2010/02/13 千古乃岩酒造蔵見学 - 菜花亭日乗
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2010-02-13 (Sat)  23:03

2010/02/13 千古乃岩酒造蔵見学


日本酒の会sake nagoya主催の「千古乃岩酒造蔵見学」に参加した。
 この企画は、千古乃岩酒造さんと特に親しい会員のN氏の肝入りで実現出来た様だ。


中央線多治見駅に11:00に集合、駅前からバスで駄知へ。
バス停を降りると、目の前に酒蔵らしき建物が見える。
 ココは裏口で、反対側が道路に面した表だった。



 



道路に面した店舗には「尾張屋商店」の看板が掲げられている。表側は酒販の尾張屋商店、店の奥が千古乃岩酒造になっている。
 昔は人の住む集落には必ず酒蔵があり、その地域に酒を供給していた。人々は通い徳利を下げて酒を買いに行くのが常だった。酒屋・酒蔵の商圏は狭いものだった。
 今も昔の名残を留めて店と蔵とが一体になった酒蔵は多い。今まで見学した蔵の中でも、すぐ指を5本折ることができる。


 



ガラス戸を引いて、店内に入ると、美濃地方は焼き物の産地でもあり、酒器が並べられている。
 左前には、同郷の快山窯で焼かれた青磁・白磁で有名な人間国宝塚本快示の酒盃があった。


正面には、販売中の千古乃岩の銘酒が並べられている。
 
しぼりたて生酒の原酒、にごり酒の原酒。


 
大吟醸、純米吟醸。


 
貴重な棚田米を使ったしぼりたての純米吟醸。
バレンタイン用に作られたラベルの吟醸酒。



ご挨拶を済ませると早速、蔵見学が始まる。
案内は杜氏担当の中島大蔵氏(当主の息子さん)が直接していただいた。


以下の記事は筆者の印象に残った部分のみを記載する。
千古乃岩酒造の酒造りに付いては、下記【データ】記載のサイトに詳しく報告があるのでそちらを要参照。


蔵の建物は3階建てで、3階は酒米の保管・管理場所。
2階が洗米・浸漬・麹室。
1階が仕込み、搾りの工程になる。
工程は、手作りである。


酒米は、主として山田錦、五百万石、棚田米。

 
酒米山田錦の玄米と40%精米後の1粒。
60%も削り取られた山田錦は小さな小さなピンポン玉。
大吟醸は贅沢な酒であることが実感できる。


 
仕込み水は、2階のタンクに貯蔵されている。
地下水は井戸のため暖かく、寒仕込みの酒米との温度差が大きく、温度を調整するためにタンクに貯蔵してから使用するとの話であった。



水の色が青く見えるのは、タンクの内部がホーロー引きのため、水の色すなわち水色に見えるとの説明。
「限りなく透明に近いブルー」とは、この事らしい。


千古乃岩の酒造りの柱は麹造りだそうである。
 
麹室は神聖な場所である。
蔵見学でも麹室の内部まで入ることが許されることは珍しいが、中にはいり詳しく説明をしていただいた。



千古乃岩の酒造りの秘密は、超醇麹(ちょうじゅんこうじ)にあるそうである。
 詳しくは、サイトの記事「味の秘密、超醇麹(ちょうじゅんこうじ)とは?」参照。


ポイントは、麹の厳密な温度管理にある。
麹の温度が35度~37度の間が雑味成分を生成しがちな温度帯なので、この温度帯を速く通過させることにより超醇麹を造ることができるそうである。


麹の温度管理のために、種々の工夫が行われている。


  
麹箱の中にある熊手のようなものは、麹を屋根型に盛る際に使用するものだそうで、自作の道具である。


 
千古乃岩独自の麹箱。
麹蓋でも無い平たくて大型の麹箱でも無い、立方体に近い形状の箱。
 箱の上の木の枠は取り外しができる様になっていた。
千古乃岩の超醇麹をつくるために経験的に工夫された結果完成した麹箱のようだ。
 仕事は何でもそうだが、自分の目的を達成するために創意工夫をかさねることが大事だ。


 
麹の温度・湿度管理の工夫。
麹の保温にはネル布・毛布が使われることが多いが、千古乃岩では、様々試みた結果、羽毛布団が保温・保湿が一番良いと言う結果が出たため、羽毛布団を使用している。


 
麹の切り返し機。
初めて見た機械だが、実際に動かしてみせていただけた。
青い幕の前の投入口から麹を入れると、下からほぐされて出てくる。麹が若い内は固まっているが、金属の間を抜けるためにそれ以上の大きさの塊にはならない。麹が熟してくるにつれパラパラとした麹になってくる。


 


 2階には、松尾大社のお札が祀られている。


 
2階の床をあげるとタンクの上部になり。
ここからタンクに麹を投入する。


 
1階の仕込みタンクの見学。
仕込み10日以内のタンクが3つあり、泡を挙げ盛んに醪が発酵していた。


 
搾りはヤブタ式の搾り機。佐瀬式の槽も在ったが今は使用していないとのこと。
 ヤブタは蔵でよく見るが実際に動いているところを見ることは多くない。
 参加者の疑問に答えるために当主自ら電源を入れて、搾り板の動き方、シリンダーの圧力のかかり方、醪の流入と絞られた酒の流出の流れ、コンプレッサーの圧縮空気の流れを動かしながら説明していただいた。
 参加者全員納得である。



 


蔵見学が終り、店に戻る。


 
店舗左には、千古乃岩酒造の受賞歴を示す賞状がある。
全国新酒鑑評会の賞状もあった。


 




生花のある小上がりの横で試飲会。
というより宴会になってしまった。



千古乃岩の販売中の銘酒殆どを試飲させていただいた。
・大吟醸
・純米吟醸
・純米吟醸 坂折の棚田米
・特選本醸造
・しぼりたて生原酒
・にごり酒生原酒
・吟醸 バレンタイン


個々の寸評は馴染まないので此処では記載しないが、千古乃岩の酒の特徴は、しっかりとした味わいにある印象を持った。
 日本酒度は生酒を除けば4度~6度もある。大吟醸は6度もある。香りも際立つほどではないので、食中酒として巾の広い適応力がありそうだ。


 
日本酒好きの見学と言うことなので、特に発酵中の醪を舐めさせていただいた。
5日目のもの7日目のもの10日目のもの。
5日目:甘い品の良い飲み物、甘酒に近いか。
7日目:酸の膨らみが豊かになる。
10日目:甘さと酸の膨らみが5日目と7日目の中間の感じ。



7日目だけ酒米が違うと言われたが、酒米の名を聞き漏らした。山田錦だったろうか。


 
これは、純米大吟醸の醪。
もう最終段階に近く、搾りの手前に来ている人のこと。
しっかりとした味わい。醪の味がするので搾り上がりは素人にはイメージを描けない。



お酒は勿論美味しかったが、蔵で出していただいた肴が、市販されているものではなく、すべて手作りのもので美味しく温かい味がした。


 
粕汁。
粕の旨み・甘味がたっぷりとした味を作り出している。
千古乃岩の厚みのある旨みとスッキリとした味わいによく合う。


 
これは初めての味。
スルメなのだが、柔らかく、一夜干しではなく二夜干しとか五夜干し位の硬さと柔らかさ。
 お聞きするとスルメ(正月のお飾りにする本物の固いスルメ)をにごり酒に漬け2週間置いたものとのこと。
 プラスチック容器に入ったものも見せていただいた。漬けた後時々裏返したり、上下を入れ替えたりすれば良いとのこと。
 このにごり酒スルメは全く酒の肴にピッタリのもの。噛み切れないスルメとは違い、よど良く噛み切れる硬さと噛んでいるうちに滲み出してくるスルメの旨みとほんのりと漂うお酒の香りが辛口の酒によく合う。
 容器に入っているにごり酒がどんなことになっているか気になったが,これは自分でスルメとにごり酒を買って試みるしか無い。



写真には写っていないが、干し貝柱を同様に酒に浸したものも出た。これも柔らかくなっており美味しかった。


 
菊芋の漬物。
シャリシャリとした食感が爽やか。およねさんの菊芋より味がアッサリとして上品である。
 山盛りのようにあったが写真を取ったときは、これくらい残っていたがすぐ売り切れた。写真を撮りそこね無くて良かった。
 市販されていれば購入したかったが、これは知り合いの人が漬けたものとのことだった。
 酒粕+味噌+醤油+砂糖で漬けてあるのだろうか?



参加者はよく呑み、よく食べる。
粕汁もお替わりし、鍋を空にし、スルメも2枚目を食べきり、菊芋も完売。
 お酒も4号瓶が空になる。
すると蔵元当主は新しい4号瓶を持ってきて封を切ってくださる。申し訳ないと感謝しつつそれでも飲んでしまう。


 
あるグルメの参加者が、取り出したおつまみの一つ。
グリコの「濃厚おつまみスナックCheeza51%」
食べてみると、口に入れた直後はパリパリとした食感でクラッカーのようだが次第にゴルゴンゾーラチーズの濃厚な旨みと香りが押し寄せる。喉を通り過ぎた頃には、口中はゴルゴンゾーラの香味が一杯である。
 この後半押し寄せ型のつまみに合う酒、これに負けない酒は、今まで飲んだ中でどれだろうと思った。



 
これだろうと選んだのは、千古乃岩しぼり酒生原酒。
後口にかけてにごりのパンチがある酒である。



グリコを口に入れ噛みながら、にごりを口に含むと、押し寄せるゴルゴンゾーラとにごりが融合、一体となってハーモニーがである。これは予想通りマリアージュだった。


蔵元当主と日本酒談義に花を咲かせている内に、古酒・熟成酒の話になった。
 すると蔵元は奥に入り、お酒を持ってこられた。


飲んでみなさいと渡されたお酒を見て驚いた。
「昭和62年の金賞受賞酒 千古乃岩大吟醸 古酒心酔」だった。


 


 
年間限定24本出荷のうちの1本である。



仄かに香るカルメラ風の熟成香の後、丸い膨らみを口の中に感じ、20年以上経過したと思えないほどの味の厚みがあり、味のピークが過ぎると後半にかけて軟着陸するように切れて行く。この後口の爽快感は古酒ならではのもの。
 この古酒は、達磨正宗とも神亀とも違う熟成をしている。辛口の大吟醸の熟成である。


帰ってネットを見てみると、売価21000円のものだった。蔵元はスリムな人だが,肝っ玉の大きい方だった。
 ご馳走様でした。感謝、合掌である。


夕方から用事のある3人は中座して帰ることになり、7人は1時間後のバス。
 3人はバスの中で快い良いに身を任せながら、日本酒の持つ世界、酒と人と出逢う縁などについて語り合っているうちに直ぐバスは多治見駅に着いた。
 3人は、気持ちよく酔ながら、ではまたと言って、それぞれの道に別れて行った。


千古乃岩さん、日本酒の会の幹事さん・肝いりさん、良い宴をありがとう。感謝。



 


【データ】


1.千古乃岩(ちごのいわ)酒造株式会社


住所: 〒509-5401岐阜県土岐市駄知町2177-1
Tel.: 0572-59-8014
Fax: 0572-59-8144
URL: 
http://www.chigonoiwa.com/index.html



2.快山窯 塚本快示
 塚本快示の作品は以下の日本工芸館サイトで見ることができる。
http://www.nihon-kogeikai.com/KOKUHO/TSUKAMOTO-KAIJI/TSUKAMOTO-KAIJI-SAKUHIN.html


 

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最終更新日 : 2019-03-15

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