予想以上だった夕食に満足してから、宿舎の日航那覇グランドキャッスルにチェックインした。
お腹が満腹過ぎて、眠るには不適当なので腹ごなしに散歩する予定だった。
首里城は何度も行っているが、ライトアップされた夜景ままだ見ていない。
22:00を過ぎているが、歩いて行ってもライトアップの終了時間の24:00までには見終えることができるだろう。
ホテルから首里城方面に行くには、住宅地の中の急坂を登る近道がある。
夜歩くには気後れする道だが、以前金城の石畳の飲み屋に行った時に、通った経験があるから心配はない。
酔ってお腹いっぱいの身体には急坂と急階段は厳しかった。
階段を登り終わると、首里高校の前に出る。以前来た時は、道路工事がアチラコチラで行われていたが、今では工事は終了しているようだ。
道路を走る車は多いが、観光地首里もこの時間帯には歩いている人は少ない。
信号機を右折し、坂を少し登れば、左が首里城だ。
守礼門に向かう広い道路は、証明もなく暗く、人影もほどんど無いのに驚いた。
ライトアップが行われているのだから、観光客は残っているだろうと想像していたが、22:00過ぎにはもう人っ子ひとり居ない状態だ。
前方に照明に浮かび上がっている守礼門が見えた。
昼間は、記念写真を撮る観光客がごった返す守礼門も静かに闇の中に浮かんでいた。
首里城への入り口である歓会門も閉じられており、場内に入ることは出来ない。
途中瑞泉門まででも登ることが出来ればよかったのだが、中には進めない。
城壁にそって進むことは出来そうだ。
城壁はところどころライトアップされているので、道路も見ながら歩くことはできる。
行けるところまで行ってみる事にした。
少し歩くと久慶門前に出た。
久慶門も湿られているが、カーブを描いた城壁がライトアップされて、なかなか美しい。
カメラは、NIKON COOLPIX P300。
手持ち撮影でうまく撮れるか心配だったが、綺麗に撮れた。
空の雲は肉眼では見えなかったが、P300は写し撮っていた。F1.8と手ぶれ補正はこんな場面では心強い。
データは、F1.8 1/8秒 焦点距離4.3mm(35mm換算24mm) ISO800。
此処には人がいた。女性の話し声が聞こえた。若いカップルだった。
写真には写っていないが、もう一人人間がいた。
階段横の城壁の上に突然むっくりと起き上がった男。
寝転がっていたようだ。沖縄では真夜中にベンチで寝てる人が居たりするので、こんなことも考えてみれば驚くことではない。
久慶門の先の城壁もライトアップされている。
乗りかかった船なので、先に進む。
道は次第に高台に進み、階段を登っていく。
場内を歩いていれば、正殿に近づいているのだろう。
城壁の上には、まるいお月様がかかっている。
なかなか美しい。
荷風は月を見ることが好きだったが、首里城の月は見ていないだろう。
道路の先に金柵が見えた。
此処で行き止まりかと思い近づくと、道路は柵の前で左に曲がり、まだ先があった。
道を登り切ると、東屋があり、少し広くなっている処に出た。
此処が一番高い場所らしく、道の先は二股に分かれている。左の道を下ると城から離れて住宅地へ降りるようだ。右への道は城壁に沿った道で、木が茂った急勾配の道になっている。
時計を見ると23:00を回っている。ライトアップは24:00までだ、右の道を辿りたいが、途中で照明が消えたら、一大事だ。
引き返そうかと思っていると、前の方に光が揺れている。
何かと思ったら懐中電灯だった。
帽子をかぶった制服の男が一人歩いてくる。警官かと思ったら警備員のようだだった。
右への道を聞いてみた。
“この道を下ると、お城の全景が見える場所は、ありますか?”
“下って行くから見えない。
全景を見るのなら、龍潭池の道路からなら見えるはずだ...”
彼は、地図で道を示してくれた。龍潭池の先へ進めば、ホテルへ帰ることができる。
彼と一緒に、登ってきた道を下ることにした。
“今年はまだかも知れないが、夏になるとこの辺りはハブが出るから危ないよ...”
登りを歩いて来て、汗をかいていたが、この言葉で涼しくなった。幸運な出会いだった。
下って行くと、城の建物が少し見える場所があった。
ここで彼と別れ写真を撮ることにした。
久慶門まで降りると、先程の人達ももう居なかった。
久慶門から右へ折れる道を行くと龍潭池に向かう。
沖縄芸術大学前まで来て振り返ると、城が少し見えた。
龍潭池から全景を見ることはできた。
道路に車が止まっており、池の歩道の手すりのところに女性が一人立って、池の先の首里城の方を見ている。
観光客ではなさそうだ、地元の人なら24:00に近いといっても驚くことではない。
流石にこの暗さでは、手持ち撮影ではP300でも難しいと思ったが、試行錯誤した。
望遠で撮りたいが、望遠にするとF1.8は使えない。
感度をISO1600にするのが、出来る範囲だ。
欄干に両肘をつき撮影したが、殆どぶれていた。
何とか見られる1枚がこれ。
データは、F4.9 1/1.6秒 ISO1600 焦点距離17.9mm(35mm換算100mm)
今度来る時は、望遠レンズと三脚を持ってこよう。
首里高校前から、急階段と急坂を下る。足元が暗く、踏み間違え無いよう注意して下る。上りより下りのほうが危険だ。
何とか同じ日内にホテルに帰ることができた。
第1日目のスタートは遅かったが、なかなか面白い夜だった。
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最終更新日 : 2019-03-15