伝を行っているが、上の仕様からすると実は女性向けのカメラではなく、一眼レフカメラのマニア向けのカメラである。実は、射程範囲の広大な深慮遠謀のカメラの誕生なのである。


フィルム時代から今のデジカメ一眼レフまで、NIKON、CANON,PENTAX、OLJYMPUSの国産レンズからLeica,CONTAXの外国レンズまで膨大な交換レンズが世の中には存在している。
 G1にそのレンズ用のマウントアダプターを付ければ、それらの膨大な交換レンズが使用できるのである。
 50年前のライカレンズでも絞り優先の自動露出が可能であり、ピント合わせはオートフォーカスは出来ないがLVFの明るさ、像の拡大表示が可能なため、一眼レフのマット面での焦点確認より楽に出来る。


この事に気づいた一眼レフマニアは、G1をサブカメラとして使い始めている。中には大きくて重い一眼レフからG1へメインカメラを切り替えてしまったマニアもいる。
 例えば、「我が道を行く写真道」氏もその一人である。
http://www.asahi-net.or.jp/~SL7K-KWMR/index.html


世の中にはオールドレンズのコレクターが多く存在する。この世界は文房具などと同じで、マニアの世界である。
 ケースの奥に仕舞われ、使用されなくなっていたフィルムカメラ用のオールドレンズをG1+アダプターで甦らせた人のフロンティア探索紀行もある。
「LUMIX G1とオールドレンズを楽しむ」
http://www.st.rim.or.jp/~komatsu/G1.html

サイトの主である小松輝之氏は、トヨタの世界では有名な方のようだ。


こうしたライカ、NIKON,CANONの世界に住んできたマニアの人から見れば、これ等のメーカーが打ち捨ててきた交換レンズの遺物が、G1の登場で俄に甦ったのである。こんな愉快な事はないであろう。
 例えば、CANONのFDレンズは、素晴らしいレンズであったが、EOSシリーズでは充分に使用できなかったが、G1では昔のマニュアルカメラより楽に使用できる。
 見捨てられていた中古市場でのFDレンズに再び光が当たり始め、市場価格が上昇しているそうである。


NIKONはレンズの互換性を極力維持してきたメーカーだが、G1の後ろに控えている膨大な交換レンズ軍と対峙するとマニアの目には影が薄くなる。
 大きくて重い一眼レフカメラはプロは使い続けるだろうし、頂上の席は譲らないだろう。併し、ハイアマチュアには、G1の提供する世界で充分である。


フルサイズのデジタル一眼レフは、60万円もするが、G1のダブルズームキット(交換ズームレンズ2本付き)は、その10分の1の6万円前後で買う事が出来る。まさに価格破壊である。
 上に書いた背景とこの価格を重ね合わせるとLUMIXの恐るべき深慮遠謀が見えてくる。
 G1は決して女性向けの入門機ではない。その優しい柔和な広告の裏には戦略を内に秘めた戦闘的な・破壊的な製品なのである。


最近、LUMIXはもう一つの戦略商品を市場に投入した。
LUMIX DMC-GH1である。


 



これは、G1のボデーに動画機能を搭載したものである。ハイビジョン録画か可能なこのモデルの戦略はビデをカメラとデジタル一眼カメラの統合である。
 レンズの交換できるビデオカメラは、アマチュア用には殆ど存在しないし、存在しても高価で、使用できるレンズも限られている。
 従来のビデオカメラでも静止画を撮る事は出来たが、あくまでビデオのおまけで、本格的な写真は撮影できなかった。
 このGH1は、静止画もビデオも高画素でしかも世界のレンズが使用できるのはG1と変わりがない。
 再び恐るべき深慮遠謀である。


筆者の目から見て、もしG1に穴があるとすれば、手ぶれ防止機能だろう。G1の手ぶれ防止は、レンズに搭載されているので、オールドレンズを使用する時に、手ぶれ防止機能は働かない。
 消費者の目から見て、今見える唯一の穴である。


しかし、この穴を埋めそうな動きもあるらしい。
マイクロフォーサーズ規格の共同開発者であるOLYMPUSのマイクロフォーサーズ規格のカメラが2009年6月15日に発表される事になっている。
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2009/05/13/10823.html


 OLYMPUSの手ぶれ防止は、ボデー側に設置されている。つまり、LUMIX G1の穴を塞ぐ唯一のモデルが登場するかも知れない。
 もしそうだとすれば、オールドレンズが手ぶれ防止で使用可能になる。マニアにとっては魅惑的なモデルである。


今年のLUMIXとOLYMPUSのマイクロフォーサーズから目を離す事は出来ない。



 

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最終更新日 : 2019-03-15

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