残念ながら長谷川は負けてしまった。残念だが仕方がない。だが、西岡が防衛したことで救われた。『長谷川、TKO負け=西岡は4度目の防衛-ボクシングW世界戦2010年4月30日(金)20:03 (時事通信) 世界ボクシング評議会(WBC)のダブルタイトルマッチ12回戦が30日、東京・日本武道館で行われ、バンタム級チャンピオンの長谷川穂積(29)=真正=は挑戦者で世界ボクシング機構(WB0)同級王者のフェルナンド...
残念ながら長谷川は負けてしまった。
残念だが仕方がない。
だが、西岡が防衛したことで救われた。
『長谷川、TKO負け=西岡は4度目の防衛-ボクシングW世界戦
2010年4月30日(金)20:03
(時事通信)
世界ボクシング評議会(WBC)のダブルタイトルマッチ12回戦が30日、東京・日本武道館で行われ、バンタム級チャンピオンの長谷川穂積(29)=真正=は挑戦者で世界ボクシング機構(WB0)同級王者のフェルナンド・モンティエル(31)=メキシコ=に4回2分59秒TKOで敗れ、11度目の防衛に失敗した。モンティエルはWBCの新王座に就き、WB0は2度目の防衛。
長谷川は4回、左フックの連打など猛ラッシュを浴び、レフェリーが試合を止めた。戦績は長谷川が28勝(12KO)3敗、モンティエルが41勝(31KO)2敗2分け。
スーパーバンタム級は、チャンピオンの西岡利晃(33)=帝拳=が挑戦者で同級10位のバルウェグ・バンゴヤン(23)=フィリピン=を5回1分14秒TKOで退け、4度目の防衛に成功した。西岡は5回の左ストレート一発で勝負を決め、4戦連続KO防衛。戦績は西岡が36勝(23KO)4敗3分け、バンゴヤンが15勝(6KO)1敗。』[時事通信社]
負ける時は、こんなものという負け方だった。
長谷川は減量に成功し、調子が良かった。
3ラウンドまでは、有利に戦いを進め、いけると感じた。
上手く行きすぎていたところに落とし穴があった。
矢張り油断が生じていた。
攻撃だけ考えて、防御への注意が足りなくなった。
モンティエルは、45戦31KOのベテランであり、ハードパンチャーである。
右構えだが、左のフックが強く、KOパンチである。
1ラウンドから右、左の大振りのフックを振り回していた。
長谷川は避けることに成功し、相手のパンチへの注意力が足りなくなった。
モンティエルは、経験豊富で頭脳的だった。両拳を顔前に置き、防御の姿勢の侭、右のショートパンチから入った。ただこの右は見せ球で、右の拳に隠すように左のパンチをフォローしていた。
長谷川は相手の右は見えたはずだが、左は見えなかったはずだ。
モンティエルは狙った通り、左の小さいフックを的確に長谷川の顎に当てた。当たったことを確認すると、止まることなく大きな左のKOフックを長谷川の顎に命中させた。
モンティエルは狙い通りの戦法だったに違いない。
小さく軽いパンチでも、相手が予期していないところに当てれば効く、効いたら間髪を入れずKOパンチを当てる。
3ラウンドまでは出さなかった秘策を4ラウンドにはじめて出したのが効果的だった。
長谷川は立っているのがやっとで、ロープ際まで後退した。
ここからが長谷川が良くなかった。
長谷川は攻撃される経験が充分ではなかった。パンチが効いたのであればダウンすれば良かったのだが、ロープに左腕を巻いて倒れないように支えてしまった。
防御が無くなった長谷川に対し、モンティエルは畳み掛けるようにパンチを繰り出した。レフリーは試合を止めてしまった。
ひとまずダウンして、少し休み、10カウントまでに立ち上がればよいのだが、その経験がなかった。
長谷川は駆け引きが面白いと言っていたが、今日の駆け引きはモンティエルが上だった。
もう一度モンティエルとやるとすれば、モンティエル以上に相手を研究し、防御から組み立てなおして必ず勝つシナリオを考えなければならない。
西岡は、早い回に相手のパンチを1発喰い、グラリとした。
この経験が反って良かった。その後は防御に慎重になり、相手の顔面が空いたチャンスに問題なくKOパンチである左ストレートを当てて快勝した。
勝負の世界は、油断、慢心こそが敵だ。
常に防御を怠ることなく攻撃出来なければ百戦して百勝する訳にはいかない。
2010/05/02 追記
モンティエルの対戦後のインタビューが2ちゃんねるに書かれている。
『長谷川モンティエル再戦反対
72 :名無しさん名無しさん@腹打て腹。:2010/05/01(土) 16:01:17
モンティエルインタビュー
日本マスコミ向け
・タイミングよくフックが入った、長谷川は強い王者なので研究していた
・長谷川は強かった。リスペクトしている
・再戦を望むなら交渉の席につく
・日本でWBCの緑のベルトを取るのが子供の頃からの夢だった
メキシコマスコミ向け
・3つプランを考えて来ていた、1つめを実行しただけで倒せてしまった
・右からのスイッチ左で仕留めようと思ったらおとりの右も入ってしまった
・故郷にベルトを持って帰ることができて幸せだ
・次は暫定王者との統一戦、長谷川とのリマッチは考えていない
もう相手にされてないよ・・・』(2ちゃんねる掲示板)
観戦時に感じたモンティエルの作戦が、メキシコマスコミ向けの発言に明瞭に語られている。
彼は長谷川を綿密に研究し、作戦を周到に準備してきていた。
右からのスイッチ左で仕留めようとプランを立てたと言っている。
KOシーンまでは大振りなパンチを出し長谷川の目を大振りに慣らしておいて、作戦を実行した。
右構えのモンティエルだが、左右の拳を顎に揃えて正面から入り、右からショートフックを出したが此は見せ球だっらがパンチが入ってしまったと言っている。
本当の作戦はここからで、右の拳で長谷川の視界を遮っておき、右の後ろに隠して左のショートフックを長谷川の顎に小さく入れる。
見えない、予期していなかったパンチは効く。左が入った事を確認してから、KOの左のロングフックを間髪を入れず長谷川の顎に決める。此が作戦1だった。
作戦は計画通り実行され、計画通りの効果を上げた。
駆け引きに負けたのは長谷川だったことは明らかである。
勝負の世界では相手に気付かれずに攻撃するのが最も効果的である事は確かだが、モンティエルはその理論通りに実行した。
真正面から打ち合う、お互いが殴り合うというパターンはよくあるし、長谷川もよくやるが、勝つ為には色々な戦い方が出来なければならない。
再戦するのであれば、トリッキーな動きも本人が出来るようになってからだろう。
正面向き合いの殴り合いの戦法だけではモンティエルには勝つことは出来ない。