「最高の人生の見つけ方」
(原題:THE BUCKET LIST 「棺桶リスト」)
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの競演だから見逃すわけにはいかない。
最近のアメリカ映画はバイオレンスものが多くて鼻白むが、この映画はそうではなく、人生を考えさせる映画である。
我々は毎日何事もないように生きているが、ある日突然サイクロンに出くわしたり、大地震に出くわしたり、交通事故に遭ったり、ガンの宣告を受けたりする。
ミャンマーの10万人の人々、中国の数万人の人々もその日が人生の最終日だと知っていたわけではなかった。
悲惨な事故の報道を観て、我々は気の毒なことだと思うが、自分のこととは思っていない。自分はそんなものには遭遇しないと安心している。
しかし明日のことは誰も分からないのだ。
この映画は、ガンを宣告され余命6ヶ月と宣告された二人の「最高の人生の見つけ方」の映画である。
6ヶ月だからと言って短いわけではない、30年だからといって長いわけではない。
西欧では、古来「メメント・モリ」が言われてきた。
『メメント・モリ(Memento mori)は、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句である。日本語では「死を想え」「死を忘れるな」などと訳される事が普通。芸術作品のモチーフとして広く使われ、「自分が死すべきものである」ということを人々に思い起こさせるために使われた。』
その意味では、古典的なテーマの映画である。
我々は生まれた以上はいつかは死ぬことは明らかである。
明日かも知れないし、この映画のように6ヶ月かも知れないし、もう少し長いかも知れない。
だが、不定期刑の死刑囚であることには変わりない。
鈴木正三は「死に習う」、「死に隙を明ける」と言う。
西欧の「メメント・モリ」も正三も同じである。
問題は死を超えて生きられるかである。
ジャック・ニコルソンもモーガン・フリーマンも素晴らしい。
深刻な中にユーモアもある演技に心打たれる。
観て、よりよく生きられる映画である。
【データ】
監督:ロブ・ライナー
出演:ジャック・ニコルソン(エドワード)
モーガン・フリーマン(カーター)
ショーン・ヘイズ
ロブ・モロー
ビバリー・トッド
製作:ロブ・ライナー/クレイグ・ゼイダン/ニール・メロン/アラン・グライスマン
脚本:ジャスティン・ザッカム
撮影:ジョン・シュワルツマン,A.S.C.
美術:ビル・ブルゼスキー
音楽:マーク・シェイマン
配給:ワーナー・ブラザース映画
2007年/アメリカ/97分
<ストーリー>
勤勉実直な自動車整備工と、大金持ちの豪腕実業家。出会うはずのない二人が、人生の最後に病院の一室で出会った。家族のために自分の夢を犠牲にして働いてきたカーターと、お金だけは腐るほどあるものの見舞い客は秘書だけというエドワード。お互いに人生の期限を言い渡されたという以外、共通点は何もない。そんな二人を結びつけたのは、一枚のリスト―棺おけに入る前にやっておきたいことを書き出した "バケット(棺おけ)・リスト"だった。
「荘厳な景色を見る」「赤の他人に親切にする」「涙が出るほど笑う」…。と、カーターは書いた。
「スカイダイビングをする」「ムスタングを乗りまわす」「ライオン狩りをする」「世界一の美女にキスをする」…!と、エドワードが付け加えた。
そして、始まった二人の生涯最後の冒険旅行。人生でやり残したことを叶えるために。棺おけに後悔を持ち込まないために。そして、最高の人生だったと心の底から微笑むために。
残された時間は6か月。でも、まだ決して遅くない―!
ジャック・ニコルソンの来日記者会見の様子。
http://www.walkerplus.com/tokyo/latestmovie/report/report6000.html
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最終更新日 : 2019-03-15