キッコーマンが、醤油の「フレーバーホイール」を公表した。 フレーバーホイールを用いて、醤油の「色・味・香り」を評価する基盤にしたい考えがあるようだ。 記事によると、フレーバーホイールによる体系化とされているが、見た限りでは、評価項目の羅列に留まっているような気がする。 もう少し、具体的な利用方法の開示が必要だ。 キッコーマンのサイトには、「フレーバー...
キッコーマンが、醤油の「フレーバーホイール」を公表した。
フレーバーホイールを用いて、醤油の「色・味・香り」を評価する基盤にしたい考えがあるようだ。
記事によると、フレーバーホイールによる体系化とされているが、見た限りでは、評価項目の羅列に留まっているような気がする。
もう少し、具体的な利用方法の開示が必要だ。
キッコーマンのサイトには、「フレーバーホイール」の活用が書かれている。
『「フレーバーホイール」の活用
和食にとって欠かせない調味料であるしょうゆは、現在では世界100カ国以上で愛される調味料になりました。和食のみならず、現地の食材や食事に合わせた使われ方も浸透しています。
しかし、ひとことでしょうゆと言っても、日本国内はもちろんのこと、世界中で使われているしょうゆの原材料や製造方法にはそれぞれ違いがあり、用いるしょうゆの種類や品質によって料理の仕上がりが大きく変わります。
これまでは、しょうゆの品質の違いや使い分け方を説明する際に、それぞれが異なる言葉を用いた表現を行うことが多く、評価軸が曖昧になり、必要な情報が十分に伝わらないこともありました。
今回、しょうゆの「フレーバーホイール」を作成したことにより、様々なしょうゆの味や香りを共通の言語を用いて表現できるようになることが期待されます。また、当社を含めた食品メーカーをはじめ、料理人、研究者など、しょうゆに関わるさまざまな方が「フレーバーホイール」を用いることで、しょうゆの品質について共通認識を持ち、商品開発や品質管理などに活用することも期待されます。
当社では今後、お客様にしょうゆに興味を持っていただき、その魅力である「色・味・香り」を楽しんでいただくため、しょうゆの「フレーバーホイール」をコミュニケーションツールとして活用し、しょうゆをより身近に感じ、よりおいしく楽しんでいただく方法や、上手な使い方などの情報発信を継続して行ってまいります。
(*1)QDA(Quantitative Descriptive Analysis)
香りや味を敏感に感じることのできる専門の評価者に、製品から感じられる特徴を具体的な言葉として表現してもらい、評価者全体で合意が得られた特徴について、その強度を数値化する官能評価手法です。QDAにより得られる情報量は、既存の官能評価手法の中で最も多いと言われています。
(*2)火入れしょうゆ/生しょうゆ
大豆と小麦に麹菌を混ぜ合わせてつくったしょうゆ麹に、食塩水を混ぜて発酵・熟成させたものをもろみといいます。このもろみを布に包んでしぼったものが生(なま)しょうゆです。通常のしょうゆは、この生しょうゆを火入れ(加熱殺菌)し、色、味、香りを整えてできあがります。
なお、当社の「いつでも新鮮シリーズ」の生しょうゆは、濾過することにより醸造に使用した微生物を取り除いています。
(*3)本論文中における「香り/風味」の定義
香り:食品を口にする前に食品から直接感じるにおい
風味:食品を口にしたときに、口に広がるにおい』
(キッコーマン
https://www.kikkoman.co.jp/news/17041.html
)
口に入れるものを分析評価することは難しい。
客観的なそのもの自体の物性と合わせて評価者の嗜好の問題を避けて通れないからだ。
この問題を乗り越えるツールとして、フレーバーホイールが考えられたことは理解できるが、実用面ではそう簡単ではない。
キッコーマンの宣伝戦略からだろうが、生醤油が火入れ醤油より本当の醤油のようなCMになっている。
だが、日本酒でもそうだが、生と火入れの評価は難しい。
生の良さはフレッシュさで味は硬く広がり厚みはない、熟成により味の丸味・膨らみ・厚みが育まれる。
醸造の世界では、火入れ熟成が本道と言える。
日本酒も含めて、体系化を実現するツールを業界が用意することは必要なことで、このフレーバーホイールもその第一歩と考えたい。
『キッコーマン、しょうゆの香りや味の特徴を「フレーバーホイール」で体系化
早川厚志 [2017/07/19]
キッコーマン、しょうゆの特徴を表現する用語を体系化したしょうゆの「フレーバーホイール」を作成したことを発表した。この成果は、米国科学雑誌「Journal of Sensory Studies」(2016年8月8日発行)および日本食品科学工学会誌の2017年7月号(7月15日発行)に掲載された。
世界の149銘柄のしょうゆを元に作成された「フレーバーホイール」(火入れしょうゆのみ)(出所:キッコーマンWebサイト)
「フレーバーホイール」とは、ある食品から感じられる香りや味の特徴を、類似性や専門性を考慮して円状かつ層状に並べたもの。その食品に関わる人や愛好者が、香りや味について共通認識を持ち、コミュニケーションを行うためのツールとして用いられる。
同社では、官能評価のひとつの手法であるQDAを用いて、世界中から集めた149銘柄のしょうゆ(火入れしょうゆのみ)の詳細な官能評価を行い、88種類の特徴を見出し、「フレーバーホイール」として体系化した。また、すべてのしょうゆに共通し、"しょうゆらしさ"の形成に寄与する19種類の特徴を明らかにした。
世界で流通しているしょうゆの多くは"火入れしょうゆ"だが、近年、日本では、火入れをしていない"生しょうゆ"の市場規模が年々拡大している。そこで、生しょうゆと比較対象とした通常のしょうゆ(火入れしょうゆ)を含めた12銘柄について、さらにQDAを行い、48種類の特徴を用語として得た。
すべてのしょうゆに共通する特徴(出所:キッコーマンWebサイト)
そして、新たに得られた用語と、日本のしょうゆ(126銘柄)から得られた特徴(74種類)を合わせることにより、138銘柄のしょうゆから91種類の特徴を表現し、生しょうゆも含めた現在の日本のしょうゆ市場を反映したしょうゆの「フレーバーホイール」の体系化を実現した。
しょうゆは現在、世界100カ国以上で使われ、和食のみならず現地の食材や食事に合わせた使われ方も浸透しているが、その原材料や製造方法には違いがあり、しょうゆの種類や品質によって料理の仕上がりが大きく変わる。これまでは、しょうゆの品質の違いや使い分け方を説明する際に、それぞれが異なる言葉を用いた表現を行うことが多く、評価軸が曖昧になり、必要な情報が十分に伝わらないことがあった。
今回、しょうゆの「フレーバーホイール」が作成されたことで、さまざまなしょうゆの味や香りを共通の言語を用いて表現できるようになる。また、食品メーカー、料理人、研究者など、しょうゆに関わるさまざまな人が「フレーバーホイール」を用いることで、しょうゆの品質について共通認識を持ち、商品開発や品質管理などに活用することも期待されるということだ。
日本の138銘柄のしょうゆを元に作成した「フレーバーホイール」(生しょうゆ含む)(出所:キッコーマンWebサイト)』
(マイナビニュース
http://news.mynavi.jp/news/2017/07/19/055/
)