三千盛の蔵開きは年2回、3月と11月に開催される。
今年の3月は予期せぬ事情で参加することができなかった。
今回は、PC騒動の最中ではあるが、気分転換に出かけた。
【三千盛】
三千盛は辛口の酒を造り続けて全国的に有名な蔵である。
(株)三千盛
〒507-0901
岐阜県多治見市笠原町2919
電話(0572)43-3181
FAX (0572)43-3183
E-mail: info@michisakari.com
URL: www.michisakari.com
開場は10:00であるが、11頃に到着すると、すでに人でいっぱいである。蔵見学の申し込みをすると、最終回の14:00の分しか空いていないという。秋日和に恵まれたイベントは、参加者が多いので賑やか、自ずから華やいだ雰囲気である。
今回の蔵開きの柱は、4本構成である。
①試飲会
②コンサートとパーフォーマンス
③屋台
④蔵見学
店の入り口で、受付をすませ、300円の入場料を支払うと、試飲用の小型利き猪口を渡される。
試飲会場とパーフォーマンスは、旧蔵。屋台は旧蔵前のスペース。蔵見学は新蔵で行われる。

イベント会場になる旧蔵。

工場見学は、新蔵で行われる。
<試飲会>
早速試飲会場に向かうと、カウンターの前には人がいっぱいで、なかなか近寄れない。

試飲できる酒は、
①純米大吟醸 まる尾 兵庫山田錦40%
②小仕込み純米 純米大吟醸
③純米大吟醸しぼりたて 山田錦45%
④純米大吟醸 にごり 山田錦45%
⑤悠花粋艶(バラのリキュール)
⑥朋醸
試飲した印象は、
①純米大吟醸 まる尾 兵庫山田錦40%
仄かなナッツ系の立ち香、厚めの果実的な酸が味の中心、苦みは底にあり気にならない。後口はピリ系だが気になることはない。
②小仕込み純米 純米大吟醸
落ち着いた酸の味。ピリ辛、苦味無く、旨みのある酒。冷やでも燗でも良さそうである。
③純米大吟醸しぼりたて生 山田錦45%
香りはあるが高くはない、甘酸っぱいフレッシュな厚い味、醪の風味を残しており麹の味もある。
④純米大吟醸 しぼりたて生にごり 山田錦45%
甘い香りの酸味の厚い味底に苦味がある。しぼりたてだが、こなれている面もありべたつかない辛口のにごりである。後口はピリ辛、残り香甘い。
⑤悠花粋艶(バラのリキュール)
鳥取の香り高い薔薇「さ姫」を大吟醸に浸し香りを抽出したリキュール。透明な赤い薔薇の色と薔薇の立ち香がある、人によってはレイシとかブドウとか表現する。
氷砂糖を加えてあるが、適度に苦味、渋みがあるのでべたべたした甘さではなく、大人の味のリキュールである。甘い梅酒がだめな人もこれはいける。
⑥朋醸(ぬる燗)
立ち香に仄かな老香あり、落ち着いた味である。こなれた酸と旨味が中心だが途中甘みも感じる。後口は甘いピリ味。
三千盛の酒は、香りは高くないが旨さ・辛口の爽やかさの点で独自の世界をもっており、その世界が好きになると離れられない魅力がある酒である。
レギュラーから純米大吟醸までその世界は共通である。レギュラー酒だからという手抜きのない酒であり、むしろレギュラー酒にコアなファンを持っているといえる。
値段も比較的に安い。
純米大吟しぼりたて 1.8リットル詰 3.070
純米大吟にごり 1.8リットル詰 2.800
小仕込純米 純米大吟醸酒 1.8リットル詰 4,465
純米大吟醸でも、この値段である。
<蔵コンサートとパーフォーマンス>
試飲会場の奥では各種パーフォーマンスが行われている。
①ロックコンサート ビートルズメドレー
試飲会の音がうるさいのでボーカルが聞き取りにくかった。
②琉球国祭り太鼓 沖縄舞踏 エイサー

なかなか元気な気合いの入ったエイサーで、気持ちよく聞けた。元気をもらえるパーフォーマンスである。
「琉球国祭り太鼓」は1982年に沖縄市で結成された団体で、現在では、沖縄県内のみならず、北海道から鹿児島まで19支部が設立され、海外にも支部を結成して、団員2000名規模の大団体となっているそうである。
今回は、その東海支部がパーフォーマンスした。
土岐市、名古屋市東区、岐阜市、豊田市でエイサー教室が開かれているとのこと。
問い合わせ申し込みは
東海地区長 屋比久康隆(やびくやすたか)
e-mail: yaby-y@ezweb.ne.jp
携帯: 090-2946-8331
③クラッシックコンサート
バイオリン:加藤菜津子 ピアノ:堀江千穂

バイオリンの音色が、隣の試飲会の雑音を圧倒する力を持っていた。日頃の修練を感じさせる力強いコンサートであった。
<屋台>
旧蔵前のスペースに設置されたテーブルには、参加者たちがそれぞれ座って、屋台で販売されている食べ物を楽しんでいる。手打ちそば、焼き鳥、五平餅、どて煮などが提供されている。もう、すでにいい気持ちの人も多いようだ。


手打ちそばを実演販売しているのはそば屋さんではない。
日本そば文化研究所「半布里道場」という団体である。
電話: 0574-54-2050
住所: 岐阜県加茂郡富加町滝田533
名前からしてそば教室もあるようだ。
配布していた葉書には
「一、鉢 二、延し 三、包丁
ころし文句は数々あれど
あたしゃあなたのそばがよい」 と書いてある。
販売されていたそばは、
ざるそば、ころそば、舞茸そば、
3種類食べてみた。
そば五平餅: さっぱりした五平餅、お米と違い、粘りがない。
ころそば:
冷たいかけそばである。下の写真がそうである。
香りよく、そばに透明感輝きがあり、歯ごたえがあり、大変おいしいものであった。

ざるそば:
ころそばが余りにも美味しかったので、ざるも食べてみた。
打つ人が違ったのか、そばが細い。ゆですぎでコシが足りない。ころそばのそばでざるを味わいたかった。

旧蔵出口では、試飲酒の即売が行われている。
よく売れている様子である。
<蔵見学>
イベント会場の旧蔵と道路を挟んだ新蔵で蔵見学である。
岐阜の中島屋さんのグループに入れていただき、早い回の見学に入る事ができた。

精米工場である。
三千盛は人手を要するところは積極的に機械化している。
綺麗な、衛生的な、近代的な蔵である。
できあがった酒は温度調整のできるタンクで熟成されている。
<感想>
秋日和に恵まれて、美味しい酒とそばとコンサート・パーフォーマンスに、参加者は気持ちよく酔うことができた蔵開きであった。
売らんがためだけの酒蔵開放ではなく、高尚なイベントも楽しむことができる気持ちのよい蔵開きであった。
三千盛は、勝ち組の蔵である。自己の姿をはっきりと自覚して商品を造り、効率的な生産を行い、お客さんに比較的安価に商品を供給し、愛好者の支持を得ており、食事どころでも採用されている銘柄である。経営がしっかりしており、そのことがこうした蔵開放にも余裕と遊び心を感じさせる所以であろう。
秋の日の下でほろ酔いでデーブルを前にして座り談笑する人たちもコンサート、エイサーに見せられた人たちも幸せな時間を共有することができたに違いない。