富屋酒店主催の利酒会に参加した。
今回のテーマは「究極の食中酒」。
日時: 2008年12月24日(日)
場所: アパホテル名古屋錦「鈴鹿の間」
この会は一般消費者対象のものではなく、料理店・飲み処向けの企画であるようだ。筆者が参加できたのは、ある関係者の配慮によって居る。
全国から14蔵が参加し、料理店・飲み処向けの食中酒を展示試飲コーナーの他、食品の展示も行われていた。

参加者は、一般の人が少ないため絞られている関係上、会場のゆとりがあり落ち着いた雰囲気である。
料理の提供はなく、利き酒と食品の試食のみのため、会場は利き酒に集中される。
【出品酒】
平均して各蔵4銘柄出品していた。純米を中心とした食中酒が中心の出品であるが、吟醸酒も出品されていた。
1.群馬泉 山廃本醸造 島岡酒造(群馬)
丸い酸の滑らかな味。後口の癖無い。食中酒として飲みやすい。評価8.0。
燗:軽味が出て滑らかさが増す。後口は癖がなく、品がよい。評価8.5。

群馬泉はすべて1年以上熟成させて出荷している。滑らかな味わいが特徴である。
2.群馬泉 超特撰 山廃純米 島岡酒造(群馬)
立ち香から残り香まで山廃の熟成香味あり。丸酸が中心、甘味と酸味によっている。評価8.0。
3.群馬泉 山廃山廃純米吟醸 淡緑(うすみどり) 島岡酒造 (群馬)
香りに果実香。酸味の厚い味、苦辛はない。後口に山廃らしさを感じる。評価8.5。
4.群馬泉 山廃純米 島岡酒造(群馬)
試飲できなかった。
5.大那(だいな) 山廃純米 一年熟成 菊の里(栃木)
入り口から酸の厚い味。辛味があるが隠されている。山廃の香りあり。後口の嫌味はない、ピリ味系。評価8.0。
6.大那(だいな) 特別純米 菊の里酒造(栃木)
酸味のある純米酒らしい世界。苦辛はなくバランス取れている。評価8.2。
7.大那(だいな) 純米大吟醸 菊の里酒造(栃木)
酸味のある純米酒のイメージの世界。苦味はない。後口はピリ辛系。評価8.0。
8.大那(だいな) 特別純米原酒 ひやおろし 菊の里酒造(栃木)
特別純米に比し、酸が滑らかになり味は薄い印象、ピリ辛味が増す。評価8.0。
9.白岳仙(はくがくせん) 特別本醸造 安本酒造(福井)
軽い酸の味、苦辛の癖無い。後口にアルコールの味。評価7.5。
10.白岳仙(はくがくせん) 純米吟醸雄町 安本酒造(福井)
フルーティな立ち香。厚い酸の味、純米酒のイメージ。評価8.0。
11.白岳仙(はくがくせん) 純米大吟醸 特仙 安本酒造(福井)
甘い香り。甘い入り口の後すぐ厚い酸味のふくらみ。後口は甘味系苦味は隠されている。残り香あり。評価8.5。
12.白岳仙(はくがくせん) 大吟醸 仙 安本酒造(福井)
香りはない。スッキリとした厚くない味。後口に熟成味あり。癖のないピリ辛系。評価8.0
13.喜久酔(きくよい) 特別本醸造 青島酒造(静岡)
厚い酸の味。芯に硬さがある。味が早く終わる。評価7.0。
14.喜久酔(きくよい) 特別純米 青島酒造(静岡)
酸の味が早く来るが広がりはなく中心に固まる傾向がある。後口はピリ辛。評価7.5。
15.喜久酔(きくよい) 吟醸 青島酒造(静岡) 化学臭系の立ち香。酸の味が中心、苦辛はない。後口の酸味はアルコールの味か?評価7.5。
16.喜久酔(きくよい) 純米吟醸 青島酒造 (静岡) 試飲していない。
17.長珍(ちょうちん)特別純米 長珍酒造(愛知)
試飲していない。

愛知県で唯一の参加蔵 長珍酒造 桑山杜氏&専務
18.長珍(ちょうちん) 阿波山田65 無濾過火入れ 長珍酒造(愛知)
香りは感じない。酸の厚い味の厚い押しのある酒。評価8.5。
19.長珍(ちょうちん) 純米大吟醸 禄(ろく) 長珍酒造(愛知)
香りはあまり感じない。バランスの取れた癖のない味、長珍の中ではスッキリ系の味。吟醸酒らしい広がりあり。後口も良い。評価9.2。
20.長珍(ちょうちん) 生生熟成5055 長珍酒造(愛知)
フルーティな立ち香。甘い滑らかな味、苦味はあるが隠されている。後口はピリ辛系。評価9.0。
21.瀧自慢 特別本醸造 本流 伊賀山田錦 瀧自慢酒造(三重)
甘い入り口。次に酸の味、苦辛はあるが隠されているので癖はない。後口も良い。評価8.0。
燗: 甘味が先に来て、酸は薄くなる。辛味のピークが出る。評価7.5。
22.瀧自慢 辛口純米酒 滝水流(はやせ) 瀧自慢酒造(三重)
甘味と酸の味。味わいは長い。後口はピリ辛系。評価7.5。
23.瀧自慢 純米大吟醸 瀧自慢酒造(三重)
厚みのある酸のふくらみ、苦辛は無い。吟醸酒らしい広がりがあり、後口のキレはよい。評価9.0。
24.瀧自慢 純米 神の穂 瀧自慢酒造(三重)
甘い入り口。酸の厚み。純米酒らしい世界。評価8.0。
25.雑賀(さいか) 山廃錦郷(きんきょう)九重雑賀(和歌山)
立ち香山廃の香り。味わいは甘い酸が中心。山廃の香味が後口まで続く、熟成味もあり。評価8.0。
26.雑賀(さいか) 純米吟醸 五百万石 九重雑賀(和歌山)
消毒薬のような立ち香。甘味と酸の味、苦辛はない、味に嫌味はない。後口も癖無い。評価8.0。
27.雑賀(さいか) 純米吟醸 雄町 九重雑賀(和歌山)
吟醸香あり。バランスの取れたスッキリとした吟醸酒の世界。苦辛なく、後口も癖がない。評価9.0。
28.雑賀(さいか) 純米吟醸 山田錦 九重雑賀(和歌山)
酸味の味、ふくらみはあるがキレがない。吟醸酒というより純米酒に近い世界。後口はピリ辛系だが嫌味なものではない。評価8.5。
29.雑賀(さいか)スパークリング純米吟醸 Beer Yeast 九重雑賀(和歌山)
炭酸の泡立つ舌触りとからりとした辛味。夏向きの酒。評価8.5。
30.雑賀(さいか) にごり梅酒 九重雑賀(和歌山)
梅の香り高い、梅は古城梅を使用。上品な酸と甘味。後口も癖がなく快い。バランスの取れた美味しい梅酒である。評価9.0。
31.篠峰 生[聡ヵト 三年熟成 千代酒造(奈良)
酸はこなれているがまだ厚みがある、苦辛はなく落ち着きがある。評価8.0。
燗: 酸のふくらみ、滑らかさが増す。食中酒として燗がよい。評価8.5。
32.櫛羅(くじら)純米 山田錦 一火(いちどび)原酒 千代酒造(奈良)
丸い酸の味、甘味あり、苦味なし、癖なくバランス良い。評価8.5。
燗: 冷やと変わらない。
33.篠峰 愛山 純米大吟醸 千代酒造(奈良)
酸中心の味だが甘味もある。後口のキレも良い。評価8.8。
34.篠峰 秋晴 純米 ひやおろし 千代酒造(奈良)
酸味中心の味。真ん中に固まる傾向があり、まだ硬い印象。評価7.5。
35.土佐しらぎく 斬辛(ざんから) 広島八反錦 仙頭酒造場(高知)
スッキリした入り口。苦辛あるが抑えられている、酸もあるがバランス取れている。広がりもあり吟醸酒に近い。評価8.5。
36.土佐しらぎく ぼっちり 愛媛松山三井 仙頭酒造場 (高知) 甘い滑らかな味わい、バランス良い。後口はピリ辛+苦味。評価8.5。
37.土佐しらぎく 純米吟醸 兵庫山田錦 仙頭酒造場(高知)
香りはない。酸のふくらみあり、苦辛はない。純米酒に近い世界。後口の嫌味無い。評価8.5。
38.土佐しらぎく 生詰 純米吟醸 高知吟の夢 仙頭酒造場(高知)
立ち香はない。酸のふくらみあり、苦みは底にある。後口は軽い辛味系。評価8.0。
39.石鎚(いしづち)雄町 純米 槽搾り 17BY 石鎚酒造 (愛媛)
滑らかなバランスの取れた味、スッキリとして酸もこなれている。後口も良い。評価8.8。
40.石鎚(いしづち)純米吟醸 緑ラベル 槽搾り 19BY 石鎚酒造(愛媛)
吟醸酒らしい世界、酸のふくらみはない、底に苦味がある。後口はピリ辛系。評価8.5。
41.石鎚(いしづち)純米吟醸 無濾過中汲み 山田錦 石鎚酒造(愛媛)
香りはない。スッキリした入り口。酸のふくらみはあるがまだ硬い印象。評価8.0。
42.石鎚(いしづち)山田錦 純米 槽搾り 石鎚酒造(愛媛)
すっとはいるスピード感のある味。酸が中心。味わいは早く終わる。後口のキレあり、癖が無く良い。評価8.5。
43.紀土(きっど) 純米酒 平和酒造(和歌山)
"軽い酸味の味。スッキリとした世界で吟醸酒に近い。評価8.5。
燗: 酸のふくらみが出る。冷やの方がバランスがよい。評価8.0。
44.紀土(きっど) 純米吟醸 平和酒造(和歌山)
酸のふくらみのある純米酒に近い世界。評価8.0。
45.鶴梅 すっぱい 3年熟成 平和酒造(和歌山)
カラメルの香り味わいが濃い。梅は南高梅。評価8.6。
46.鶴梅 完熟 平和酒造(和歌山)
香り控え目、甘い味、梅の味香低い、リキュールの世界、女性向き。梅は南高梅。評価8.4。
47.八岐(やまた)の梅酒 平和酒造(和歌山)
香り控え目、酸味あるが味の芯の硬さがある。梅は南高梅。評価8.2。
48.八岐(やまた)の梅酒 古城梅(こじろうめ) 平和酒造 (和歌山) 梅の香り高い。酸と甘味のバランス良い。後口も良い。評価8.8。
梅の本場には、こちらでは知らない特化した梅がある。
南高梅の本場和歌山の蔵の話では、和歌山では梅酒は南高梅ではなく古城梅を使うそうである。
雑賀の梅酒も梅の香り高く美味しかったが、矢張り古城梅を使っているとのことであった。
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49.いい風~花~純米吟醸 ひやおろし 山岡酒造 (広島) 酸のふくらみがある。純米酒に近いが嫌味のない世界で飲みやすい。評価8.5。
竹鶴(広島)が時間切れのため、試飲できなかったのが残念であった。
中身の濃い利き酒会である。入場券が手に入れば、来年も参加しよう。
【データ】梅酒用の梅について
『主要な梅の品種とその由来(南高梅・古城梅)
このページに関する お問合せ先 田辺市 梅振興室 TEL 0739-26-9959(直通)
古城梅(こじろうめ)

大正時代後期、田辺市長野の那須政右エ門氏が、他所より譲り受けた穂木を接ぎ木した中から生まれたという。那須氏の屋号をとって古城梅と名付けられた。古城梅は、発芽・開花は他の品種に比べ遅れるが、収穫期の早いのが特徴で、樹勢強健、耐病性が強く、果実は極めて美しい梅で主に梅酒、梅ジュースに用いられる。
南高梅(なんこううめ)

明治35年、上南部村の高田貞楠氏が、梅の苗を譲り受けた中に粒が大きく、美しい紅のかかる優良種が一本あるのに着眼し、その木を母樹として育成し、増植を行った。その後、南部高等学校教諭 竹中勝太郎氏が5年間調査研究の結果最も優れたものを南高梅と名付け発表した。南高梅は樹勢強健・豊産で梅酒・梅ジュース用の青梅として、また、梅干用の漬け梅としても適しており、梅の実に美しい紅をさすのが特徴である。』
田辺市梅振興室より転載
http://www.city.tanabe.lg.jp/ume/syuyou.html