劇場未公開作品だが、DVDで見た。
AN UNFINISHED LIFEは、「果てしなき日々」と訳している処もあるが、「終わり無き命」とでも訳した方が良いような気がする。
良い映画であった。
アメリカ人のエートスを感じる映画であった。
最近のアメリカ映画は、組織悪もしくはテロ対個人の戦い。
過激な暴力シーンがこれでもかと出てくるものが多いが。
この映画は、熊が出てくるような大自然の残る田舎が舞台である。
アメリカ人のエートスは、ウォール街よりカントリー、スーツよりジーンズ、車より馬、コンピューターより拳銃、高層マンションより木のある草むらの家だろう。
作品のテーマは「怒り」と「許し」である。
人は皆、重大な事件に対する怒りを心の底に秘めて生きている。
犯罪者のためにかけがえのない家族を奪われた人は怒りを秘めて生きるより方法はない。
アイナーは、息子の嫁への怒りを抑えられない。それは、嫁が運転した交通事故で最愛の息子が死んでしまったからである。
同棲者の暴力から逃げてきた嫁と孫に対しても冷淡な態度を取ってしまう。
アイナーが「許し」を体験する事件が起きる。
孫娘と二人で捕らわれた熊を逃がしに動物園に言った時、孫娘の不注意で車のギアが入ってしまい、車が動いてしまう。車輪に乗っていたアイナーは地面に転落し、そこへ檻から出た熊が襲いかかる。アイナーは死にに直面するが、孫娘の機転で熊の攻撃を逃れる。
孫娘が、アイナーにごめんなさいと誤る。アイナーは、孫娘に対する怒りの感情は無いことに気づく。事故で死んだ息子の気持ちが、初めて理解できる。息子は、事故を起こした嫁に怒りはないことを理解する。息子の許しが自分の許しに繋がっていることを感じる。
怒ることは易い。
許すことは難しい。
許すことは相手を許すことだが、自分を許すことにも繋がっている。
【データ】(allcinemaより転載)
アンフィニッシュ・ライフ< AN UNFINISHED LIFE>
製作国 アメリカ (2005)
上映時間 108分
監督: ラッセ・ハルストレム
製作: レスリー・ホールラン
アラン・ラッド・Jr
ケリアン・ラッド
脚本: マーク・スプラッグ
ヴァージニア・コラス・スプラッグ
撮影: オリヴァー・ステイプルトン
音楽: デボラ・ルーリー
出演: ロバート・レッドフォード(アイナー)
ジェニファー・ロペス( ジーン)
モーガン・フリーマン( ミッチ)
ジョシュ・ルーカス (クレイン)
<解説>
「サイダーハウス・ルール」「ギルバート・グレイプ」の名匠ラッセ・ハルストレム監督が、ロバート・レッドフォード、ジェニファー・ロペス、モーガン・フリーマンの豪華キャストを迎えて贈る感動のヒューマン・ドラマ。雄大なワイオミングの自然を背景に、心に傷を抱えた人々の再生への道のりを優しい眼差しで綴る。
恋人の暴力に耐えかね、11歳の娘グリフを連れ、亡き夫の父アイナーを頼って彼が営むワイオミングの牧場へと逃げてきたシングルマザーのジーン。アイナーはここで、熊に襲われ障害を抱える親友ミッチの世話をしながら静かな余生を送っていた。最愛の息子が死んで以来心を閉ざしてしまったアイナーは、その原因となったジーンをいまだ許すことが出来ずにいた。そんなジーンの突然の訪問に戸惑いを隠せないアイナー。しかも、存在すら知らなかった孫娘グリフまで一緒。仕方なくジーン母娘を一緒に住まわせるアイナーだったが、ジーンとの関係はギクシャクしたまま。それでも、孫娘グリフの存在がアイナーの冷たくなった心を少しずつ温めていく。
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最終更新日 : 2019-03-22