日本は今、お花見シーズンだが、お花見をしてはいけないことになっている。 新型コロナウイルスと言う降って湧いた災厄で、世界は歴史に残る大災害になっている。自分を守るために、社会を守るために、人が集まってはいけない、集まらないように自粛が要請されている。各種イベントやお祭りが中止になり、家の中にいるようにと要請されている。日本酒ファンにとっても状況は厳しい、しぼりたて新酒の季節なのだが、蔵開きも中止さ...
日本は今、お花見シーズンだが、お花見をしてはいけないことになっている。
新型コロナウイルスと言う降って湧いた災厄で、世界は歴史に残る大災害になっている。
自分を守るために、社会を守るために、人が集まってはいけない、集まらないように自粛が要請されている。
各種イベントやお祭りが中止になり、家の中にいるようにと要請されている。
日本酒ファンにとっても状況は厳しい、しぼりたて新酒の季節なのだが、蔵開きも中止されたり、日本酒を楽しむ会も中止になり、大人数のお花見も中止になったりしている。
3密の条件が成立するような環境でのお花見は参加してはいけないが、戸外の風薫る、人との距離が2m以上取れる騒がしくないお花を愛でることなら良いだろうと、有志で花を愛でることにした。
9時になっても雨が降り続き、お天気も我らのささやかな願いに味方しないかと思われたが、12時近くなり雲は切れ、青空になり、春の光が満ちる世界になった。
意 天に通ずだ。
そこで、某公園に花を愛でに赴いた。
いつもは、芝生の上にはシートが張り巡らされ、グループが密集し、音楽やダンスの音やBBQの匂いや煙が漂う空間なのだが、自粛下の今日は静かで穏やかだ。
家族連れやカップルが花を静かに楽しんでいる。
小山の花壇のチューリップには少し早い。
花は満開手前だが、美しい。
桜の花は世の中の騒ぎと関係なく、美しい。
花を愛でるには日本の美味しいお酒は欠かせない。
派手な宴会ではなく花を愛で、杜氏が丹精を込めた美酒を楽しむことは、避難されることではない。
有志が持ち寄った花見酒5酒を楽しんだ。
蓬莱泉Rose Sparkling
乾杯は蓬莱泉のSparkling。
甘い香りとシュワシュワとする切れの良さが、花見をめでたく祝う。
淡くピンクがかった色合いは、原料の古代米に由来するポリフェノールの色だそうだ。
澤田酒造 薫風 大吟醸
今年の澤田酒造の蔵開きの限定品。
こうした貴重な酒を味あわせていただけるのは嬉しい。
澤田酒造白老は確りした旨味のある酒というのが個人的イメージだが、この限定酒は大吟醸。
甘く鼻に抜ける吟醸香、スッキリと透明感のある味わい、品の良い含み香、切れの良い後半。
全くの大吟醸の世界だ。澤田酒造の実力を感じた。
白老 若水 常温タンク三年熟成
これは澤田酒造個人的イメージらしい旨みたっぷりのお酒。
この酒は、乾き物のツマミでも本格的料理でも、幅広く合う。
梵 純米大吟醸 吉平
この酒は筆者が持参したもの。
蔵見学に加藤吉平商店を訪問した時に購入したもので、家庭用冷蔵庫で3年囲っておいたもの。
穏やかな立ち香と膨らみのある透明感のある味わいは梵らしいが、後半少し苦味が浮く。
この酒は、家庭用冷蔵庫では囲わないほうが良さそうだ。
米宗 純米 初しぼり無濾過生原酒
滑らかな舌触りとピチピチとした活発さ、味の厚みが搾りたての生原酒らしい。飲みごたえのある世界だ。
花を愛でながら、銘酒を味わいながら、日本酒の話など穏やかな会話を飛沫をたてることもなく楽しんでいるうちに、時間は15時を過ぎ、いつの間にか空は雲に覆われ、吹く風が冷たくなった。
ささやかで穏やかな花を楽しむ人達は、我々も含めて、公園管理者から指導を受けることもなく、花見を楽しむことが出来た。
そろそろ、切り上げることにしよう。
有志のお蔭で今年もお花見をすることが出来た。
幸せを感謝する他はない。