2009/10/21 第231回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い-その1 - 菜花亭日乗
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菜花亭日乗

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2009-10-21 (Wed)  23:28

2009/10/21 第231回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い-その1


週の中日、水曜日の夜8時からの岐阜の会に参加することはしんどい。
 行きはよいが帰りは交通手段の問題がある。あまり遅くなると帰れなくなる。明日の仕事に差し支える。


だが、それでも行く理由は、今日の会場が楮であるからだ。
 酒の趣向と共に考えられた創作料理がどんなものが登場するのか楽しみである。


楮の店の前に着くと夜8時30分だが客の人影が多い、岐阜駅から楮迄の道は一直線で飲み処が多い。餃子の店は行列が出来ていたが、飲み処の多くは客は疎らだった。
 今日の会場も離れらしいと思い先に進み、ガラスの間から覗くと主催の中島屋店主と楮の板さんの姿が見えた。


中にはいるといつもとはテーブルの並べ方がかわって島が中央に1つしかない。


会費を払い手続きを済ませると試飲が待っていた。
透明なガラスの瓶に入っているが銘柄は解らない。
かなり色が付いている。
 杯を飲むと滑らかな舌触り甘味があり、古酒かと思うと次にフレッシュ感のあるフルーティな酸が続く、ワインを思わせる酸。
 個性的な世界だ。入り口は古酒のようで中盤からは新酒だ、ブレンドしてあるのだろうか。


種明かしは、美濃錦の山廃本醸造とのことだった。


定刻になり西川中島屋店主の挨拶、楮の板さんの料理の説明があり、乾杯してからスタートである。


【今日の出品酒】
今回も20銘柄の出品酒があり、大吟醸から本醸造、新酒から古酒まで、山廃・生?、蔵元の垂直・水平飲みと多士済々の顔ぶれである。


<乾杯>
(1)信濃鶴 純米 (美山錦 60%)(株)長生社(岐阜)
甘い入り口。立ち香はないが清潔感のある仄かな香り。酸のフレッシュな味。後口も良い。 評価8.0。


<蔵元毎の比較試飲を楽しみます>
乾杯が済んだ後は、蔵毎の酒を比較試飲するコーナー。
比較ポイントは蔵毎に複雑である。
・長良川は1点のみだが、これは蔵元さんが出席する予定だったが急用の為に欠席となり、代理出席したお酒とのこと。
・芳水は、米の比較と造りの比較。
・七本鎗は精米の比較と垂直の比較
・関谷醸造は、一念不動の垂直と蓬莱泉の熟成酒の垂直と水平
・出羽桜はフレッシュと超熟の比較
このコーナーを統一的に位置づけする基準・尺度を筆者は知らない。
 一つの基準で評価できるものではないので、評点を付けるのは殆ど客観的には意味がない。
 そこを個人的嗜好によって無理やり評点を付けたものである。


(2)長良川 百八十日熟成 純米吟醸 (山田錦 60%)小町酒造(株)(岐阜)
強い立ち香はないが香りはよい。酸は軽め、滑らかな舌触りで、味のバランスも良い。底に渋みがあるが気にならず、締めの効果がある。後口も良い。評価8.5。


(3)芳水 冷卸 特別純米 播州山田錦 芳水酒造(徳島)
スッキリとした入り口で辛口の印象。酸は膨らまず厚い、後半に熟味を感じる。後口は辛味系。評価7.0。


(4)芳水 冷卸 特別純米 備前雄町 芳水酒造(徳島)
スッキリとした辛口の入り口。丸い舌触り。酸のふくらみはあるが小さめ。後半やや重くなる。評価7.5。


米違いの冷卸の比較。両方辛口なので冷やでの評価は辛くなる。味が厚いので食中酒で燗をして飲めば料理との相性も広そうで評価も変わりそうだ。山田錦の方がふくらみが少なかったのは意外だった。


(5)芳水 生?仕込み 特別純米 芳水酒造(徳島)
甘目の入り口。酸は膨らまないが、味の厚みがある。料理との適合が広そうな印象。評価7.5。


料理相性:
 松茸豆腐の旨味のある汁に合わせてみた。良く合った。
 卵の燻製とも良く合った。


(6)芳水 純米大吟醸 平成20BY 芳水酒造(徳島)
純米大吟醸であるが立ち香はあまり感じない。入り口はスッキリしているが、直ぐ酸の厚みのある味が来る。個性的な純米大吟醸。山廃のような造りかと思ったがそうではないらしい。食中酒指向の純米大吟なのだろう。評価8.0。


生?は酸が厚く燗向きであることは確かだが、純米大吟醸も香り高く軽やかな大吟醸というより少し辛目のしっかりした酸の味わいであり食中酒適性が広いと感じられた。


(7)七本鎗 純米 山田錦 ひやおろし 冨田酒造(有)(滋賀)
スッキリとした入り口。バランスの取れた厚みのある味。滑らかである。後口も良い。全体として上品な穏やかな印象、七本鎗としては温和しい。評価8.0。


ひやおろしの良さが実感できる世界があり、冷やでも燗でも良さそうな印象。飲みやすく、誰でも受け入れられそうな良さがある。


(8)七本鎗 純米低精白 ひやおろし H20BY 冨田酒造(有)(滋賀)
80%の低精白の年度替わりの飲み比べ。立ち香に特徴がある。酸の味が厚い。押しの強さがある。評価7.5。


(9)七本鎗 純米低精白 ひやおろし H19BY 冨田酒造(有)(滋賀)
香りはあまり感じない。スッキリとした入り口。バランスの取れた酸の味、甘味もあるが隠れている。後半にかけてのキレが良く味が早く終わるスピード感がある。後口も良い。評価8.0。


低精白の年度比較は、熟成の差が良く出ていた。好みにも拠るが筆者の好みでは1年の熟成がもたらす尖りの無さ後口の良さで19BYが1等上だった。
 低精白でも1年寝かせばバランスも丸味もキレも良くなる。



(10)一念不動 特別純米 平成20BY 関谷醸造(株)(愛知)
酸のふくらみがあり、広がりはあるが、厚みはない。評価7.5。


(11)一念不動 特別純米 平成19BY 関谷醸造(株)(愛知)
丸い入り口。酸の厚み有あるが広がらず中央に集まる感じ。評価8.0。


19BYの方が酸の厚みがあり印象が良かった。20BYの前が芳水、七本鎗と厚い酒が続いたのでうすい感じがしたのかも知れない
一念不動の特別純米は利く都度印象が異なる様な気がする。


(12)蓬莱泉 花野の賦 純米大吟醸・本生 関谷醸造(株)(愛知)
甘い入り口。甘い酸の味とろりとした厚みが続く。秋風より春霞と言った印象。評価8.5。


(13)蓬莱泉 花野の賦 純米大吟醸・熟成生 <2001> 関谷醸造(株)(愛知)
仄かなカルメラの立ち香。甘目の入り口だが落ち着いた酸のふくらみが大きく、広がりがある。終わりにも仄かなカルメラの香。老香はまったく感じない。20BYより秋風の透明感がある。評価9.0。


 もともと熟成させて秋に味がのるようにチューニングされた花野の賦は、出荷時点で飲む想定で出荷されているはずだ。
 それを8年寝せたらどうなるか、しかも生酒である。
蔵元からすると何と無茶なことをするかと思われそうな比較試飲だが、酒の中島屋さんの会の楽しみは此処にある。
 高い山に登る、海の底に潜る、誰も出来ない難しいゲームに人生を賭けるSASUKE...考えると馬鹿馬鹿しいことに熱中する人は多くいるし分野も沢山ある。
酒を熟成させるのもそんな分野だ。
熟成させたらどうなるか?
やってみなければ解らない。危険だしリスクはある。
だけどやってみたい。その先は見えないが進んでみたい。辺境の探検家である。


結果はどうだったか。
8年の歳月は、花野の賦のコンセプトをより一層実現していた。秋の野に吹く乾いた風に揺れている草花が花野の賦だが、2001年ものは、その佇まいである。
 出会いと別れ、同じものが飲めないのが残念である。



(14)蓬莱泉 和 純米吟醸・熟成生 関谷醸造(株)(愛知)
甘い入り口。酸のふくらみは大きくなくスッキリしているが滑らかな味。熟成された丸るみの世界。評価8.5。


(15)蓬莱泉 和 純米吟醸・熟成生 <2001> 関谷醸造(株)(愛知)
20BYに比べ滑らかさが一層増すが、味わいの世界に大きな変化は感じられない。8年の歳月を忘れる。評価8.8。


花野の賦よりもっと極端な比較試飲かも知れない。
和はもともと熟成させてベストチューニングで出荷される生酒である。出荷された状態で熟成酒のまろやかさ滑らかさが楽しめる酒である。
 それを8年囲ったらどうなるのか?


結果は花野の賦程大きな差はなかった。滑らかさは一層増すが香り・味わいに8年の歳月を感じさせるような差はなかった様に思われた。
 和については、囲わずに飲んでもよい酒だ。
しかし、8年経ってもへたらない生酒が和だ。



(16)出羽桜 桜花吟醸 山田錦50% 出羽桜酒造(株)(山形)
吟醸香高く、酸のふくらみ大。出?桜の人気酒のイメージ通りの印象。評価8.0。


(17)出羽桜 大吟醸 山田錦40% 出羽桜酒造(株)(山形)
立ち香は吟醸香。バランスの取れた厚みのある味。後口のキレよい。広がりのある大吟醸の世界。評価9.0。


(18)出?桜 枯山水 三年熟成 <2007.10瓶詰> 出羽桜酒造(株)(山形)
美山錦55%の三年熟成本醸造を2年囲ったもの。立ち香は軽い老香。辛口の透明感のある厚みのある味。残り香に老香+化学臭。評価8.0。


出羽桜の吟醸酒は、吟醸酒らしい安定感がある。人気がある事が肯ける。
 三年熟成を更に二年熟成させた枯山水は、流石に老香が立つ。
しかし立ち香と残り香を気にしなければ、真ん中は実に旨い味の厚さがある。老香を納豆の発酵臭と同じように考える事の出来る人には、この酒は旨い酒だ。


料理との相性:
 かなり感じる老香に対抗できそうな料理を探してみた。
 やはり良いものが存在した。
 先ずは、鰻の燻製。鰻は白焼きでも蒲焼きでも日本酒の肴として最適だが、燻製はどうだろうか。
 鰻の燻製を食べながら枯山水を口に含むと、不思議!老香がない。! 燻が老を飛ばすようだ。鰻の能力の新しい発見。
 
 次に意外だったのが郡上味噌。
 これも枯山水の老香を無くしてしまった。


老香を避けて旨味だけ手に入れる方法が2つもあった。



<今日の贅沢・吟醸飲み比べ>
(19)喜久泉 大吟醸 山田錦40% 西田酒造(青森)
吟醸香の立ち香。広がりのあるスッキリとした世界。後半の底にある苦味が終わりを締めている。出?桜と同じく典型的な大吟醸の世界。評価9.0。


(20)梵 特撰純米大吟醸 山田錦38% 加藤吉平商店(福井)
甘い入り口の後ふくらみのある酸。後半に辛味を感じるところがある。梵というとイベントで飲んだ特吟の元酒の印象が素晴らしかったのでその印象が影響しているかも知れない。評価8.8。


定評のある蔵の大吟醸だけに安定しており、安心感があった。


個人的評価については、20種類の酒を次々と料理をいただきながら飲むので大変忙しいし、飲む順番、料理との相性がありその酒単独で利いた印象ではないので次に同じ事をすれば違った結果になるかもしれない。



 

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最終更新日 : 2019-03-15

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