「季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い」は岐阜市の酒の中島屋さんが毎月開催されている酒の会である。 http://www4.ocn.ne.jp/~nakashim/
表題の如く200回を超えた長い歴史を持つ日本酒の会である。
年に4回、春夏秋冬、会場を「ざっぶん」として、開催時間を日曜日の午後1時から終わりは、酒の無くなるまで、普通夜の7時くらいであろうか、特別のマラソン宴会が行われる。
この、存在感のある宴の参加記録である。
五月晴れの日になった。風が爽やかで一年で最も気持ちの良い季節だ。
日曜日の昼前というのに、JRの車中は、前回の時より遙かに混雑している。若者、老人、おばさん達雑多な人達は、それぞれ行く当てもなく天気に誘われて出てきたような服装をしている。おばさん達、三人以上の集団がいくつかあるから姦しい訳である。
岐阜駅の前は、工事はあまり進捗していないが、5月の光の陽炎の中で明るさを取り戻しているように見える。
昼食に入ったレストランも満員のため、外に出るまで40分を要してしまった。急ぎ足で会場に向かうが、1時には間に合わないかも知れない。
「ざっぶん」の入り口のガラス戸を引いてはいると、丁度乾杯が始まるところであった。
受付を済ませ、資料を受け取り、空いている席を探すと、入り口から3つ目のテーブルの通路側が空いている。その隣は、日本酒の会のMさん、その隣、壁側は矢張り日本酒の会のA氏である。
2つ目のテーブルには、同ゼミのN氏、兄貴氏の顔も見える。
席に着くと、早速乾杯である。さあ、マラソン宴会の始まりである。
今日は、造りの季節も終えた4蔵が参加している。岐阜県の三千盛、房島屋、美濃錦 愛知県の蓬莱泉である。
程なく前回の和服美人さんが前の席に着座する。今日は、和服ではなく、スーツである、下はTシャツで洋風の艶めかしさである。
資料の「利き酒メモ」を見ると、
目隠し試飲が3銘柄(テーマは気軽に飲める酒)、これは新聞紙が巻いてあり、銘柄は解らない。試飲の感想を書いて、記名して提出する事になっている。提出が済んだ段階で、3銘柄を紹介するプリントが配布されるとのことである。
乾杯から始まって、最後まですべての銘柄数は15、目隠しを含めると18銘柄になる。
マラソン宴会を、時系列で書くと、料理と銘酒が錯綜して、混乱するので、料理と酒に分けて紹介しよう。
【料理】
1.おつまみの煎餅
2.鰹のたたき ニンニクソース掛け 赤唐辛子味噌添え
山盛りの鰹である。赤みそはかなり辛い。これを付けて食べた後の酒は、すべて
辛口になる。

3.天麩羅
今日のメインディッシュは天麩羅である。小上がりの通路を挟んだ反対側の厨房
で、店主が天麩羅を揚げ、揚げたてをテーブル毎に運んでいただく趣向である。
天麩羅専門店でいただくのと同じである。揚げたてが命の天麩羅ではありがた
い。
・サツマイモ 普通芋は薄く横断面に切るが、これは四角い箱形である。見た目は
筍かと思ったが、口に入れるとサツマイモと思われた。中まで火が通っており、蒸
かしたものを四角に切って揚げた物らしい。
・大葉 大きな大葉の一枚揚げ、豪快。

・南瓜 普通の切り方の普通の南瓜の天麩羅。
・車海老 揚げたてを、口に入れ咬んだ瞬間のプリプリとした感触、次に広がる身
の甘さ、これが海老の天麩羅だと感激する旨さ、聴けば車海老とのこと。海老の
天麩羅は車海老に限る。しかし、専門店に入らないと車海老は出さないだろう。
秋刀魚は目黒、海老天は車海老である。


・車海老の殻揚げ 胸部分を唐揚げにしてあるが、パリパリとした食感の後胴体の
部分の甘さ旨さが味わえる。
・ 蓮根 蓮根は岐阜羽島が名産地である。菜花亭は験を担ぐ訳ではないが、蓮根の
天麩羅は好きである。
・穴子 豪快な1本揚げ。

・茄子 薄く切っていないので、中のジューシーな甘さがある。
・ししとう 大きくて、甘い、辛くない。

・行者ニンニク これは栽培ものではなく、山菜採りの名人である参加者が、野生
のものを採ってきたとのこと。普通、根元だけ切って天麩羅にすることが多いが、
これは姿揚げである。根から葉まですべてが揚げてある。癖はなく、根の部分に
軽いニンニク風の香りがある。美味しい。その上、元気になるような気を感じる。
他ではなかなか巡り会えない。

・海老 これは普通の海老天の食感と味。聴くと、ブラックタイガーとのことである。
我々が普通食べているののはこれであろう。

・アスパラガス 1本の姿揚げ。
・生椎茸 普通の椎茸。

・「こんてつ」 今まで、見たことのないもの。前に坐っていた和服美人さんが教えて
くれる。これは、山菜で「こんてつ」というもの。山菜では有名とのこと。菜花亭が
知らないだけのこと。
帰って、ネットで調べると、確かに山菜として紹介されている。

(写真は、「山菜天国」のサイトから借用しました。)
一般的には、「こしあぶら」の名称だが、岐阜飛騨地方では「こんてつ」と呼ばれる
らしい。
旬の期間は短く、一本の木に一つしか実をつけないので収穫が難しいそうである。
珍しい山菜を提供していただいた山菜名人さんありがとう!!
4.雑炊
既に酔って、会話に打ち興じていた菜花亭は写真を撮ることを忘れてしまった。
この雑炊は、鍋を楽しんだ後の残り汁で作る雑炊とは違い、最初から鶏肉を入れスープを取り、野菜を入れ雑炊を目的として作ったものである。
雑炊には、鶏肉のモモの大きな肉がゴロゴロと入っている。この肉が美味しい。ブロイラーの運動不足の柔らかい若鶏の肉ではないのである。自分の脚でしっかりと運動をした脚肉の食感と鶏肉本来の旨みが咬むほどに感じられる。うまい肉である。
5.デザート
今日の意外性のあるデザートは、アイスクリームである。
意外さは、アイスクリームにかけられたものにある。
それは、醤油である。醤油といっても料理用の醤油ではない。アイスクリーム専用のたまり醤油である。そんなものが、あるのかと思われた方、これがその証拠。

こだわりのたまり屋山川醸造の提供。 http://www.tamariya.com/
溜まりがかかることにより、アイスクリームの甘さがソフトになり、香ばしい香りがしますが、たまり臭さではなく香ばしい。
パーティで使えばたのしい話題になる。
天麩羅だけでも次から次に、運ばれてきていつまで続くのだろうと思われるほどの量である。普通の胃袋の人は、途中で箸を休めることになるが、我がテーブルは6人の内3人が健啖家である。
そのうち2人は和服美人さんと菜花亭である。食べることが幸せなのだ。
気の抜けない天麩羅を揚げ続け、酒を楽しむことすら出来なかったであろう「ざっぶん」店主に感謝するのみである。
私の一言がきっかけになったとは、何とも嬉しい限りです。
映画も沢山見ておられる様で、ビックリしました。
これから、菜花亭さんの色んな一面を拝見出来きるのを、とても楽しみにしております。