「泡盛大試飲会」が開催されたので行ってきた。
泡盛の全酒造所47蔵の銘酒が、揃って試飲できると聞いては、行くしか無い。
午前中には用件が済まず、2時からになってしまったのは残念だったが。
「商売繁盛に役立ち 泡盛大試飲会&セミナー」
日時: 2011年2月16日(水)
11:00~16:00
場所: 名古屋ナディアパーク 3F
TEL:052-265-2001
名古屋市中区栄3-18-1
催し内容:
●全47酒造所代表酒の試飲コーナー
●泡盛カクテルご提供コーナー
●出展社ブース(商品の展示・説明・試飲)
●応援隊長紹介
元モーニング娘、中澤 裕子
沖縄好きの中澤さんが女性の視点から泡盛の魅力を語る。
第一回13:00~13:30
第二回14:30~15:00(抽選会)
●セミナー
13:30?14:30
FBA代表 石田 義昭
●抽選会
入場: 無料
このセミナーは、沖縄県酒造組合連合会主催で沖縄県観光商工部商工振興課が後援しているイベントだ。
前回までは東京で年1回行われていたが、評判が良いため今年から東京・大阪・名古屋・札幌の4場所で開催されることになった。
セミナーの対象は、酒販店・飲み処が中心だが、泡盛の愛好者も参加可能なのは嬉しい。
ナディアパーク3Fのエレベーターから出ると、セミナー会場だった。

受付で、予約した個人であることを告げ、参加者カードに記録を終えると、資料の入った手提げ袋を渡される。

イベント会場への通路には、泡盛の製造工程のパネルが展示されている。
製造工程に付いては、前回の蔵見学の際勉強したので、通過する。
イベント会場は、広いホールをパーティションで区切り、試飲・展示スペースとセミナースペースに区切ってある。


会場に入ると、壁に沿って出展している酒造所19蔵のブースが設けられ、蔵の担当者からの説明・資料配布・試飲が行われている。

入り口から見て右の出展ブース。

正面の出展ブース。

左奥は、カクテルコーナーと出展ブース。
パーティションの向こうがセミナー会場。
【47蔵試飲コーナー】
入口正面の近いテーブルが、沖縄の泡盛全酒造所の試飲コーナーだった。


全酒造所の泡盛が一同に揃った場所は初めてだ。
47銘柄全て利くのは時間的に無理であるし、体力的にも持たないので、予め下調べをして、銘柄を絞り込んだ。
原則は
・今まで飲んだことのない蔵
・沖縄本島の蔵
・下調べで面白そうに感じた蔵
試飲は、ストレートでもロックでも水割りでも可能だったが、利くのが目的なので、ストレートで利くことにした。
泡盛は最低でも25度、最高では44度と度数が高い。
普通に飲んだら倒れることも考えられる。
90cc位のプラ猪口に2~3mm位注いでいただいた。
担当の方2名には、面倒なことをお願いしたが、快く丁寧に注いでいただいた。沖縄の優しいホスピタリティーを感じる。
お聞きすると沖縄県の観光商工部商工振興課のお役人さんだった。
【利き酒の個人的印象】
個人的な嗜好による印象を以下に記載するが、もとより客観的なものでなく飽くまで個人の嗜好によるものであることを予めおことわりする。
メモを取ったもののみの記載で、全銘柄ではない。
・照島 (伊平屋酒造所)
立ち香はあまり感じない。丸い舌触り。バランスのとれた飲みやすい味。呑み飽きしない印象。ぴりぴりした辛さはなく後口は穏やかである。
・常盤 (伊是名酒造所)
味のバランスは良い。スッキリとしてあまり膨らまず切れが良い。後口はピリピリとして辛い。
・萬座 (合資会社恩納酒造所)
刺激的ではない、膨らみのある味わい。後口のピリ辛はない。
・羽地内海 (龍泉酒造)
立香は泡盛の香。舌触り丸い。味わいが広がり、変化する。伝統的な泡盛の流れを感じる。
・赤の松藤 黒糖酵母仕込み (崎山酒造)
立香はあまり感じない。まったりとした丸みがある味。辛味は抑えられてバランスが良い。後口はピリ辛だが、強くはない。残香に樫樽貯蔵のような香りをかんじる。
・まるた (田嘉里酒造所)
入り口はスッキリとして、膨らみは少ない。次第に味が濃くなり、重くなる。後口はピリ辛。
・国華 (津嘉山酒造所)
舌触り丸い。飲み終わった後、後口はあまり感じないが、次第に辛くなり、辛味の余韻を長く感じる。
・珊瑚礁 (山川酒造)
立香はない。入り口は丸い舌触りで、膨らんだ後、切れていく。後口もピリピリしなくて良い。
・北谷長老 30度 (北谷長老)
スッキリとしている。膨らみは大きくはない。やや味がうすい印象。後口は弱いピリ辛。
・島風 (石川酒造場)
甘い菓子のような立香が快い。スッキリとした味わいだが、刺激的な味はない穏やかさがある。中盤にかけてなだらかに切れていく。後口もピリ辛無く後口の癖はない。

この蔵は、甕仕込みに特徴のある蔵だそうだが、この島風は甕仕込みではないそうだ。
・南風 (沖縄県酒造協同組合)
丸い舌触り、味は刺激的なところはなく穏やかでゆったりとしている。後口もピリピリしなくて良い。

沖縄県酒造協同組合の泡盛は、海乃邦が有名だが、この南風も良い仕上がりになっている。
沖縄県酒造協同組合は、自分で醸造することはなく、蔵が納入したものをブレンドして商品化している。
・時雨 30度 (識名酒造)
立香は感じない。まったりとした丸みを感じる。刺激的な味はなく、穏やかである。後口も癖が無く良い。

名古屋の店頭でも時折見かけるが、飲んだことはなかった。
良い世界を持っている。
・咲元 古酒造り用粗濾過 蔵出新酒 44度 (咲元酒造)
立香はあまり感じない。酸味・甘さを感じる味が多味で濃い味。後口はピリ辛が長く続く。

日本酒で言えば、今流行の無濾過生原酒。
古酒熟成用に造られているのでストレートで飲むには、味も濃いし押しも強いが、存在感のある泡盛だった。
古酒熟成用44度は、一つのジャンルを形成するかもしれない。
・熟成古酒 南光 40度 (神谷酒造所)
仄かなハッカのような揮発性のスーとした立香。入り口甘く、スッキリした味わいだが、中盤から次第に辛くなる。後半にかけての押しが強い。後口はピリ辛。

・春雨 30度 (宮里酒造所)
立香は感じない。丸い膨らみが穏やか、刺激的ではない上品さがある。後口も癖がない。

泡盛のブログで好評なのが確認できた味わいだった。
・華忠孝 マンゴー酵母 25度 (忠孝酒造)
立香は軽いエチル臭。甘い入り口、刺激的でない、まったりとした穏やかな丸み。中盤からの切れも良い。後口のピリ辛無し。

日本酒もそうだが泡盛も色々な酵母での醸造が試みられている。マンゴー酵母、黒糖酵母がその代表だろう。柔らかい丸みが特徴のようだ。
・花島唄 25度 (比嘉酒造)
立香は甘い香り。日本酒の吟醸香を想わせる。丸い穏やかなゆったりとした酒。香りが快い。後口も辛くない。

島風と同じような爽快な世界。
伝統的な泡盛とは違って、万人向きな女性にも受け入れやすそうな泡盛が増えているようだ。
爽やかな香りと味わいがある。
・太平 30度 (津波古酒造)
仄かな立香。甘い入り口。丸く穏やかな味わいだが、スッキリとして切れる。甘味に特徴がある。

【感想】
個人的な嗜好、丸い舌触り、刺激的でない穏やかさ、味わいの深さ・幅、切れの良さ、後口の良さと言った観点で印象的だったのは、以下の銘柄だった。
琉球ゴールド、照島、萬座、赤の松藤、珊瑚礁、南風、時雨、咲元、カリー春雨、華忠孝、花島唄、太平。
全銘柄利いたわけではなく、一部だけで論ずることは間違いがあるかもしれないが、今日のざっくりとした印象は、意外にもと言うか南部の蔵の泡盛が、甘く丸みがあり後口が良いような印象を受けた。
すべての蔵が見学できることはないが、これからの沖縄旅行の際には、出来る限り蔵見学を日程の中に入れるようにしたい。
日本酒もそうだが、泡盛も醸されている場を見学すれば一層味わいが深くなるはずだ。