2021年11月04日 - 菜花亭日乗
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菜花亭日乗

菜花亭笑山の暇つぶし的日常のつれづれ。 散歩する道筋は、日本酒、俳句、本、音楽、沖縄、泡盛、カメラに...etc

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2021-11-04 (Thu)

2021/11/04 日記 吾亦紅

2021/11/04 日記 吾亦紅

2021/11/04 (木)  旧暦: 9月30日  祝日・節気・雑節・朔望:   日出: 6時05分  日没: 16時43分  月出: 4時56分  月没: 16時23分  月齢: 28.66  潮汐: 大潮  干支: 丙辰  六曜: 友引  九星: 五黄土星  今日のあれこれ: 吾亦紅 「ワレモコウ/Sanguisorba officinalis 01_170829ガイコツ山」 https://youtu.be/TI8XyHVWRR8 『ワレモコウ(吾亦紅、吾木香、吾妹紅)は、バラ科...

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2021/11/04 ()  旧暦: 930日  祝日・節気・雑節・朔望:   日出: 605分  日没: 1643分  月出: 456分  月没: 1623分  月齢: 28.66  潮汐: 大潮  干支: 丙辰  六曜: 友引  九星: 五黄土星 


今日のあれこれ: 吾亦紅

「ワレモコウ/Sanguisorba officinalis 01_170829ガイコツ山」

https://youtu.be/TI8XyHVWRR8



『ワレモコウ(吾亦紅、吾木香、吾妹紅)は、バラ科・ワレモコウ属の植物。日当たりのよい草原などに生える1メートル以下の草で、秋に枝分かれした先に穂をつけたような赤褐色の花をつける。薬草として、根は生薬になる。

名称
源氏物語にも見える古い名称である。漢字表記においては吾木香、我毛紅、我毛香、我妹紅など様々に書かれてきたが、「〜もまた」を意味する「亦」を「も」と読み、「吾亦紅」と書くのが現代では一般的である。「吾木香」については、キク科の植物で線香の原料にもなるモッコウ(木香)と似た香りを連想することから、「わが国の木香」という意味だといわれるが、実際にはワレモコウからあまり香りはしない[1]

名の由来には諸説あり、はっきりしていない[1]。植物学者の前川文夫によれば、木瓜文(もっこうもん)を割ったように見えることからの命名という[2]。一説には、「吾もまた紅なり」とワレモコウ自身が唱えたことが名の由来であるといわれている[3]。このほか、中国の皇帝がこの花の匂いを気に入り、「吾も請う」と言ったことに由来するのではなど[4]、様々な俗説もある。

別名に酸赭、山棗参、黄瓜香、豬人參、血箭草、馬軟棗、山紅棗根などがある[要出典]。英語ではgreat burnetgarden burnet、中国語では地楡(ティーユー、dìyú)と呼ぶ。

分布・生育地
北海道から九州までの日本列島[5]、朝鮮半島、中国大陸、シベリアなどに分布しており、アラスカでは帰化植物として自生している。

山野で普通に見られる[5]。日当たりのよい草地に生える植物で[4]、草地の草刈りが行われるところで見ることができるが、近年の日本では草刈りが行われる草地が少なくなり、しだいにその姿を消している[6]
...』
Wikipedia



吾亦紅の俳句:


・隠れなきわび・さび・しをり吾亦紅   稲見光

・汚点なく濁点もなく吾亦紅   岩垣子鹿

・溢れるほど吾亦紅活けなほ淋し   北川英子

・何となく孤りの花や吾亦紅  北見さとる

・何をもて測る余生や吾亦紅   大島翠木

・兜太与太われはごたごた吾亦紅  宮坂静生

・肝心のところは云はず吾亦紅   横山迫子

・器用とはいへぬ生きざま吾亦紅   片山博介




Wiki
の説明にあるように、吾亦紅は平安時代から文学に登場する由緒正しい花だ。

源氏物語にどう登場するのか知らないので調べてみた。

源氏物語42帖匂宮の段にかな書きで登場する。
『かく、いとあやしきまで人のとがむる香にしみたまへるを、兵部卿宮なむ、異事よりも挑ましく思して、それは、わざとよろづのすぐれたる移しをしめたまひ、朝夕のことわざに合はせいとなみ、御前の前栽にも、春は梅の花園を眺めたまひ、秋は世の人のめづる女郎花、小牡鹿の妻にすめる萩の露にも、をさをさ御心移したまはず、老を忘るる菊に、衰へゆく藤袴、ものげなきわれもかうなどは、いとすさまじき霜枯れのころほひまで思し捨てずなど、わざとめきて、香にめづる思ひをなむ、立てて好ましうおはしける。


この部分の解説を転載します。
『ワレモコウは、第42帖「匂宮」にのみ、いい香りのする植物の一つ、として登場します。 源氏亡きあとの主人公は匂宮と薫。生まれつき、この世のものとは思えない芳香が身体に備わっている薫に対抗する親友の匂宮は、あけても暮れても薫物(たきもの)の調合に熱心で、衣服にはいつも香を焚きしめているほどでした。匂宮の香りに対する執着は植物においてもしかりで、世間のほとんどの人々が好む秋の花、女郎花(おみなえし)や萩には目もくれず、芳香のする菊、藤袴(ふじばかま)、吾亦紅(われもこう)が興味の対象(香にめづる思ひ)でした。世間は二人を「匂ふ兵部卿、薫る中将」と、もてはやしました。以上が、物語の定番の解説です。匂宮15歳、薫15歳。』
(古典の日絵巻
https://hellokcb.or.jp/kotennohi/article/archives/emaki/20420
より転載)

「ものげなきわれもかう」の意味は、
ものげ-な・し 【物げ無し】は、「あまり目立たない。 みすぼらしい」の意味なので、
「目立たない、みすぼらしい吾亦紅」となる。


吾亦紅は、古典に登場するだけではなく、現代の文学にも登場する。
 現代と言っても昭和だが、昭和も遠くなりにけり、幼稚園の子から見れば昭和も、平安も変わりはないのかも知れないが。

庄司薫の「さよなら怪傑黒頭巾」に吾亦紅ではなく「ワレモコウ」で登場する。

お兄さんの友人の結婚披露宴に出席することになった薫くん、会場で知らない中年の紳士に絡まれる。左翼ゲバ学生が嫌いな紳士は若者に対する口撃を語って止まない。
紳士は、勝ち誇ったように言う。
「というのも、実はそもそもこのぼく自身が、ぼくの言ったことでよくわからない点がある。何故か? 最も根本的には、ぼくの話の中にでてくる諸君が、諸君自身のことを分っていない、という困った問題がある。諸君は……。」

これを聞いて薫くんは遂に反撃に出る。
一句かまして反撃だ。
『ぼくは、やっと季題をハメコンでわりこんだ。

「シワよせて、煙草すうかや、ワレモコウ。」

「(え?)」


「あるいは、」とぼくは続けた。何故って、敵もあるいはあるいはと、いい気持でやったんだから。「あるいは、シワよせて、煙草すっても、ワレモコウ。」


この小説を読んだ当時、なぜ紳士が句の意味を理解して席を立ったのか理解できなかった。

その後、源氏物語の「われもこう」の解説を読んで、句の理解ができた。

この句は源氏物語を下敷きにしている。
「ワレモコウ」は「ものげなきわれもかう」なのだ。

「シワよせて、煙草すうかや、ワレモコウ。」
は、偉そうに眉間にシワを寄せて話し、タバコを吸うあんたは、人生の秋を迎えたみすぼらしいワレモコウだよね。
と言う句意になる。

庄司薫というペンネームの薫も源氏物語の薫の君を踏まえているかもしれない。

そう考えると小説もよく理解できる。


さて、残るは吾亦紅の例句。
吾亦紅の句は多い。
読んでみて、俳人たちは吾亦紅の前に佇んで、突拍子もない思いに駆られているようだ。

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句も選んでしまったが、吾亦紅の花は大輪の花が咲き誇るのでもなく、風に誘われ散る桜の愛おしさでもなく、野を埋め尽くす菜の花でもなく、小さな花が丸くまとまっていて、その花が、四方八方思い思いに乱れ咲いている。その乱雑さに心乱されるのではないかと思う。

8
人の俳人は吾亦紅に心を乱され思いを四方八方に駆られている。


吾亦紅は、「ものげなきわれもかう」だが、油断してはいけない。

姿形は冴えなくても、人の心を惑わす力を秘めている。


漸く、記事の終わりに辿り着いた。
季語を吾亦紅に選定したお陰で大変な事になってしまった。
「ものげなきわれもかう」だと見えても、油断してはいけない吾亦紅。

夢々忘れること無かれ。