1973年の古い映画で、題名は何度か聞いているが、いままで見たことがなかった。BSで放映されたので録画して見た。
東京でサラリーマン生活を送る大山稔は、36年振りに、少年時代を過ごし、若くして亡くなった母が眠る沖永良部島を訪ねるシーンから始まる。
成人した稔の今と母と共に生きた昔とが複雑に絡み合って、時制を通り抜けて、沖永良部島の青い海、珊瑚礁、南国の花々を背景に映像は綴られる。
彼の母、平田さわは沖永良部島の生まれで、島ではその美貌と踊りの名手として知られた娘であった。島から出て広い世界を望んださわは、本土鹿児島の男、大山と結婚し一児をもうけるが、夫と死別する。
稔は、祖父に引き取られ、母とは別れて暮らすことになる。母は船乗りの平田と再婚しそうになるが、ならず者の平田はさわを置いて、東京に行ってしまう。
さわは実家のある沖永良部島に帰ることになる。稔は母を見送りに船まで来るが、大山家には黙ってそのまま、母と島に行ってしまう。
成人した稔は嘗て母と暮らした家の跡を訪ねる。今は廃墟となり、南国の木、草におおわれてしまっている。
廃墟にたたずみ、追想に身を委ねていると、老人から声を掛けられる。昔隣人であった鶴禎老人である。
一晩老人の家で時を過ごし、昔の話しを老人から聞く。老人がさわに心を寄せ、三線の調べに気持ちを込めて毎夜唄うと、ある夜さわは心は有難いが、自分は病気であり、子供を残しているので本土に帰らねばならないと唄に託して返歌する。
敬老会の夜、さわは島人から所望されて、踊りを踊ることになる、病身のため踊れないとさわは言うが、どうしてもと言われ踊る。
満月の夜、踊りの舞台で一人踊る母の姿を見て、稔は母の美しさに見とれる。...
物語はこれで止めて、感想を述べると。
1.少年の心に映っている美しい母の若き姿と沖永良部島の自然、これが今の東京の稔の救いになっていることは理解できる。
2.さわも稔も人生を見ているだけで、積極的に生きようとはしない。生命力、生活力を感じない人間である。
二人の人間がもう少し掘り下げられていれば、感動も在ると思う。
3.キャストには、一癖二癖ある俳優が揃っており、それぞれ存在感を見せている。これに比べ、田村と賀来は、シナリオの所為かもしれないが存在感が薄い。
4.有名な割には、もう一つ共感の心が起きない点物足りなさを感じた。
キャスト:
田村高廣 (大山稔)
賀来敦子 (平田さわ)
山岡久乃 (たか)
戸浦六宏 (三昌秀次)
小松方正 (平田猛)
藤原釜足 (鶴禎老人)
原泉 (祖母)
浜村純 (ユタ)
殿山泰司 (豆腐屋の主人)
三戸部スエ (とく)
田中筆子 (鶴禎老人の姉)
大井一成 (稔の少年時代)
新井庸弘 (稔の少年時代)
伊藤雄之助 (大山公平)
スタッフ
監督: 成島東一郎
製作: 加藤辰次
成島東一郎
原作: 一色次郎
脚本: 平岩弓枝
成島東一郎
撮影: 成島東一郎
音楽: 武満徹
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最終更新日 : 2019-03-15