2008/06/22 TV ドギュメンタリー「特捜!ザ・リアル海猿」(テレビ朝日) (その1) - 菜花亭日乗

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2008-06-22 (Sun)  22:11

2008/06/22 TV ドギュメンタリー「特捜!ザ・リアル海猿」(テレビ朝日) (その1)


NHK BSで ドギュメンタリー「特捜!ザ・リアル海猿」(テレビ朝日)を見た。



ザ・ベストテレビ“全部”見せます グランプリ作品 -第2部-(後)
放送日 :2008年 6月22日(日)
放送時間 :午後4:12~午後6:00(108分)



ドギュメンタリーの名作を一気に見せる番組で、気付くのが遅れ残念なことをした。済んでしまったドミニカ移民の番組も見たかった。



この「特捜!ザ・リアル海猿」の題名は、筆者のような人間にはその意味がよく判らなかったのだが、調べてみて理解することが出来た。



「リアル」という言葉が含む意味は、ドギュメンタリーという意味の他に、漫画・ドラマの架空の話ではないという意味が含まれている。
 筆者は見たことはないのだが、元々、海保の潜水士を主人公にした人気漫画「海猿」があり、その人気を見てNHKでTVドラマ化され、映画化もされたらしい。
 『佐藤秀峰原作の漫画。原案取材を小森陽一が担当している。海上保安大学校が舞台で、潜水士を目指す主人公「仙崎大輔」を中心とした人命救助を描いた物語。NHKが国分太一主演でテレビドラマ化する。2004年に伊藤英明主演、東宝配給で映画版が公開され、2005年には映画版の続編をフジテレビがテレビドラマ化し、2006年にはその続編が映画として東宝で公開される。』
 筆者はこの辺りの経過は全く知らず、このリアル板の海猿が初めてである。



「海猿(うみざる)」という言葉の由来は、海中で猿のように敏捷に活躍することから「海猿」の名が付けられた。また、潜水士候補の若者達の「少々やんちゃ」な振る舞いを揶揄していわれているとのことである。
 これは漫画・映画・ドラマでのフィクションであり、実際の海上保安官がこう呼ばれていたわけではないが、漫画・TVドラマ・映画が人気を博して以降、報道の世界では、海上保安官を扱う際に「海猿」の呼称を用いるようになり、言葉として定着しているものらしい。




番組は、広島県呉市の海上保安大学校で行われている潜水士養成訓練研修を200日間密着取材したものである。
 この養成訓練は、海保の在籍者の5%しかいない海上保安庁の潜水士を養成するためのものである。各地から選抜された心身ともに強健な若者であっても、プールでの訓練、海上の訓練を経てゴールまで到達するのは難しい超難関の訓練である。
 それは、潜水士の任務が人命救助にあるからである。人命を救助するためには、危機にある状況下でまず自分の命を守り、その上で遭難者を救助しなければならない。そのためには体力・気力に加えて冷静な判断力・ものに動じない勇気が要求される。
 選抜された若者達が参加するのだが、ゴールに到達できずに落伍してしまう者もいる過酷な訓練である。過去2年ら落伍者が出て全員卒業は達成されなかった過酷な訓練である。



2006年の訓練生は16名である。
訓練生はそれぞれ志を以てこの養成訓練に参加している。訓練生Mの志は、福岡県の海の中道大橋での事故に関係している。
 酔っぱらった若い公務員が橋の上で前の車に追突し、ドライブ帰りの幸せな家族の内幼い3人の子を海に落として殺してしまったあの事件である。母親が自分の命を顧みず、何度も潜り水中の車から我が子を助けようとしたことは当時幾度となく報道された。
 当時潜水士でなかったMは、舟の上で子供達を抱きながら、子供達を目の前で助けられなかったことへの悔しい思いから潜水士への志を得たとのことである。Mは参加した全員が落伍することなく訓練を終えることを目指している。
 その他の15名もそれぞれの志を胸に持っている。志がないような人間では通過できない訓練なのである。



訓練の種目は陸上のプールと海上の船舶での訓練があり、プールの種目を突破しないと海の訓練には進めない。
 プールの訓練は20項目近くあったと思うが苦しさ・体力の限界・恐怖心・勇気・冷静さetc体力の他にもメンタルな条件が要求される物になっている。
 訓練生一人一人不得手な物もある。番組は訓練生の直面する課題の前でもがき苦しむ訓練生の姿と課題を乗り越えさせようとする教官の姿を映しながら進んでいく。



水に潜る潜水士は、水と空気の操作を完全に行うことが求められる。
 眼鏡に入った水を鼻から息を吐いて外に出す事も、訓練生には不得意な者もいる。
 水深40mの処から浮上するには、空気を吐きながら浮上してくる必要がある。気圧の高い空気を吐かずに浮上すると気圧の差により肺が破裂する危険がある。
 教官はうるさくそれを指導する。訓練生の命に関わることだからである。
 訓練生の水中の様子は教官達がすべてチェックしている。吐くことをしなかった、少なかった、意識して吐かなかった訓練生は海面に出て、厳しい叱責を受ける。その言葉は激しい。馬鹿ヤローは当たり前、帰れ、聞いていないのか、やるな、もう止めろ、やらなくて良い...どんな罵詈雑言が教官の口から出たか思い出せない。陸上のビルの会社の事務室であれば、正にパワーハラスメントである。しかし、この訓練の場には、そんな概念は無意味である。誰もその概念を信じない。
 問題は自分の命・人の命を保つための志であり、訓練である。訓練生は罵詈雑言の意味を知っている。
 訓練生は必死にやります、続けさせて下さいと訴える、が鬼教官は、許すことなく彼をプールから上がらせてしまう。見ている者には推し量れない現場の教官にしか判らない教育なのだろう。



カメラは鬼教官の家庭も映す。
家には小学生、幼稚園くらいの女の子2人と奥さんが待っている。奥さんは、「家では仕事の話はあまりしない。手を出してしまった日などは話すこともある。」といい、「これでも優しいんですよ」と言う。ビールを飲みながらちゃぶ台の前に座ていた鬼教官はそれを聞き「いや、優しくない」と言う。ここ言葉の意味は深い。



バディという仕組みがある。
二人一組になって助け合いながら訓練を進める仕組みである。
A訓練生は優秀で課題を問題なく突破している。B訓練生は息を吐くことが不十分である。
 プールから上がり、二人は鬼教官に呼ばれる。ソファに座らされた二人を厳しく教官は叱責する。
 特に教官はAを罵倒する。
教官「Bが吐いていないのを見ていないのか」
A「見てました」
教官「見てたら何故言わない。何故注意しない。」
A「...」
教官「お前は考え違いをしている。お前だけ良ければいいんか。潜水士になれるか。止めてしまえ」
罵倒は猛烈に続く...
Aは何も言わず、教官の眼を見つめたままである。
Aの両眼から涙が二筋流れ落ちる。彼はそれを拭おうともせず、顔を伏せようともせず、姿勢を正して、教官の目を見続けている。



 カメラは3人の姿をそのまま映しているが、リアルのリアルたるシーンであり、ドラマにはない真実がある。
 Aの涙に思わず貰い泣きを禁じ得ない物が伝わってくる。



 


 

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最終更新日 : 2019-03-15

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