What's Going On は、1971年のMarvin Gayeのヒットソングだ。
歌は時代の中にある。
多くの詩は時代の中に埋没する。
時の流れの中で、歌は時代と共に過去に埋められていく。
地中から発見された遺物が、その時代を語るように、歌を聞くと、その歌に時代を思い出すことは常にある。
しかし、時代の中に生まれながら、時代を超えて時の中に埋没しない歌がある。
それは、時代を超える普遍的なものを唄っている歌だ。そのような歌も存在する。それは、スタンダードナンバーとも呼ばれる。
What's Going Onもそのような歌だ。
1960年代のアメリカは、希望の象徴だったケネディ大統領と共に始まったが、1963年に暗殺された。
国内問題であった人種差別、貧困にあえぐ黒人は、公民権運動に目覚めた。彼らを指導し、非暴力主義を説くマーチン・ルーサー・キング牧師も1968年に暗殺された。
1960年から1975年まで続いたベトナム戦争は、アメリカに多くの損害と失意をもたらした。
ベトナムのジャングルで多くのアメリカの若い兵隊が死んだ。勿論ベトナムの人も多数犠牲になった。
What's Going Onもその時代の中から生まれた歌だ。
だから、歌は時代を語りかける。
しかし、時代を超えて、語り継がれるものを持っている。時代を超えて歌い継がれていく歌である。
『 What's Going On
Written by Al Cleveland, Marvin Gaye and Renaldo Benson
Mother, mother
There's too many of you crying
Brother, brother, brother
There's far too many of you dying
You know we've got to find a way
To bring some lovin' here today
Father, father
We don't need to escalate
You see, war is not the answer
For only love can conquer hate
You know we've got to find a way
To bring some lovin' here today
Picket lines
And picket signs
Don't punish me
With brutality
Talk to me
So you can see
Oh, what's going on
What's going on
Yeah, what's going on
Oh, what's going on
Mother, Mother
Everybody thinks we're wrong
Oh, but who are they to judge us
Simply 'cause our hair is long?
Oh, you know we've got to find a way
Bring some understandin' here today
Picket lines
And picket signs
Don't punish me
With brutality
Come on, talk to me
If you can see, what's
What's going on
Yeah, what's going on
Tell me what's goin' on
I'll tell you you what's going on』
-------- 拙訳 ----------
『
ホワッツ・ゴーイング・オン
お母さん、お母さんたち
多くのあなた達は泣いている
兄弟よ、兄弟たちよ、
遥かに多くのあなた達が死んでいる
方法は判っているよね
今、ここで少し愛することさ
お父さん、お父さんたち
エスカレートする必要はないんだ
わかってるよね、戦争は答えじゃないことを
愛だけが憎しみを克服できるのだから
方法は判っているよね
今、ここで少し愛することさ
デモ隊の行列
そしてプラカードの数々
扱わないで
残酷に
話しかけてよ
そうすれば、わかるさ
オ-、何が起こっているの
どうなっているの
そう、何が起きてるの
オ-、どうなっていくの
お母さん、お母さん、
誰もが間違っていると考えている。
ああ、でも一体誰が僕達を裁くの
ただ単に僕らの髪の毛が長いというだけで?
ああ、わかっているよね方法は
今、ここで少し理解してくれればいいんだ
デモ隊の行列
そしてプラカードの数々
扱わないで
残酷に
さあ、話しかけてよ
何が起きているのか知っているなら
どうなっているのか
そう、どうなっているのか
教えてよ、どうなっているのか
僕が何が起きているのか教えてあげるよ、ああ
』
40年近く前の歌だが、今でも事態は変わっていない。
金融資本主義の暴走、国家財政の破綻、国際間の緊張、核兵器の拡散、宗教対立、地域紛争、テロetc
1960年代70年代と自体は変わってはいない。むしろ悪くなっている。
What's Going Onが時代を超えて、歌い継がれる理由は止むことがない。
歌は聞かなければわからないので、YouTubeで聴いてみよう。
先ずは、Marvin Gaye 本人のライブ。
"What's Going On / What's Happening Brother" 2曲メドレー。

http://www.youtube.com/watch?v=Y9KC7uhMY9s
Marvin Gayeの歌声はエモーショナルで、物悲しさがある。
もう一つは、Ella Fitzgeraldの1972年のJATPをバックにしたサンタモニカライブ。

http://www.youtube.com/watch?v=h5mCtbYbHNc
Ellaおばさんは、陽気で逞しい。
カウント・ベイシーのフルバンドをバックに、スキャットで歌い上げている。
Ellaの歌を聴いていると、何か方法が見つかりそうな気がする。
【データ】
『ホワッツ・ゴーイン・オン(What's Going On)とは、マーヴィン・ゲイが1971年に発表したヒット曲および、同曲を収録したアルバム。
解説
マーヴィンは、ベトナム戦争から帰還した弟から戦場の様子を聞き、反戦のメッセージを込めた楽曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」を生み出す。この曲は、アルバムに先駆けて1971年1月にシングルとして発表され(B面は「ゴッド・イズ・ラヴ」)、全米2位(R&Bチャートでは1位)を記録。その後同名のアルバムが発売された。
アルバム全体のトーンも、タイトル曲を引き継ぎ、アメリカの社会問題の告発、連帯の呼びかけ、愛、神への問いかけといった重厚なテーマが盛り込まれている。タイトル曲のメロディが随所で再登場する構成も相まって、コンセプト・アルバムと呼べる内容である。また、マーヴィンは、自分の表現を妥協せずに貫くべく、自らプロデューサーを務めたが、これは、モータウンのアーティストとしては異例のことであった(マーヴィンと同時期に、スティーヴィー・ワンダーもセルフ・プロデュースの路線にシフトしている)。セールス的にもポップ・チャート6位、R&Bチャートでは9週連続1位という成功を収め、本作は、1970年代の「ニュー・ソウル」を代表する名盤と語り継がれることになった。タイトル曲は『ローリング・ストーン(Rolling Stone)』誌が選んだ「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では4位、アルバムは『ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・ベストアルバム500』(Wenner Books 2005)では6位(アフリカ系アメリカ人ミュージシャンの作品の中では最上位)にランクされている[1]。
収録曲 [編集]
オリジナルLPでは1.-6.がA面、7.-9.がB面
1.ホワッツ・ゴーイン・オン - What's Going On (Al Cleveland, Marvin Gaye, Renaldo Benson)
2.ホワッツ・ハプニング・ブラザー - What's Happening Brother (M. Gaye, James Nyx)
3.フライン・ハイ - Flyin' High (In The Friendly Sky) (M. Gaye, Anna Gaye, Elgie Stover)
4.セイヴ・ザ・チルドレン - Save The Children (A. Cleveland, M. Gaye, Renaldo Benson)
5.ゴッド・イズ・ラヴ - God Is Love (M. Gaye, A. Gaye, E. Stover, J. Nyx)
6.マーシー・マーシー・ミー - Mercy Mercy Me (The Ecology) (M. Gaye)
7.ライト・オン - Right On (Earl DeRouen, M. Gaye)
8.ホーリー・ホーリー - Wholy Holy (R. Benson, A. Cleveland, M. Gaye)
9.イナー・シティ・ブルース - Inner City Blues (Make Me Wanna Holler) (M. Gaye, J. Nyx)
カバー
「ホワッツ・ゴーイン・オン」は、ダニー・ハサウェイ『ライヴ』、オフコース『秋ゆく街で』、ウェザー・リポート『スポーティン・ライフ』、シンディ・ローパー『トゥルー・カラーズ』、ダリル・ホール&ジョン・オーツ『ザ・ベスト・オブ・タイムス~グレイテスト・ヒッツ』(ライブ収録)などで取り上げられた。また、映画『永遠のモータウン』ではチャカ・カーンが歌った。2001年には、多くのアーティストが集結したプロジェクト『アーティスト・アゲインスト・エイズ・ワールドワイド』が歌った。スピーチ(元アレステッド・ディベロプメント)は、『スピーチ』(1996年)に「ライク・マーヴィン・ゲイ・セッド(ホワッツ・ゴーイング・オン)」として改作したカヴァーを収録。
「ホワッツ・ゴーイン・オン」のレゲエバージョンを「1991 TOKYO × JAMAICA SUMMIT」(吉田美奈子プロデュース:スライ&ロビー等が参加で1991年録音)が2008年に発表。
「マーシー・マーシー・ミー」は、ロバート・パーマーが取り上げた。
「ホーリー・ホーリー」は、アレサ・フランクリンが取り上げた。
ダーティー・ダズン・ブラス・バンドのアルバム『ホワッツ・ゴーイング・オン』(2006年)は、本作を丸ごとカバーした内容。』(Wikipedia)