季節の美味しさと日本酒を - 菜花亭日乗
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2022-05-18 (Wed)

2022/05/18 第372回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その1)

2022/05/18 第372回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その1)

  コロナ感染騒ぎが始まって、夜、外で飲む機会は激減した。今日は、岐阜の酒の中島屋主催の酒宴が開催され、会場が人気店の手酌割烹てら田なので、一瞬悩んだが、参加申し込みをした。JR東海道線で岐阜駅に着く。以前は、機会のある都度、駅前の金色に輝く信長公に拝謁する習わしだったが、久しぶりに拝謁をお願いすることになった。18時を過ぎると夏近いとは言え、駅前には夜の帳が近づいていた。暗い中でも、信長公は燦然...

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コロナ感染騒ぎが始まって、夜、外で飲む機会は激減した。

今日は、岐阜の酒の中島屋主催の酒宴が開催され、会場が人気店の手酌割烹てら田なので、一瞬悩んだが、参加申し込みをした。

JR
東海道線で岐阜駅に着く。
以前は、機会のある都度、駅前の金色に輝く信長公に拝謁する習わしだったが、久しぶりに拝謁をお願いすることになった。

18
時を過ぎると夏近いとは言え、駅前には夜の帳が近づいていた。
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暗い中でも、信長公は燦然と輝いて居られる。
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信長公もマスクで防御されておられるので、コロナなどに負けるものではない。

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ご拝謁を終え、駅前の今日の宴の会場手酌割烹てら田さんに、向かった。


【今日のお酒】

この酒宴は、主催者の酒の中島屋店主のテーマによって出品酒がグループ化され登場する。

テーマに沿って、各銘柄を利き比べ、検討することが出来る。

そのシナリオは、受付時に配布される「利き酒メモ」に記載されているので、利き比べ中も、酒宴が終わった後もデータとして利用できる。

今日のテーマは、以下の通り、5つ。
お酒は、14銘柄になっている。


<乾杯>
・玉川アイスブレーカー純米吟醸無ろ過生原酒

<夏のお酒>
・芳水 土用酒 吟醸生貯蔵
・新亀 純米 ライト生酒
・白岳仙 夏虫 純米吟醸 生
・開運 涼々 特別純米

<個性派純米酒飲み比べ>
・鯨波 純米吟醸 袋吊り
・長珍 純米60 無濾過生原酒 
・墨廼江 純米大吟醸 八反錦 
・四季桜 純米吟醸

<今日の贅沢 吟醸酒 飲み比べ>
・日高見 純米吟醸 吟のいろは
・小左衛門 純米大吟醸 黒ラベル
・蓬莱泉 吟 純米大吟醸 限定生

<熟・醇を飲む>
・玉川 アイスブレーカー 純米吟醸 無濾過生原酒
2019
7月詰 冷蔵三年熟成
・手取川 大吟醸 全国新酒鑑評会入賞酒
2005
6月詰 詰後冷蔵12年熟成

今日の出品酒の勢ぞろい
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(玉川アイスブレーカーの3年熟成を入れ忘れたので、13本になっている。
玉川のラベルは3年熟成も同じである。)


以下、出品酒の印象を記載しているが、個人の嗜好による印象なので、客観性はないことを予めご承知をお願いしたい。

<乾杯>
先ずは玉川で乾杯。

・玉川アイスブレーカー純米吟醸無ろ過生原酒
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立香はフルーティーな香り。吟醸香というより甘い香り。 甘い入り口、酸は大きくは膨らまないが、滑らか。中盤、辛味のパンチがあり、この酒の主張を感じさせる。後半の切れ良い。ふんわりとした甘みの追いかけも感じる。


<夏のお酒>

・芳水 土用酒 吟醸生貯蔵
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立香はあまり感じない。すっきりとした入口、とろりとした舌触り。酸は透明でなめらか、味わいの押し付けはなく、穏やかな味わいになっている。後半の切れ良い。食中酒として適性を持っている。


・新亀 純米 ライト生酒
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立香はあまり感じない。 甘い入り口、味わいはバランスよく纏まっている。すっきりとした飲み口で、酸は広がりはないが、中程度の広がり、程の良さを感じさせる、バランスの良いのが身上と思われる。後口も良い、食中酒として幅広い料理に合いそうだ。


・白岳仙 夏虫 純米吟醸 生
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立香はあまり感じない。トロリとした舌触り。なめらかな酸、透明感を感じる。味わいはすっきりとして切れも良い。


・開運 涼々 特別純米
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立香は甘い香り、ほのかな香りだが、独自の個性を感じさせる香りのような気がする。甘い入口、トロリとした舌触り。酸は大きさを感じる。含み香は吟醸香が軽く漂う。後半、軽い渋味と辛味が味を締めている。


<個性派純米酒飲み比べ>

・鯨波 純米吟醸 袋吊り
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立香は、軽くて甘い吟醸香。甘い入口。酸は中程度でなめらか、辛味が後を追い、味を締める。含み香も吟醸香。後半、苦味が味を締める。残り香も吟醸香の余韻。


・長珍 純米60 無濾過生原酒 
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立香はほのかに甘い香り。甘い入口、その後スーッとする酸を感じる、発泡感だろうか。中盤以降スッキリとして切れる。酸の切れの良さと爽やかな味わいが身上の酒。


・墨廼江 純米大吟醸 八反錦 
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立香りは軽く甘いもの。 甘い入口。トロリとしている滑らかな酸の後に軽い苦味を感じる。中盤やや重い感じがするが、味のバランスは良い。


・四季桜 純米吟醸
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立香は甘い。 甘い入口、すぐ辛味が続き、やや重い感じの酸はすぐ終わり、広がりはあまり感じない。渋味と苦味が続く。中に集まる傾向があり、少し広がりが欲しい世界だ。



・日高見 純米吟醸 吟のいろは
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立香は程良い吟醸香。上品な印象を感じさせる。甘い入口、酸は広がり過ぎず、その後辛味が押してくる。含み香は吟醸香。味のバランスは良い。後口は辛味系でピリリとした味わい。
ぬる燗:味わいが軽やかになるが大きくは変わらない。


・小左衛門 純米大吟醸 黒ラベル
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立香は甘くスッキリとした香り。甘い入口。酸はトロリとして膨らみがある。含み香も吟醸香。上品さの中に押しも感じさせる。こだわりの世界を感じる。良いと言うか上級者向けの世界だと思う。
ぬる燗:立香は、吟醸香。甘く広がり、スーッと広がり消えて行く、上品さの中に切れの良さも感じる。


・蓬莱泉 吟 純米大吟醸 限定生
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立香はほのかに甘い、明確な吟醸香は感じない。味わいはバランスが良く旨味を感じさせるもので確りとした世界を感じさせる。甘・酸・辛・苦・渋の味の主張に個性を感じさせるのではなく、味のバランスの中に旨味を感じさせる味わい。


<熟・醇を飲む>

・玉川 アイスブレーカー 純米吟醸 無濾過生原酒
2019
7月詰 冷蔵三年熟成

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(この写真は、2021年のアイスブレーカーを表示している)

乾杯酒のアイスブレーカーと比べると香り、辛味のパンチが丸くなり、滑らかさが出るような印象だが活発な印象は新酒と大きくは変わらない。 冷蔵三年熟成だが、この酒もう少し寝かせた方が、より熟成する余力を持っている印象だ。


・手取川 大吟醸 全国新酒鑑評会入賞酒
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2005
6月詰 詰後冷蔵12年熟成
12
年の熟成酒だが、老香とかの嫌な香りは全くない。穏やかな快い香りを感じる。トロリとした舌触りで、熟成酒特有の肌理の細かさを感じる。含み香も老香等の香りは無い。
熟成酒の良さを感じさせる香りと味わいになっている。 日本酒も管理が良ければ長期熟成をさせる事が可能である事を感じさせる味香の実例と言える。



<出品酒 覚書>

・人気の玉川アイスブレーカー2021年と2019年の利き比べ
人気の玉川の印象は、香りが甘くフルーティーで、酸は滑らかで入りやすいが、その後中盤の辛味にパンチ力がありアイスブレーカーの存在感を感じさせる。
 2019年の3年熟成も舌触りの滑らかさ、辛味の丸みなど熟成らしさも感じるが、まだまだ活発で、3年ではまだ熟度が足りない印象、5年、10年などのアイスブレーカーの熟成を利いてみたいと思う。

・夏の酒4酒は、玉川の後なので一層感じたのかもしれないが、味のバランス、味わいの穏やかさがあり、偏り・癖がないので、相手を選ばない食中酒としての適性を感じた。
どの酒も、様々な肴を邪魔すること無く、相手を引き立てる力を持っている印象だ。
 白岳仙はこの処、香りを抑え味の主張を追求する方向性を感じていたが、今日の夏虫は主張し過ぎず、軽く綺麗に終わる印象を受けた。

・個性派純米酒4
 鯨波袋吊りは、香りが好きな人にはお勧め、立香から含み香、残り香に至るまで吟醸香を楽しむことが出来る。
 長珍純米60新聞紙は、久しぶりに飲んだが、良かった。開栓直後は、すーっと鼻に抜ける酸の発泡感のような爽やかさがあり、酸の切れもよく、爽快。時間の経過とともに、酸が落ち着き厚みを増し飲み応えが出る。
 同じ酒で2
度楽しむことが出来る楽しみが多い酒だ。

・吟醸酒3
 日高見、小左衛門、蓬莱泉それぞれ、目指す所が異なるが、それぞれ所を得ていた。
 日高見は、純米吟醸だが吟醸香、味のバランスが良く上品さを感じさせる。後口もピリッとして終わり、後口の演出が良い。価格を考えると、コストパーフォーマンスが良い。
 小左衛門は、酒の中島屋さんでの扱いが一時無かったと思うが、今日の黒ラベルは良かった。立香、舌触り、膨らみ、含み香、切れなど上級酒の世界が提供されており、間違いのない酒だ。
 蓬莱泉の吟は、人気の蓬莱泉の最上級酒。純米大吟醸なのだが、香り立つ吟醸香とか切れの良い爽やかさの世界ではなく、蔵で3年冷蔵熟成され出荷されている熟成の生酒なので味のバランス・厚み・密度に隙がない世界を実現している。
 評価が難しい面もある。鯨波袋吊りの後に飲んだりすると、何これ香りが立たないじゃないのっといった印象になりかねない。飲む人を酒が選ぶ酒と言ったほうが良さそうだ。

・熟成酒2
 玉川3年熟成については、先に書いた通り、まだまだ活発なので、もう少し寝かせてみたい。
 手取川大吟醸12年熟成酒。これは、ここでしか味わえない一期一会のお酒と言って良い世界だった。
 香りも熟成酒にありがちな老香とか刺激性の香りはなく、穏やかな快い立香が漂い、舌触りの肌理の細かさは12年の歳月が作り出すもので、日本酒にもビンテージの世界があることを理解できる貴重な酒だった。




2022-05-18 (Wed)

2022/05/18 第372回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その2)

2022/05/18 第372回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その2)

今日の酒宴の楽しみは、様々な趣向の銘酒に加えて、手酌割烹てら田の料理がいただけることだ。 この取り合わせは、個人的に設定するのは、困難と言って良い。 他のことを考えず、参加した理由は、其処にある。【今日の料理】てら田の料理は、やはり良かった。今日のお品書きは、大きく言えば9品。前菜を細かく分ければ、17品のコースになる。銘酒との取り合わせを考えれば、楽しみは無限に広がる感じだ。<今日の品書き>1.本日...

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今日の酒宴の楽しみは、様々な趣向の銘酒に加えて、手酌割烹てら田の料理がいただけることだ。
 この取り合わせは、個人的に設定するのは、困難と言って良い。
 他のことを考えず、参加した理由は、其処にある。

【今日の料理】
てら田の料理は、やはり良かった。

今日のお品書きは、大きく言えば9品。
前菜を細かく分ければ、17品のコースになる。
銘酒との取り合わせを考えれば、楽しみは無限に広がる感じだ。

<今日の品書き>
1
.本日の前菜

・峰岡豆腐、ホタルイカ燻製
・桜えびと青菜のお浸し
・鳥松風 、筍旨煮、苺蓮根
・稚鮎甘露煮
・あん肝バター焼
2
.たいら貝と海老とウニのジュレがけ山椒の芽添え
3
.蟹味噌の茶碗蒸し
4.
お造里
5.
海老真薯(えびしんじょ)薬味は塩とレモン
6
.サクラマスのレア・カツのトマトジュレ 山椒の芽添え
7
.牛の赤身のローストと茄子の唐揚げのしゃぶしゃぶ
8
.食事 握り寿司三貫と浅蜊の味噌汁
9
.デザート 杏仁豆腐



1
.本日の前菜
着席すると、目の前には蓋付きの塗箱が置かれている。
蓋の上には本日の前菜の内容を記した品書きが置かれている。これは、ありがたい。

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蓋を取り、前菜の全体を見る、楓の若葉に桜えび、蛍烏賊、筍など季節を楽しむ食材が、目に入る。
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玉川アイスブレーカーのお猪口を挙げ、全員で乾杯を唱和すれば、美酒と美味の織りなす饗宴の始まりだ。

先ずは、順番通り、峰岡豆腐から行こう。

・峰岡豆腐、ホタルイカ燻製
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 峰岡豆腐は、トロリとした舌触り、ネットリとして舌に纏わりつく食感。味はふんわりとした旨味がある。
 ホタルイカはイカの旨味がしっかりと閉じ込められていて、食べていると口の中にイカの燻製の香りが漂う。


・桜えびと青菜のお浸し
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 桜えびは香りはあまりなくスッキリとした旨味だけの味わい。
 青菜のお浸しはサクサクとした食感、出汁の旨みが口の中に残る。青菜の食感が丁度良い感じで、口の中がサッパリとする。


・鳥松風 、筍旨煮、苺蓮根
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 鳥松風は、トロリとした食感、甘みと旨味がその中にある。
 筍旨煮は 、サクサクの食感、噛んでいるとじわりじわりと筍の旨味が広がる。
 苺蓮根は、蓮根のカリカリとした食感、苺の香りはあまり感じないが、ふんわりと漂う印象がある。


・稚鮎甘露煮
(稚鮎は、筍と楓の若葉の下に潜んでいる。)
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 確りとした食感だが、硬くはなく適度な硬さがあり食べ応えがある。 入口は甘いが噛んでいると口の中にじんわりと稚鮎の旨味とほのかな苦味が広がってくる。甘露煮の技術の高さを感じさせる逸品だと思った。


・あん肝バター焼
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 食感はホロリとしている。口の中で次第に広がり、溶けていく、それに連れて旨味がふんわりと徐々に広がり大きな旨味の広がりを作り出す、その過程が楽しい。
 香ばしさのある含み香も程よい感じ。美味しい。

2
.たいら貝と海老とウニのジュレがけ山椒の芽添え
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たいら貝の大きな殻が、お皿として使われている。

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ジュレはとろりとして甘酸っぱくフルーティーで、さっぱりとしている。
 
海老と平貝の貝柱の下にある黄色いソースは卵の黄身だそうで、甘酸っぱいジュレに柔らかくまったりとした味わいを与える効果を持っている。
海老は茹でてあり、ジュレの甘酸っぱさの後、海老の旨味と香りが引き継いで出てくる。
 たいら貝の貝柱はサクサクとしながらトロリとする独特の食感である。


3
.蟹味噌の茶碗蒸し
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見たところ普通の茶碗蒸し。
蓋を取ると想定外の料理に、目が留まってしまう。

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 熱い茶碗蒸しの上に凍らせた蟹味噌の出汁が乗せてある。
 下の茶碗蒸しの中には蟹の身がたっぷりと入っている。

時間とともに冷凍の蟹味噌の旨味が茶碗蒸しと合わさって蟹味噌と蟹の身と茶碗蒸しの玉子の旨味の三味が合体し始める。そこで旨味の大きさが飛躍する。

 
この茶碗蒸し一椀あれば、お酒はいくらでも飲めるほどの旨味が充満していると思った。


4.
お造里
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左より、サクラマス、鰆の塩焼き、鮪のトロ、鯛の昆布締め、蛍烏賊

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 サクラマス  トロリとした舌触り、じんわりと旨味が感じられる。 生臭さはまったく感じない。

 鰆の塩焼  サクサクとしながらしっとりとしている食感。鰆の旨味が強く感じられる。旨味の強い鰆の世界を楽しむことが出来る。

 鮪のトロ 文字通りトロトロで、舌の上でとろける滑らかな旨味。次第に旨味が完成する。
 
 鯛の昆布締め 昆布の旨味とトロトロの舌触りから始まり、その後鯛の旨みが尾を引き、長く旨みが楽しめる筋書きになっている。

 
蛍烏賊 口に入れるとはサッパリとしているが、蛍烏賊の小さな身体中には旨味がいっぱい詰まっている。
  

5.
海老真薯(えびしんじょ) 薬味は塩とレモン
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 薬味が塩とレモンと2種類用意されているのでそれぞれ味を試してみた。
 レモン:  ふんわりとした食感。噛んでいると旨味が上品な甘さと旨味の方に広がって行く。
 塩  : 味わいはレモンと変わらないが、旨味が強く深くなると感じた。

 旨味なら塩、レモンなら爽やかさが感じられると判った。


6
.サクラマスのレア・カツのトマトジュレ 山椒の芽添え
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 サクラマスのカツはカリカリの食感。トマトのジュレソースは、ほのかに甘く上品な甘みがある。
 トマトはさっぱりして口を爽やかにする。


7.牛の赤身のローストと茄子の唐揚げのしゃぶしゃぶ
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しゃぶしゃぶのタレは、日本酒と赤ワインとわさびで作られているそうで、トロリとして甘味がある。

 牛肉の赤身のローストは、パサパサせずジューシーな柔らかい食感で、噛んでいると、牛の旨味が出てくる。
 茄子は甘くとろりとした食感。茄子の味は、出汁とバターの香ばしい風味で美味しい。


8.食事 握り寿司三貫と浅蜊の味噌汁
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 握り寿司は、
 鮪赤身: ネタが大きく、口の中にたっぷりとした充実感。
 サーモン: トロリとした食感で、寿司ネタとしてサーモンの人気が理解できる。
 平目白身: シコシコの食感が楽しめ、上品な旨味が糸を引くように消えていく。

浅蜊の味噌汁
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 浅蜊の味噌汁 味噌汁は合わせ味噌のサッパリとした味わい。浅蜊の身を噛むと旨味が味噌の旨味を追いかける。


9.デザート 杏仁豆腐
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 トロリとした舌触りの後ねっとりとした食感があり、ツルツルとした中華の杏仁豆腐とは舌触りが違う。軽く甘いすっきりとした味わい。
 残り香がミルキーで、洋風の杏仁豆腐と言った方がわかりやすいかも知れない。
中華風の杏仁豆腐より、この杏仁豆腐を食べたい。




2022-05-18 (Wed)

2022/05/18 第372回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その3)

2022/05/18 第372回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その3)

【感想】1.コロナ感染がまだ収まっては居ないが、政府はウイズ・コロナへ舵を切ろうとしている。 確かに、コロナ拡大を防止するには人と人との接触を限りなく減らさなければならない。しかし、自粛も3年目に入ると、弊害が表面化している。 出来事で言えば、芸人上島竜兵の自死が象徴的だ。本当の理由は本人しか知らないが、仕事の面ではコロナのために、チューをしたりするギャグ使えなくなり、真ん中に透明な板を置く対応に...

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【感想】

1.コロナ感染がまだ収まっては居ないが、政府はウイズ・コロナへ舵を切ろうとしている。
 確かに、コロナ拡大を防止するには人と人との接触を限りなく減らさなければならない。しかし、自粛も3年目に入ると、弊害が表面化している。
 出来事で言えば、芸人上島竜兵の自死が象徴的だ。本当の理由は本人しか知らないが、仕事の面ではコロナのために、チューをしたりするギャグ使えなくなり、真ん中に透明な板を置く対応になるが、これではギャグにならない。また、私生活では後輩たちとの親睦会「竜兵会」が自粛のために開けなくなり、寂しいと言っていたそうだ。
 3年前とは違う、ワクチンを3回打っているから、ウイズ・コロナでいけるだろう、今では自粛の弊害を避けることも必要だ。
 感染対策をすれば、夜の宴も許されるのではないか。

その様な、状況下で、この酒宴のご案内を頂いた。
美酒とてら田さんの美味の宴があれば、たとえ夜だとしても、出席するべきだと考えを改めた。

2.今日の酒の感想
 個々の酒の印象は、記事(その1)の通りだが、付け足したいことを書く。

テーマ<夏のお酒>4酒は、それぞれ味のバランスが良く、味わいも穏やかな酒だったので、暑い時期でも、食中酒として楽しむことが出来ると感じた。

テーマ<個性派純米酒飲み比べ>では、
鯨波と長珍が印象に残った。
鯨波は、吟醸酒にたっぷり浸りたい人にはお勧めのお酒。手間のかかる袋吊りのお酒なのだが、価格はリ-ズナブルで、他の純米大吟醸より吟醸香を楽しむことが出来る。

長珍の新聞紙は、久しぶりに飲んだが、流石に長珍、酸の切れが素晴らしかった。
 発泡感を感じさせるような爽やかな味わいと酸の切れが相俟って長珍らしさ全開だった。

テーマ<今日の贅沢 吟醸酒 飲み比べ>では、
価格帯が異なる3酒だったが、それぞれ所を得て、自分の世界を持っているお酒だった。

日高見は、価格帯はリーズナブルな純米吟醸だが、品の良さを感じさせる世界を持っていて、香り、味わい、後口の切れなど、純米大吟醸クラスのレベルを持っている。

小左衛門黒ラベルは、香り、味わい口当たり、どれも拘りを感じさせる出来で、上級志向の人も満足できる本格的純米大吟醸と言える。
 担当幹事さんが、敢えて純米大吟醸をぬる燗にして、飲ませていただいたが、これが素晴らしかった。立香の吟醸香と中盤の品の良い味わいと押しの後、終盤にかけて広がりスーッと消えていく余韻が気持ち良さを誘った。
 冷やしてもぬる燗でも、両方行ける、純米大吟醸だ。

蓬莱泉の吟は、重厚な酒だ。純米大吟醸を敢えて3年寝かして、余分な香りと味を消して、快い含み香と確りとした厚い味の厚みを取り出している。
 ブラインドで日高見と利き比べをすると、人によっては日高見に軍配を上げると思うが日本酒を飲み込んだ人は、吟の重厚さに軍配を上げると思う。

日本酒は難しくて、だから楽しい。

テーマ<熟・醇を飲む>
玉川アイスブレーカーは、今日は2021BY2019BYの飲み比べだった。
 アイスブレーカーの元気さパンチ力は3年でもまだまだ十分だった。5年でもまだだろう。10年、20年の熟成酒がどの様な世界を味あわせてくれるか、いつの日か利いてみたいと思う。

手取川の大吟醸の12年熟成。この酒の中島屋さんの酒宴でしか味わうことの出来ない一期一会の酒だった。
 家庭用冷蔵庫では12年の熟成は、難しいだろう。
この舌触りの滑らかさ、肌理の細かさは、適正な冷蔵保存と長い歳月でしか実現できないものだと思う。
 次はいつ登場するかは判らないが、いずれまた次のスターが登場することだろう。コロナ騒ぎが終われば、夜の酒宴にも出なければ...


3.全体としての感想

 手酌割烹てら田の拘りの料理を肴にして、全国の美酒をとっかえひっかえ利き比べると言うのは、考えてみれば贅沢なことだ。当然のことだが、個人で出来ることではない。
 酒の中島屋さんの選ばれた銘酒とてら田さんの創意溢れた美味が揃って初めて入ることが出来る世界だ。
 両店に感謝する他は無い。 次の機会をまたよろしくお願いしたい。





2021-12-19 (Sun)

2021/12/19 第368回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その1)

2021/12/19 第368回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その1)

岐阜の酒の中島屋さん主催の酒の会に参加した。通算第368回の長い歴史を持つ宴だが、コロナの自粛の影響で中止を余儀なくされていた。漸く前回から再開されたばかりだ。コロナが少し落ち着き、年末最後の忘年会が開催されることになったので、申し込みを済ませた。その日が来たので、喜び勇んで岐阜市に向かった。岐阜駅では毎回信長公にご拝謁することが習わしになっている。駅を出ると、駅前広場ではイベントが開催されていた。...

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岐阜の酒の中島屋さん主催の酒の会に参加した。
通算第368回の長い歴史を持つ宴だが、コロナの自粛の影響で中止を余儀なくされていた。漸く前回から再開されたばかりだ。

コロナが少し落ち着き、年末最後の忘年会が開催されることになったので、申し込みを済ませた。

その日が来たので、喜び勇んで岐阜市に向かった。
岐阜駅では毎回信長公にご拝謁することが習わしになっている。

駅を出ると、駅前広場ではイベントが開催されていた。

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足下まで、近づきお目通りは今日は難しいので、遠くからお目通りさせていただくことにした。

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寒い日だが、信長公は今日も光り輝いておられる。


例年12月の例会は、日曜日の昼に開催されるのでありがたい。
 今日の会場は、久し振りに楮本店となった。

金公園の前の楮本店は、歩いても10分ほどのところだ。
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店の前には、本日貸し切りと表示されている。
楮本店は日曜日休業なので、今日は特別に営業をしていただいたはずだ。中島屋さんとの特別な関係があってのことだろう、ありがたいことだ。

店の前に立つと、中から話し声が聞こえる。
もう参加者は集まっているようだ。


中に入り、会費を支払い、受付を済ませ、席につく。
楮本店は久し振りなので、その間に店内が改装され広く見通しの良い空間が広がっていた。

座ってから、受け取った今日の「利き酒メモ」を見る。
どんな酒と出会えるか期待の一瞬だ。

「利き酒メモ」には、今日の出品酒の一覧と利き酒の心得が書かれ、今日の宴の趣向が書かれている。

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今日の出品酒は、20酒がリストアップされている。
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酒は多い。

乾杯から始まり、しぼりたて、今日の参加蔵である恵那山、個性派純米酒、贅沢な吟醸酒、歳月を得た熟成酒と順を追って利き比べるシナリオになっている。

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定刻の12:00になり、主催者の中島屋西川店主の開会の宣言があった。
 時間は15時までの3時間、お酒は20酒、一人あたり6合の量があるので、急がず、ゆっくりと、銘酒と料理を楽しむようにアドバイスが有り、宴が始まった。

この宴は、お酒を利き比べするのだが、良いところを見つける利き比べで、評点をつけることはしない。
 お酒を楽しむことが目的になっている。

(以下、利き酒の印象を書くが、筆者の個人的な嗜好によるもので、客観性はない。
 また、カメラを新しくしたためまだ慣れていないので、手ブレを引き起こしている点ご了解お願いしたい。)


《 今日のお酒 》

<乾杯>

最初のコーナーは、先ずは乾杯のコーナー。

今年も健康で日本酒を楽しめることに感謝、来年はコロナが収まり、心置きなくお酒が楽しめる年になることを念じて、参加者全員で乾杯!!
お酒は玉川。

(1)
 玉川 てつけず 純米 日本晴 木下酒造 (京都)
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 冷: 甘い立香、甘い入り口。滑らかな舌触り。

甘、酸、辛、苦、渋の味がぎっしり詰まっている。
味の濃い酒。

ぬる燗:立香が出て立つ、麹の香りを感じる。
味わいは濃いのは変わらない。

木下酒造の酒は、新酒でも味は濃く、旨味いっぱい。 玉川らしい新酒だ。


<新酒しぼりたて>飲み比べ
搾りたてのピチピチした新酒を5酒楽しむコーナー。

(2)
 白岳仙 搾立 純米 しぼりたて生原酒 安本酒造 (福井)
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立香はあまり感じなかったが、周囲ではカビ臭い・埃り臭いなどの評価があった。


甘い入り口、とろりとした舌触り、味が濃い。真ん中に辛味があり、しっかりとした味わい。含み香は麹香のようなもの。

個人的には、白岳仙は吟醸酒を得意とするお酒の印象だったが、ここ数年味わいを多様化させているようで、白岳仙をよく知っている人には、気になる変化であるかもしれない。


(3)
 清泉 純米吟醸 しぼりたて生酒 久須美酒造 (新潟)
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 立香は、ほのか。甘い香り。吟醸香も感じる。

酸が軽く広がる。前の2酒の味が濃いので、この酒は軽く感じるが、広がり、大きさがあり含み香も穏やか、吟醸らしい世界を感じる。


(4)
 東一 純米 山田錦 うすにごり生酒 五町田酒造 (佐賀)
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にごり酒。立香は甘く穏やかで快い。辛味が真ん中にあり味が濃い。麹の味わいも感じる。味わいに癖がなく、広がりがあり、快い世界である。

この酒は良い酒だ。

お燗はふくらみが大きくなる。


(5)
 松の司 純米吟醸 あらばしり 松瀬酒造 (滋賀)
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 立香はあまり感じない。甘い入り口。辛味があり、やや含み香に癖を感じる。広がりは無く、味が中に集まる印象。 味わいに松の司の個性があり、人を選ぶ味わいと思う。


松の司ファンには納得の世界だ。


(6)
 菊姫 山廃純米 無濾過生原酒 菊姫合資 (石川) 
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立香は甘い。甘い入り口。滑らかな舌触り。酸と辛味がしっかりと味を作っている強い世界。確りと濃い味を主張している。中盤以降、後半の切れは良い。

菊姫は、農口杜氏が卒業されてから、少し精彩を失っていたような印象を感じていたが、今日の酒は良かった。確かな味の旨い酒だ。


<恵那山のお酒>利き比べ
 今日の参加蔵はざま酒造の吟醸酒4酒の利き比べ。
 蔵から参加された蔵人・営業担当のI氏の挨拶と恵那山の説明があった。

(7)
 恵那山 チアーズ純米大吟醸 山田錦 新酒生 はざま酒造 (岐阜)
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 甘い立香、吟醸香を感じる。 甘い入り口。含み香は吟醸香で、程が良い香りである。 酸はとろりとしているが、広がりはなくややどんよりとしている印象だが、中盤以降は苦にはならない。

 味のバランスは良く、山田錦らしい品の良さがある吟醸酒らしい世界。


(8)
 恵那山 チアーズ純米大吟醸 長野美山錦 はざま酒造 (岐阜)
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甘い入り口。酸は中程度、広がらない。含み香は吟醸香。中盤、苦味・渋味と辛味の押しがあり主張を持っている。

 (7)の山田錦に比べると、味わいにやや癖を感じる。


(9)
 恵那山 チアーズ純米大吟醸 ひだほまれ はざま酒造 (岐阜) 
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甘い入り口。酸はあるが広がり・大きさはあまり大きくはない。含み香は吟醸香。
 味わいがやや中に集まる感じ。含み香の吟醸香が長く続き、少し気になる。


米違いの純米大吟醸3酒を飲み比べたが、ふくらみ、味の品の良さで、やはり山田錦が一番良かった。
これは、個人的に山田錦が好きだからとも言える。

3酒とも1800mlの価格は、3000円だそうだ。
価格を聞いて、驚かされた。
 山田錦の純米大吟醸が3000円で飲むことができる。

この価格設定の背景は、以下の通りだそうだ。
『◆蔵元より
 新しい生活様式の中で徐々に人の動きが出てきておりますが、感染状況は日々変化し、それに合わせるかのように消費行動も変化し、大変厳しい状況が続いています。

Cheers
(チアーズ)という言葉には乾杯という意味に加えて応援するという意味もあると言われています。コロナ禍の中で日本でも先の見えないこんな時だからこそ、普段から恵那山をお飲み頂いている皆様、お世話になっている酒販店様、飲食店様を応援したい。

そして何より日本酒をお飲みいただくことで、恵那山に関わる皆様に笑顔になっていただきたい。そんな想いを込めた特別限定酒です。

◎試飲しました(2021.11.11
恵那山の新酒です!やや艶のある色合い。洋ナシや白桃の香り。含むとフレッシュで甘ジューシーですが、透明感のある甘味が爽やかに広がる。口当たりが優しくて心地良く、喉ごしもスムーズ。後口もキレイで上品な酸で引き締まります。

このスペックでこの味わいならとてもお買い得だと思います。コスパも高い美味しい純米大吟醸です。』
(酒のあべたや
https://www.abetaya.com/phone/product/1584
より転載)


(10)
 恵那山 純米吟醸 山田錦 火入れ はざま酒造 (岐阜)
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立香は甘いもので、程良いもの。 甘くふくらみのある酸、広がりも感じられる。吟醸香の含み香も程良い。広がりがあり、大きさ・おおらかさがあって、穏やかで良い世界を持っている。


個人的には、大吟醸酒3酒よりこの純米吟醸の方が、好みだった。
 (7)の山田錦の純米大吟醸も良かったが、この純米大吟醸の方が穏やかで落ち着いた吟醸酒の世界を楽しめるように感じた。
 この純米吟醸は定番酒で、はざま酒造の看板商品らしい。確かに吟醸酒らしい良い世界を持っている。
 価格は、1800ml3300円、純米大吟醸より高いが、それは純米大吟醸が特別限定酒の位置づけで、価格も特別なのだろう。


<個性派純米 飲み比べ>

(11)
 九頭龍 純米 燗たのし 黒龍酒造 (福井)
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冷:立川感じない甘い入り口からみの芯があり硬い印象がある中盤から水戸天海の芯が感じられる全体の印象として固い感じ。


お燗: 立香はアルコール臭。甘さの後ビリリとする辛味が舌を刺す感じ。広がりふくらみはなく、味わいがやや狭い印象。


(12)
 ゆきの美人 純米吟醸 山田錦 超辛口 秋田醸造 (秋田)
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甘い立香。すっきりとした入り口。甘さの後、酸があるが、やや重い感じ。

 中盤、苦味・渋味は浮かない、辛味中心の押しがある。後口も辛味系。

周辺でもゆきの美人にしては、この酒はと言う声があった。個人的にも吟醸酒らしい世界を持ったゆきの美人にしては味が硬い印象だった。
 日本酒度+14の超辛なので、(11)と同様、燗向きなのかも知れない。
 燗した酒はあったのかも知れないが、回ってこなかったのか、利いていない。


(13)
 夜明け前 純米吟醸 金紋錦 小野酒造店 (長野)
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冷: 甘い入り口。酸はなめらか。含み香は吟醸香が程よい。味のバランス良い。吟醸酒として評価は高いと言える。


お燗: 立香は吟醸香。甘い入り口。スピード感のある酸。含み香も吟醸香。冷やに比べて力強さが出て、スピード感がある。面白い変化で初めての経験だ。

この酒は、個人的には良かった。
冷では、吟醸酒らしい香りと味わいのバランスが良く、安心して飲める吟醸酒。

燗にすると、酸のスピード感が出て、力強さも増して、パンチも感じる。

冷でも燗でも楽しめる二刀流だ。




2021-12-19 (Sun)

2021/12/19 第368回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その2)

2021/12/19 第368回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その2)

<今日の贅沢・吟醸・大吟醸 飲み比べ>吟醸酒5酒の飲み比べ。清泉は看板商品の亀の翁 純米大吟醸の新酒と1年熟成酒の飲み比べ。〆張鶴も次のコーナーに出品される熟成酒との飲み比べが楽しめる趣向になっている。(14) 立山 吟醸酒 立山酒造 (富山) 立香は甘い、その後ほのかな吟醸香。甘い入り口。酸は中程度。含み香も吟醸香。中盤、辛味みがある。含み香が長く持続するのが少し気になる。(15) 〆張鶴 吟撰 吟醸酒 製...

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<今日の贅沢・吟醸・大吟醸 飲み比べ>
吟醸酒5酒の飲み比べ。
清泉は看板商品の亀の翁 純米大吟醸の新酒と1年熟成酒の飲み比べ。
〆張鶴も次のコーナーに出品される熟成酒との飲み比べが楽しめる趣向になっている。

(14)
 立山 吟醸酒 立山酒造 (富山) 
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立香は甘い、その後ほのかな吟醸香。
甘い入り口。酸は中程度。含み香も吟醸香。
中盤、辛味みがある。含み香が長く持続するのが少し気になる。



(15)
 〆張鶴 吟撰 吟醸酒 製造:2021-11 宮尾酒造 (新潟)
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立香は上品な吟醸香が快い。甘い入り口。酸はすっきりとしてスピード感がある。中盤以降辛味が味を締める。含み香も吟醸香。

 吟醸酒らしい世界を持っている。吟醸酒として安定感のある味わいを感じる。

宮尾酒造の通年定番商品。
安定感・安心感のある吟醸酒で、これを選んでおけば吟醸酒の世界を楽しむことができる。吟醸酒を知りたい人に勧められる酒だと思う。



(16)
 瀧自慢 純米大吟醸 亀の尾 滝自慢酒造 (三重)
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立香はあまり感じない。甘い入り口。酸は豊かに広がる、大きな世界を持っている。

含み香は吟醸香が穏やかな印象。
癖がない吟醸酒の世界を持っている。

裏ラベルの記載に下記の通り記載がある。
「様々な品種改良の祖となった、ブランド米のルーツ、亀の尾。南部杜氏の里として知られる地〈岩手県石鳥谷町)で、こだわりの酒米を育てる蔵人農家の高橋亮介氏より仕入れました。

盃へ注いだ瞬間はさらりとした風味も、次第にしっかりと膨らみのある味わいに。冷から常温にかけて僅かな温度変化による味の違いが楽しめます。亀の尾が食用としても愛されてきたポテンシャルを感じる、どんな食事にも合わせやすい究極の食中酒です。」

「究極の食中酒」をコンセプトにしている。
純米大吟醸を食中酒にするのは贅沢だが、確かにこの酒は、吟醸香の立香は抑えられており、含み香も適度な丈と長さで出しゃばらず、相手を引き立てる懐の深さ・余裕を感じさせる。
 おおらかさを感じさせるふくらみがあり、安心感がある。
お正月のおせち料理で穏やかに宴と言う場面には適役の純米大吟醸だと思う。



(17)
 清泉 亀の翁 純米大吟醸 製造:2019-02 久須美酒造 (新潟)
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立香は吟醸香が立つ。甘い入り口。酸は透明感があり、見通しが良い。含み香も吟醸香が程よい。

 安定した吟醸酒の世界を感じる、安心して飲むことができる。



(18)
 清泉 亀の翁 純米大吟醸 製造:2018-02 久須美酒造 (新潟) 
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立香あまり感じない。甘い入り口。酸の膨らみがあり、大きく広がる。含み香はほのかな吟醸香だが、何か香ばしさも感じる。
 尖った味わいが無く、丸く穏やかで世界は大きい、1年の熟成の差は大きい。


<清泉 亀の翁 純米大吟醸の飲み比べ>
「清泉 亀の翁 純米大吟醸」は久須美酒造の銘柄の中でも高い格付けで、1800ml8000円の価格。
蔵で18ヶ月熟成してから出荷している

(18)
(17)は製造年月が20182月と20192月と1年違う。
たかが1年だが、その味わいはかなり違う。
どちらが好きかと言われれば、どちらも好きだが、あえて言えば20182月製造の(18)が個人的には好みだ。

同じ造りの酒なのだが、味わいからすると、それぞれ他の蔵の吟醸酒に通じる世界を感じる。

吟醸酒らしい香りと透明感・スピード感・切れといった味わいでは、2019年製造の(17)(15)の〆張鶴 吟撰に近い味わいだと感じた。

吟醸酒らしい品位を保ちながら、控え目で、相手を受け入れる大きさ・度量といった味わいでは、2018年製造の(18)は、(16)の瀧自慢の大きさに通じている。
 瀧自慢が「究極の食中酒」なら(18)の清泉亀の翁は「至高の食中酒」と言って良いだろう。

お金を惜しみ無く使える人は、2022年の年酒には(18)の「清泉 亀の翁 純米大吟醸 製造:2018-02」をお勧めしたい。



(19)
 〆張鶴 吟撰 吟醸酒 製造:2020-11 宮尾酒造 (新潟)
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立香はあまり感じない。入り口は甘い、酸は広がらない。中盤、軽い渋味を感じる。

(15)
の〆張鶴の方が良い印象。

(15)
(19)は製造が1年違うお酒で、縦の飲み比べになる。
この比較では、新酒の(15)の方が吟醸酒らしい香り・透明感が高く、(19)の方は香り・広がりの面で物足りない印象を受けた。
 〆張鶴は清泉とは違い、熟成を想定した造りは行っていないのかも知れない。



(20)
 玉川 タイムマシン 山廃純米無濾過生原酒2019BY 木下酒造 (京都)
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立香はエチル系の香り、香ばしさも感じる。

甘い入り口。とろりとした舌触り。
中盤、辛味もあるが、旨味が凝縮している感じ。
周囲では味醂という声が高かった。
ぎっしりと味が詰まった世界で、木下酒造の個性が爆発している。

今日の宴には関係ないが、このタイムマシーンのビンテージの話。

先日、中島屋さんのお店にお酒を求めてお邪魔した時、冷蔵庫や商品棚を眺めていた。目的は買うことだが、見る楽しみはべつの楽しみだ。

商品棚を見ていると、入口に近い常温の棚の中に金色に輝いて、一際自己主張している瓶が目についた。細身の姿だが主張は際立っている。
何だろうと近づいて、ラベルを見ると、

「玉川 Time Machine Vintage 2014BY」と書かれている。

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購入する酒は、もう決まった後だったが、これは手に入れなければと思い、瓶を手に持って、これもお願いしますと勘定場に持っていくと、
西川店主は、我が意を得たりとばかり、“それは、面白い”とおっしゃった。
製造は2019年だが、造りは2014BY
まだ栓を開けていないので、印象は書けないが、2019BYが爆発しているのだから、推して知るべし。
(その時、棚には3本在庫があったが、今、在るのかは、要照会。)

木下酒造は、熟成をコンセプトにお酒を造っている。
イギリス人の杜氏さんは、日本酒を本来の熟成酒の王道に戻す挑戦を行っている日本人以上の日本人と言えるだろう。


2021-12-19 (Sun)

2021/12/19 第368回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その3)

2021/12/19 第368回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その3)

<今日の料理>・茶碗蒸しとろりとした舌触り。滑らかな食感。出汁の旨みを感じる。具を噛むと旨味が広がる。長芋がホクホクの食感。・お椀エビのしんじょう。さっぱりとした味わい。たっぷりとした銀杏の旨味と癖が、しんじょうの味を締めている。 エビは臭みがなく、上品な味わい。全体として、さっぱりとして美味しい。・焼き物取り弦付きの大皿が楽しい。各人に一皿ずつ運ばれてきた。 さつまいもの焼き芋  表面はカリ...

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<今日の料理>

・茶碗蒸し

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とろりとした舌触り。滑らかな食感。出汁の旨みを感じる。具を噛むと旨味が広がる。長芋がホクホクの食感。


・お椀
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エビのしんじょう。

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さっぱりとした味わい。たっぷりとした銀杏の旨味と癖が、しんじょうの味を締めている。
 エビは臭みがなく、上品な味わい。全体として、さっぱりとして美味しい。


・焼き物
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取り弦付きの大皿が楽しい。

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各人に一皿ずつ運ばれてきた。

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 さつまいもの焼き芋  表面はカリッとした食感で焼かれており、中は甘くとろりとした食感になっている。旨味のある甘さで、バターが入っているのかどうか。美味しい焼き芋だ。

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カマスの焼き物 サクッとした食感で、上品な旨味、香ばしく焼かれており魚の臭みは全くない。


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菊芋の唐揚げ カリカリとして香ばしい。塩の薄い味付けがされている。

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里芋の唐揚げ ほっくりとした食感で、なめらかな舌触り
海老の頭の唐揚げ 髭足の部分はパリパリとした食感。胴体の部分は旨味が濃く、噛むほどに旨味が広がる。パリパリの食感の気持ち良さと旨味の取り合わせが面白い。


・林檎の白あえ
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白いクリームのようなソースがかかっている。
りんごのシャキシャキとした食感と甘さが感じられる。

・あん肝と大根炊きの合わせ
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あん肝は、甘さと醤油の香ばしさが合わさった香りが立つ。 とろりとした舌触り、滑らかな舌触り。上品な旨味が広がり、ふわりとした食感と旨味みが余韻として残る。

大根は炊き込まれており、とろりとした食感、出汁の旨味みがふんわりと広がり、美味しい。


・鰆の焼き物と蕪の合わせ
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鰆は、確りとした食感、噛んでいると旨味が次第に広がってくる。

蕪はトロトロの食感、甘い。口の中で溶けていく感じ。


・炊き込みご飯となめこの吸い物
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炊き込みご飯は、具材は鶏肉とネギ。香ばしい香りがするのは釜炊きだからか。
味は薄味でさっぱりとした炊き込みご飯になっている。

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なめこが大きい、まったけのように見える。
噛むとシコシコとした食感、薄味の上品な薄味の仕立てになっている。 


・ミルクプリン マンゴーソース添え
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とろりとした舌触り、甘さとミルクの香りと味。
マンゴーの爽やかさ。
甘さ、ミルクの風味と余韻が快い。


<恒例籤引き大会>
宴も終わりに近づき、12月の宴の趣向である籤引き大会の時間になった。
 毎年、常連である陶芸家のM氏が準備された酒器が籤引きで当たる、嬉しい催しだ。
M
氏のご厚意に感謝したい。
酒器は、盃、お猪口など、陶器、磁器など色々で、開けてみるまでわからない。

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今年は、Merry Christmasの箱に入った織部のぐい呑があたった。

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M氏の話では、友人の陶芸家の作品で、良いものだそうだ。
 この酒器なら木下酒造の旨酒も美味しく飲めるはずだ。



15
時を過ぎ、楽しみに満ちた宴も終わりの時を迎えた。
 コロナのために、お酒を皆で集まって楽しむ宴は、開きにくい2021年だった。
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月にコロナの感染者数が減少し、この宴が開催され、参加することが出来たのは、本当に良かった。

机を同じにした酒友A氏もお酒に関する有名youtuberTご夫妻も、お酒、呑処の情報・知識は人に抜きん出て、無尽蔵であり、楽しいお話を伺うことが出来た。これもこの宴の歓びだった。
感謝である。


岐阜駅までの道を、ふらりふらりとほろ酔い(?)で歩くのは、最高の気分であった。




2020-12-20 (Sun)

2020/12/20 第364回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その1)

2020/12/20 第364回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その1)

酒の中島屋さん主催の「季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い」に参加した。久し振りに参加できて、本当に楽しかった。新型コロナの為に、今年のはじめから飲み歩きはできなくなった。 コロナ感染が社会問題になってからは、岐阜で20時からの酒の会に出る事は難しくなった。12月の今回は、2020年の締めくくり、忘年会の位置づけで、日曜日のお昼12時スタートで開催される。 会場の「minoてつめい」は貸し切りのため他の客の参加は...

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酒の中島屋さん主催の「季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い」に参加した。

久し振りに参加できて、本当に楽しかった。

新型コロナの為に、今年のはじめから飲み歩きはできなくなった。
 コロナ感染が社会問題になってからは、岐阜で20時からの酒の会に出る事は難しくなった。

12
月の今回は、2020年の締めくくり、忘年会の位置づけで、日曜日のお昼12時スタートで開催される。
 会場の「minoてつめい」は貸し切りのため他の客の参加はなく、常連さんばかりなので、コロナの感染リスクは0と言って良い。
 そこで、勇躍参加することにした。


岐阜駅で降りると、いつもの通り駅前の信長公にご拝謁しなければならない。

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今日は、天気がよく青空なので、信長公は黄金に輝くお姿だろうと思いながら、駅を出ると、その通りだった。

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信長公がマスクを着用されたことは以前に聞いたが、第3波の今も、率先垂範、着用の上、感染防止を呼びかけられておられた。

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もう5年も時が経てば、この様なお姿を見ることはなく、お写真を拝見し、笑って話せることになるだろう。


会場の「MINOてつめい」は、人気店楮グループの店で岐阜市の金神社近くにある。
岐阜駅から歩いていくことが出来る距離にある。

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店内に入ると、もう先客が着席していた。
出席者は、例年12月は定員満席の20名を超えるが、今年は官公庁関係者や自粛者があり、常連の方も無念の欠席があり、14名程で宴は始まった。

会費を支払い、受付を済ませると、今日の出品酒が記載された「利き酒メモ」が貰える。
 銘柄数が2,3銘柄であれば、記憶でも対応が可能だが、この会は銘柄数が20近くになるので、この資料はありがたい。
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 着席して資料を開くと、出品酒の数、銘柄名が判り、どんな酒が登場するか期待が膨らむ。
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酒の数は多いが雑然と飲むのではなく、主催者の中嶋屋店主の脚本に従って登場する。
次の5幕の構成になっている。
<乾杯>
<新酒しぼりたて 飲み比べ>
<個性派純米 飲み比べ>
<今日の贅沢・大吟醸 飲み比べ>
<熟・醇・ を飲む>

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【今日の出品酒】

利き酒メモには17銘柄が記載されていたが、ゆきの美人山田錦の飲み比べ用に1年熟成酒が追加されたので18酒になった。

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 14人の出席者で4号瓶18本、たっぷりのお酒だ。利き酒が終われば、カウンターに並んでいるお酒を中から気になったものを再度飲むことが出来る。
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この会はお酒の優劣を評価する会ではないので、個々人がそれぞれ飲み比べを楽しむことになっている。

以下、出品酒の利き酒結果を記載するが、個人的な嗜好による利き比べであり、客観性はない事を予めお断りする。


宴は、利き酒メモに記載されているシナリオに沿って、乾杯の幕開きから始まった。

<乾杯>

(1)
玉川 純米吟醸 手つけず原酒 無濾過生原酒 五百万石 60%精米 直汲み 木下酒造 (京都) 
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知る人ぞ知る玉川が今日の乾杯酒。
木下酒造人気に溺れることはなく、このコロナ禍の中でも営業担当は足繁く中島屋さんに足を運んでいるそうだ。
造りと営業が一体になれば、酒蔵は活き活きする。
味わいにもそれが感じられる。

玉川で元気をつけ、コロナに勝とう!! 乾杯!!

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原料米 五百万石 精米歩合 60%  酵母 協会9号 日本酒度非公開 酸度 非公開 アルコール度1718

甘い入り口。滑らかさとピチピチと弾ける辛味を感じる、含み香はエチル系のもの。味わいが個性的で甘さと辛味の厚みを感じるが、舌でほぐそうとしても粘りが在って、ほぐれない、これは個性的だ。しかし、中盤から以降、スッキリと切れる、粘りから切れの振幅が大きく、独自の世界を持っている。玉川の酒は面白い。 


<新酒しぼりたて 飲み比べ>
次は新酒のしぼりたての飲み比べの幕。

最初は、清泉の純米吟醸の2酒の飲み比べ。
造りは同じ、違うのは1点、掛米が違うのみ、(2)は「こしいぶき」(食用米)、(3)は麹米、掛米両方五百万石。
掛米だけの違いで味が変わるのかがテーマだ。

(2)
清泉 純米吟醸 しぼりたて生酒 久須美酒造 (新潟)
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原料米:五百万石・こしいぶき 精米歩合:55% 日本酒度:+3.0 酸度:1.5 アミノ酸:1.5 アルコール度:15%
 麹米に五百万石、掛米に食用米のこしいぶきを使用。
立香は仄かな吟醸香。甘い入り口。スッキリとした印象、玉川の後だからかも知れない。なめらかな舌触りで、甘さ、辛さ、中盤と味の展開がはっきりしている、味が通り過ぎていく感じで全体としてのまとまりが欲しい。


(3)
清泉 夏子物語 純米吟醸 しぼりたて生酒 久須美酒造 (新潟)
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原料米:五百万石 精米歩合:55% 日本酒度:+3.0 酸度:1.7 アミノ酸:1.6 アルコール度:15% 麹米、掛米共に五百万石100%。

立香は吟醸香、甘い入り口。口に含むとふくらみが大きく、味の偏りがなく一体化しており、纏まりバランスが良い、甘さと辛さが中心で苦味・渋みは浮いてこない。全体として嫌味がなく、穏やかな世界。後半の切れ良く、後口は辛味系。

純米吟醸しぼりたて生酒と夏子物語の違いは、掛米が食用米のこしいぶきと五百万石の違いで、他は同じ。価格は720ml1510円と1720円、210円の差がある。
 評価は人によるが、個人的には格の違いを感じるので、210円高くても夏子物語を買って飲みたい。
 掛米だけの違いでこれ程味わいが違うのは驚きだった。
酒米というものの存在理由が再認識できた。


(4)
 ゆきの美人 純米吟醸 しぼりたて生 秋田醸造 (秋田)
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原材料 米(国産),米麹(国産米) アルコール度数 16 使用米 山田錦,酒こまち 精米歩合55
使用酵母 蔵内14号 日本酒度 +5+7 酸度 1.5

立香は程良い吟醸香。甘い入り口。ふくらみ大きい、辛味は浮かず背後で味を締めている。味のバランスも良い、フレッシュさとふくらみを感じる。
(3)
に似ている世界だがフレッシュさはこちらの方が感じる。


(5)
 四季桜 冬桜 純米吟醸 おりがらみ生原酒 宇都宮酒造 (栃木)
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この辺りでは知られていないが、栃木周辺では人気があり、入手困難の希少な酒と言われているとの説明があった。
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原料米 栃木県五百万石 精米歩合 55% 日本酒度 +3.7 酸度 2.1 alc 17

立香は甘い香り。甘い入り口。酸は滑らかでふくらみがあり、辛味は表面に出ず背後で味を締めている。大きな世界を持っている。

(3)
(4)(5)はいずれもふくらみがあり、大きな世界を持っている点似ている。吟醸香は(4)が最も吟醸香らしい。
 個人的な価値観では、純米吟醸は中途半端な印象を持っている。下位スペックの特別純米・純米と変わらないもの、場合によっては純米酒のほうが良いものがあり、一方純米大吟醸と比べると透明感・ふくらみ・切れの良さが劣る。
 中途半端な純米吟醸と言うイメージなのだが、今日の(3)(4)(5)はそのイメージを覆すふくらみと世界の大きさを感じさせてくれた。
 純米吟醸もこの3酒なら、存在理由がある。


(6)
 松の司 純米吟醸 あらばしり  2020/12製造 松瀬酒造 (滋賀)
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原料米:滋賀県竜王町産山田錦100%使用(環境こだわり農産物認証) 精米歩合:55% アルコール度数:16度以上17度未満 日本酒度:+3 酸度:1.4

立香は甘い香り。甘い入り口。とろりとした舌触り。酸は滑らか。次に辛味が来て、味の押しを感じる。含み香は麹香と甘い香を感じる。香りの主張が(3)(4)(5)より強い。ふくらみがあるが、中盤からの切れも良い。





2020-12-20 (Sun)

2020/12/20 第364回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その2)

2020/12/20 第364回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その2)

次の幕は、シナリオでは<個性派純米 飲み比べ>になっているが、実際には<今日の贅沢・大吟醸 飲み比べ>の幕を先に行った。 理由は、参加者から酔ってしまう前に大吟醸を先に飲みたいと言う希望があったそうだ。だが、記事はシナリオ通りの順番で書いている。<個性派純米 飲み比べ>(7) 白岳仙 真紅 辛口純米 安本酒造 (福井)原材料:五百万石 精米歩合:麹米55%、掛米65% 日本酒度:+10 酸度:1.6 酵母:HGS-02(...

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次の幕は、シナリオでは<個性派純米 飲み比べ>になっているが、実際には<今日の贅沢・大吟醸 飲み比べ>の幕を先に行った。
 理由は、参加者から酔ってしまう前に大吟醸を先に飲みたいと言う希望があったそうだ。

だが、記事はシナリオ通りの順番で書いている。


<個性派純米 飲み比べ>

(7)
 白岳仙 真紅 辛口純米 安本酒造 (福井)
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原材料:五百万石 精米歩合:麹米55%、掛米65% 日本酒度:+10 酸度:1.6 酵母:HGS-02(自社保存酵母) アルコール度数:15%

立香はスッキリとして鼻に抜けるが、何か消毒臭のような感じもあるエチル系の香り。酸のふくらみと含み香が来て辛味が来る、主張のある味わいだ。後半にかけての切れが良い。食中酒として幅広く肴に合いそうな印象だ。

この酒だけで言えることではないが、白岳仙の味わいが変わってきていると感じた。
 以前は白岳仙のイメージは、吟醸酒だった。正統派の吟醸酒で福井の酒らしいイメージだった。
 このところ、味わい系の酒に変化しているように感じる。福井は吟醸酒を得意とする蔵が多いので、味わい系を追求する方針になったのかも知れない。


次の(8)はシナリオには1種類しか記載がないが、実際には1年前の熟成酒が追加提供され、1年の垂直飲み比べの趣向になっていた。
 1年の熟成で味わいはどう変わるか。新酒が良いか、熟成酒のほうが良いか、興味深い試みだ。


(8) 純米吟醸 ゆきの美人 山田錦 6号酵母 超辛 2020年11月製造 秋田醸造 (秋田)
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原材料 : 山田錦 精米歩合 : 55% 日本酒度 : +16 酸度 : 1.5 アルール分 : 16% 

甘い入り口。酸はふくらみがあり、次に辛味が来る。微発泡感のシュワシュワッとした辛味もある。味わいの世界というよりスッキリと切れる爽快感に特徴を感じる。


(9)
 純米吟醸 ゆきの美人 山田錦 6号酵母 超辛 2019年11月製造 秋田醸造 (秋田)
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原材料 : 山田錦 精米歩合 : 55% 日本酒度 : +16 酸度 : 1.5 アルール分 : 16% 

口に入れると大きく広がる、炭酸のスパークリングのような感じのシュワシュワが来る。大きく爽やかな世界を持っていて、独自の世界を感じる。利いている内に鼻がムズムズして、クシャミが2回出た、立ち上がって、客席と反対側のカウンターに向かっておしぼりで押さえながら済ませたが、この時節、この揮発性のものは困る、何か異常発酵でもあるのか、炭酸の刺激なのか。

(8)
との利き比べは、去年のもののほうが大きな世界で爽やかさがあり独自の世界が在って面白い。今年のものは、スッキリとして鋭く切れが良い。それぞれの良さを感じた。
「純米吟醸 ゆきの美人 山田錦 6号酵母 超辛」は、新酒は新酒らしいピチピチ感が楽しめ、1年熟成酒は大きな世界とシュワシュワ感の爽やかさがあり、それぞれに楽しめる酒で甲乙はつけ難い、恐らく造りが確りしているのだろう。


次の2本の東一も今年の(10)と去年の(11)の利き比べだ。
(10)
 東一 純米 山田錦 2019BY 202011月製造 五町田酒造 (佐賀)
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原料米 山田錦 精米歩合 64% 日本酒度 ±0 酸度 1.4

立香は乾いたような香り。甘い入り口。含み香も感じる。酸味+辛味+渋味の主張がある。
ぬる燗の提供があり、味わいが纏まっていた、燗向きのお酒だ。


(11)
 東一 純米 山田錦 2018BY 201911月製造 五町田酒造 (佐賀)
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原料米 山田錦 精米歩合 64% 日本酒度 ±0 酸度 1.4

立香は仄かであまり感じない。スッキリとした味わいで、主張を感じる今年の酒と比べ穏やかで飲み易い、1年の熟成の差が大きい酒だ。
この酒もぬる燗の提供があった。穏やかな味わいのふくらみが大きくなり、より良くなった。矢張り燗向きの酒だ。

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年の垂直利き比べは、自分の嗜好では1年熟成の去年のものに軍配を上げたい。


(12)
 玉川 純米 にごり酒 2019BY 木下酒造 (京都) 
麹米:五百万石(京都府、兵庫県) 掛米:コシヒカリ、他 精米歩合 6568% アルコール分 1717.9%
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年寝かせたものが、スポットで入荷したと説明があった、定番酒ではなく限定酒。
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にごり酒で、とろりとした舌触り、酸味と渋味を感じる、中盤まで味の主張が活発、だが後半スッキリと切れる。この味わいの変化は個性的で面白い、ジェットコースターか?

ぬる燗の提供があった。含み香は少し穏やかになるが味わいは変わらない。特に燗をする必要はなさそうだ。



<今日の贅沢・大吟醸 飲み比べ>

(13)
 若竹 おんななかせ 純米大吟醸 大村屋酒造場 (静岡)
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原料米: (麹米)山田錦 (掛米)五百万石  アルコール度:16 酒度:+3.0  酸度:1.3    精米歩合:50% 火入れ

立香は甘い香り。甘い入り口。ふくらみは大きくない。辛味があり、含み香はエチル系のものを感じる。味わいは純米大吟醸としてはやや細い感じだ。


(14)
 瀧自慢 純米大吟醸 瀧自慢酒造 (三重) 
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原料米:伊賀産三重山田錦100% 精米歩合:45% 日本酒度:+4.5 酸度:1.3 酵母:蔵内自家培養酵母 アルコール度数:16度

立香は吟醸香と言うより甘い香り。甘い入り口。スピードのある広がりがあり、ふくらみより切れに特徴があるが、一方世界の大きさは感じる。含み香は程良い吟醸香。
 大きさもあり切れも良い世界で(13)より印象が良かった。


(15)
 松の司 純米大吟醸35 渡船 2019BY 松瀬酒造 (滋賀)
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原料米 滋賀県竜王町産 渡船100% 精米歩合 35% アルコール分 16% 日本酒度 -4  酸度 1.2
酵母 自社酵母。

立香は仄かな吟醸香。甘い入り口。滑らかな舌触り。味はスッキリとしている。含み香も吟醸香。味のバランス良い。味の強い主張というより慎みのある味わい。後半、早目に切れる。独自の世界を持っていて、それを評価する人には魅力的な酒だ。



<熟・醇・ を飲む>

(16)
 清泉 純米吟醸 生酒 2018BY 久須美酒造 (新潟)
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原料米:五百万石・こしいぶき 精米歩合:55% 日本酒度:+3.0 酸度:1.5 アミノ酸:1.5 アルコール度:15%

(2)
の新酒とこの2年熟成酒との利き比べの趣向。
甘い入り口。とろりとした舌触り。含み香は吟醸香ではなく甘い香り。酸はふくらみが小さくなり、切れが良くなる。
新酒とは違った世界で、これはこれで良い味わいだ。


(17)
 玉川 自然仕込 純米酒(山廃)雄町 無濾過生原酒 201904月製造 木下酒造 (京都)
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米の品種 雄町(岡山県)精米歩合 66% アルコール分 1820.9%

立香は酸味を感じさせるもの+エチル系の香り。酸のふくらみ、辛味の押しがやってきて、活気のある世界。2018BYの造りとは思わせないフレッシュさを保持している。今も生き生きと躍動している味わいだ。玉川らしさが満ちている。

熟成酒らしさより今も生き生きしている味わいで、1年後の20204月製造の利き比べをしてみたいと思う。


(18)
 信濃鶴 純米 しぼりたて 無濾過生原酒 2017BY 長生社 (長野)
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使用米 / 美山錦 精米歩合 / 60% 日本酒度 / 非公開 酸度 / 非公開 alc度数 /1617%

立香は甘い香りが立つ。甘い入り口。酸の厚みがあり、ふくらみも大きい。後半渋味を感じる。
 しぼりたての生酒で、新酒の楽しむための酒で、熟成酒を想定した酒ではないが、特に老ねた香り・味はなく美味しくいただける、


【今日のお酒の感想】

(1)
清泉 純米吟醸の掛け米違いの飲み比べ
 酒米の飲み比べは主要酒米同士、例えば山田錦と雄町のお酒を比較することが多い。しかし、蔵も銘柄も違うことが多いので、最終の味わいが酒米だけの差だけではなく、蔵の造りや酵母や酒米以外の要素が違っていることが味わいの差になっていることは十分あり、飲み比べだけでは酒米の違いだけの差を取り出すことは難しい。

しかし、今日の清泉の利き比べは、蔵、スペック、造り、麹米は同じ、違うのは掛米だけ。掛米が食用米(こしいぶき)と酒米(五百万石)と違うだけなので、酒米を使用する意味を確認できる利き比べだ。

結果は、五百万石を使った夏子物語のふくらみのある味わいの大きさが違うことを実感できた。これは新しい発見だった。


(2)
玉川のお酒3
<乾杯>の玉川 純米吟醸 手つけず原酒 無濾過生原酒
<個性派純米>の玉川 純米 にごり酒 2019BY
<熟・醇・>の玉川 自然仕込 純米酒(山廃)雄町 無濾過生原酒

個人の嗜好は、ふくらみのある大きな味わいで、味の偏りが無くバランスが良い、穏やかに切れて、余韻が残るようなものに惹かれる。
 この嗜好からすると、玉川は味の主張が強く、厚みもあり迫ってくる味わいで、少し引いてしまう。

今日は、玉川の3酒を飲んで、玉川の良さを実感できたように感じた。
 3酒どれも、ダイナミックな味わいで、躍動感があり、しかも後半、スパッと切れるところは同じだ。

しかし、それぞれ個性があり同じ味わいではない。
・「手つけず」の味の粘り・持続は相当にしっこい、これは個性的だ。
・「純米にごり酒」は、にごり酒らしからぬ爽快感の世界で、ダイナミック・活発な味わいの中盤が終わると突然、スパッと切れる、余韻が漂うと言う世界とは異なる。ジェットコースターに乗っているようだ。
・「山廃雄町」は、2018BYの熟成酒だが、ダイナミック・活発な味わいは失っていない、その一方、味の荒々しさに落ち着き・滑らかさがあるように感じた。この酒が、最も玉川らしい酒ではないかと感じた。
 新酒で良し、囲って良しの世界で、へこたれない力強さを持っている。

(3)
ゆきの美人の秋田醸造
 今日は純米吟醸3酒が登場したが、それぞれ良い世界を持っていて、酒蔵の造りの良さを感じた。

・新酒しぼりたて
 純米吟醸は中途半端で何か物足りなさを感じる事が多いが、これは、吟醸香、透明感、ふくらみ、味のバランス、フレッシュ感があり、大吟醸クラスの品位を感じた。
・山田錦 超辛口の新酒と1年熟成酒
 スパークリングのようなシュワシュワ感があり、スカッと切れる爽快感の新酒。1年熟成は、シュワシュワ感を残しながらふくらみのある味わいが大きさを感じさせる。
それぞれ、個性的で面白い味わいだと思う。

乾杯酒は、1種類と相場は決まっている。
今日も乾杯酒は玉川手つけずだった。
だが、ふと思ったのは、乾杯を2種にしてゆきの美人山田錦超辛口でも乾杯できれば、面白いかも知れない。
どちらも爽快だが、味の濃い爽快とシュワシュワの爽快と違った爽快を味わうことが出来る。

4)今日の吟醸酒新酒しぼりたて(2)(6)は、どれも良かった。
特に(2)(3)(4)は吟醸酒らしい香り、広がり、透明感、味わいのバランス、切れの良さが揃っており、吟醸酒らしい世界を感じさせた。
 <今日の贅沢大吟醸>の松の司純米大吟35渡船は別格としても、他の2酒より吟醸酒らしいと感じた。





2020-12-20 (Sun)

2020/12/20 第364回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その3)

2020/12/20 第364回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その3)

いつもそうだが、お酒の利き比べと料理が同時並行で進行するので、忙しい。 お酒の印象を書きながら、料理をいただき、相性を考えながらお酒を利き比べる、終わらないうちに次のお酒、料理が登場すると、嬉しい悲鳴になる。【今日の料理】(お品書きがないので、料理の名前は勝手に書いたもの。)・あん肝と菜の花の柚子ジュレ掛け菜の花はサクサクとした食感で歯切れがよい。ジュレは柚子の香りと出汁の旨味が立つ。あん肝はホロ...

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いつもそうだが、お酒の利き比べと料理が同時並行で進行するので、忙しい。
 お酒の印象を書きながら、料理をいただき、相性を考えながらお酒を利き比べる、終わらないうちに次のお酒、料理が登場すると、嬉しい悲鳴になる。


【今日の料理】
(お品書きがないので、料理の名前は勝手に書いたもの。)

・あん肝と菜の花の柚子ジュレ掛け
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菜の花はサクサクとした食感で歯切れがよい。ジュレは柚子の香りと出汁の旨味が立つ。あん肝はホロホロとした食感で、ジュレの香りと旨味で魚の内臓を感じる臭いはなく、旨味だけが感じられる。上品なあん肝料理と感じた。


・鰆の炙りのお造り
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カウンターの上でバーナーで皮の部分だけを炙ってから、すぐ切って提供された。
口に入れると、たっぷりとした食感。脂が適度に乗っている、寒鰤ほどくどくはないが、もっちりとした食感を噛む内に鰆の旨味が口の中に広がる、魚の生臭さはなく、肉を食べているような感じもある。脂のトロリ感と肉のもっちり感の合体が食べ応えを生んでいる。

昔、この酒の会でお世話になった、今はなき「小料理 ざっぶん」で登場した、鰆の刺身を懐かしく思い出してしまった。
鰆は文字の通り春が旬と言われるが、実は秋以降のほうが脂が乗って美味しいのだ。鰆の刺身が美味しいことを初めて知ったのは、その時だ。


・お椀 シズと百合根の蒸し物、大根の合わせ 人参・ほうれん草・柚子の薬味添え
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左は大根、右は薬味の柚子、桂剥きの大根と人参。その舌の緑はほうれん草だろう。
その下の丸いのがシズと百合根の蒸し物。

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丸いシズと百合根を割ると中にふわふわとした卵白のような食感のものが見える。周りは魚のシズと百合根のザラリとした食感だが、その中はふんわりとトロトロの食感で、食感の変化を面白く楽しむことができる。

大根は中は大根の甘みを感じるが外側は出汁の旨味を感じる。
 出汁は穏やかで上品な旨味で、出汁自体が酒の肴になる。
椀は出汁もすべて味わえるからありがたい。


・メヒカリの甘酢南蛮 セロリ添え
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通称メヒカリ(目光)は正式にはアオメエソと言う名前だそうだ。水深200m以上の深いところにいる魚で白身だが脂が乗っている。

薄い衣で唐揚げにしてあり、じっくり揚げてあるので頭からすべて食べる事ができる。
 作り置きでないので、外側はカリッとした食感、噛むと白身の食感と旨味が口の中に広がる。魚臭さは全く感じない。
メヒカリの旨味だけを取り出している。見かけとは違い上品な味わいだ。


・鴨のローストと大根柚子味噌掛け、舞茸と里芋の唐揚げ
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鴨のローストは、市販されているものとは違い柔らかで肉汁たっぷり。噛むと鴨らしい旨味と癖が口の中に広がる、鴨はいつもは食べない人が、これは美味しいと話していた。

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鴨のローストの下は、大根の柚子味噌掛け。
柔らかく煮てある大根を味噌の旨味と香りが包み込む。

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舞茸と里芋は揚げてある。
舞茸は甘さを感じる垂れが掛けてあり、シャキシャキとした食感と舞茸の香り。

里芋は、表面はカリッとして、中はもっちりとしている。
一度煮て里芋の粘りが出た状態のものを揚げてあるのだろう。表面と中の食感の差が楽しい。


・連子鯛と摺り蓮根の蒸し物の合わせ
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摺った蓮根の滑らかな舌触り、連子鯛の柔らかな白身のさっぱりとした食感が穏やかで、品の良い味わいを感じさせる。
味とは別に食感の違いが楽しめる。


・春菊の炊き込みご飯とほうれん草の味噌汁
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ご飯はモチモチで口に入れると春菊の香りと薄いおこげの香りとが合体して、良い感じだ。春菊は炊きあがりに合わせて混ぜたものらしく、程良い春菊の食感が残っている。
 お米の仄かな甘味と出汁の旨味とお米のモチモチ食感と春菊の柔らかいが葉の食感と春菊の香りとが一緒になって美味しい。
 シンプルだが、美味しい。真似して自分で挑戦してみようと思った。

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糀味噌とほうれん草の味噌汁。ほうれん草は柔らかめ、味噌汁は豆味噌とは違って、さっぱりとしてお澄ましのような飲み口だった。


・ミルクプリン マンゴーソース載せ
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甘いマンゴーの香り。甘く滑らかなプリンの舌触り。
喉を通ると、ミルキーな余韻が漂う。
一匙毎にこれが繰り返される。


【料理の感想】

流石、楮グループの「minoてつめい」の料理は、楽しむことが出来た。
 鮪、鯛、鰤などよく登場する素材ではなく、個性的だが実は美味しい魚を技で楽しませてもらえた。
 味わいは勿論だが、焼く・炊く・揚げるの調理法を工夫し、素材の持つ食感を残す仕事の丁寧さを感じた。

此処は貸し切りができるので、他の客に影響を与えることも、影響されることもなく、宴が楽しめるので宴の会場としては最適だ。
 また、この店での宴が開催される機会を待ちたい。


【大抽選会】

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月の年忘れを兼ねたこの会は、毎回陶芸家M氏のご厚意で、同氏の作による盃をはじめ酒蔵グッズ他が当たる大抽選会が開催される。
 今回は、コロナの関係で出席を自重されたが、抽選会用の盃は提供されたとのことだった。

抽選の結果、情趣ある鼠志野のぐい呑が当たった。
M
氏の作品かもしれない。

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大抽選会も終わり、時計は15時、宴の終わる時が来た。


日曜日のこの会は終わってもまだ明るい。
例年なら、これから2次会、カラオケなどそれぞれ分かれて行くのだが、今年はコロナのため自粛が要請されている、皆さんその儘帰られたようだ。

岐阜駅に向かう途中に、幸先参りには少し早いが、金神社にお参りすることにした。

幹線道路を横断し、神社に近づくと楽団の楽器の音がした。
ライブでもやっているのだろうか。

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手水舎に行くと、今時の様になっていた。
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水盤には水が張られていない。龍神様の浄水は青竹に流されている。手を洗い、口をすすぎ、身を清めるものだから、今時は、この方法が理に適っている。

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お賽銭の後、二礼二拍一礼。
今日の感謝と祈念は一つ、コロナウイルス退散。

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今日は、本当に佳い日だった。






2019-05-08 (Wed)

2019/05/08 第347回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その1-1 出品酒)

2019/05/08 第347回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その1-1 出品酒)

今日の宴の柱は勿論日本酒だが、料理も素晴らしい。会場のてら田は予約ができないほどの人気店だ。運にも恵まれて、今日の会に参加できたのは幸運だった。てら田は岐阜駅前にあり、アクセスも極めて良い。改札を出て、回廊を渡り、道路の反対側の階段を降りれば、もう店の前に出る。周辺がシャッターが閉まっているので、夜になると暗い中に店が浮かぶ。店前の電飾案内看板には、「手酌割烹 てら田」と書かれている。昼はランチ営...

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今日の宴の柱は勿論日本酒だが、料理も素晴らしい。
会場のてら田は予約ができないほどの人気店だ。

運にも恵まれて、今日の会に参加できたのは幸運だった。


てら田は岐阜駅前にあり、アクセスも極めて良い。
改札を出て、回廊を渡り、道路の反対側の階段を降りれば、もう店の前に出る。


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周辺がシャッターが閉まっているので、夜になると暗い中に店が浮かぶ。

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店前の電飾案内看板には、「手酌割烹 てら田」と書かれている。

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昼はランチ営業も行われているそうだ。

今日の宴が20時半のスタートなのは、それまで別の団体が借り切っていたためで、貸し切りで使うのは大変な店なのだ。

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店は入口からカウンター席が奥まであり、対面厨房になっている。

開始時間前だが、もう参加者が着席している。

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 一番奥には座敷があり、グループで利用することも可能だ。

定刻20時半になり参加者も揃い、酒の中島屋店主の挨拶で、宴が始まった。

この会は、お酒は店主の企画したコーナー毎に、順を追って提供される。
 ブラインド評価ではなく、瓶ごと回されるので、ラベルを見て、スペックを見て利くことができる。

店主の企画は、受付時に渡される「利き酒メモ」に書かれている。
 今日の企画のコーナーの設定は、5つ。
<乾杯>
<夏のお酒>
<純米酒 飲み比べ>
<今日の贅沢・吟醸酒 飲み比べ>
<熟・醇・を飲む>

全部で16銘柄。
香り高い吟醸酒から旨酒、ピチピチの新酒から19年物の大古酒まで役者が揃っている。
幅の広い構成になっている。


【今日の出品酒】
以下、今日の出品酒の印象を記載するが、個人の嗜好に基づくもので、客観性はない事をお断りしておきたい。


<乾杯>
最初のコーナーは、会の開始を祝って、皆で一斉に乾杯。
酒の中島屋取扱の銘柄数多ある中で、登場したのは岐阜の小坂酒造場の百春。

(1)
百春 純米大吟醸 山田錦 直汲み仕込み24号 小阪酒造場 (岐阜)
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立香は吟醸香が立つ。甘い入り口。舌触りは丸い、含み香も吟醸香、透明感のある酸、中盤、中心にある辛味の固さが押しになっている。後半の切れ良い。


吟醸香の立つ吟醸酒らしい世界、綺麗だが中盤、中心に辛味の押しがあり、綺麗だけでない主張がある。乾杯酒として適性が高い。

精米歩合50%で、それ程削られては居ないが、中盤の渋味や雑味感はなく、辛味は押しになっていて、後半の切れも良く、造りの良さが感じられる。


<夏のお酒>
各蔵から夏向きのお酒が登場する時期に合わせ、3銘柄を飲み比べ。
四国徳島の芳水2銘柄と白岳仙。

(2)
芳水 暑氣拂 土用酒 吟醸生貯蔵 芳水酒造 (徳島)
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百春の後なので、吟醸酒なのだが立香はあまり感じない。丸い入り口、仄かな酸味。酸は広がらない、広がらず中に纏まる感じ。味に偏りがなくバランスが良いので食中酒として適性がありそうだ。



(3)
芳水 淡遠 純米吟醸生貯蔵 芳水酒造 (徳島)
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入り口はさっぱりとして、偏りのない印象。酸のふくらみは大きい。味のバランスは良い。後半、底に渋味があり、味を締めている。この酒も味のバランスが良いので食中酒の適性良いが、酸のふくらみがある分、単独でも楽しむことができる。


(2)
は醸造用アルコール添加の吟醸酒、(3)は純米。
精米歩合は、60555%しか違わないが、飲んだ印象はかなり違う。
 (3)の方が1升瓶で2800円と600円高いが、単独で飲んでもよく、食中酒でも良いので幅が広い。
(2)
もバランスが良いので食中酒として普段飲みならコスパが良い。
 いずれにしても四国らしいスッキリとした味わいだ。


(4)
白岳仙 純米吟醸 涼純辛口 安本酒造 (福井)
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立香はあまり感じない。甘い入り口。酸のふくらみは中程度、広がりも大きくはない。中盤以降、味わいの底に渋味を感じる。


白岳仙と知って飲むので、そう感じるかも知れないが、綺麗な透明感のある吟醸酒という白岳仙のイメージとは少し違う世界を感じた。

この酒は、ブラインドで飲めばまた別の印象になったかも知れないと思う。




2019-05-08 (Wed)

2019/05/08 第347回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その1-2 出品酒)

2019/05/08 第347回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その1-2 出品酒)

<純米酒 飲み比べ> このコーナーは、獺祭、明鏡止水、鯨波それぞれ2銘柄の利き比べ。 個人では、なかなかこうした利き比べはできない。 この会ならではの企画だ。 先ずは、獺祭の中心銘柄の利き比べ。 獺祭の中心銘柄、入り口と言える「純米大吟醸 磨き50」が今年3月末に廃盤となり、後継銘柄の「純米大吟醸 磨き45」に置き換えられた。 スペックは、火入れ、山田錦、アルコ...

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<純米酒 飲み比べ>
このコーナーは、獺祭、明鏡止水、鯨波それぞれ2銘柄の利き比べ。
個人では、なかなかこうした利き比べはできない。
この会ならではの企画だ。

先ずは、獺祭の中心銘柄の利き比べ。
獺祭の中心銘柄、入り口と言える「純米大吟醸 磨き50」が今年3月末に廃盤となり、後継銘柄の「純米大吟醸 磨き45」に置き換えられた。
スペックは、火入れ、山田錦、アルコール度数:16度、日本酒度:+3.0、酸度:1.5は変わっておらず、変わったのは精米歩合が50から455%減ったのみである。
この5%の差がどの程度なのか利き比べである。

(5)
獺祭 純米大吟醸 磨き50 旭酒造 (山口)
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立香は仄か、鼻に抜ける吟醸香ではないが、快い香りが漂う。。甘い入り口。酸は透明感あり、辛味もある。含み香は吟醸香、味のバランス良い。後半、軽い渋味が味を締める。


立香は百春のように立ち上がりはしないが、漂う感じが快い。含み香は吟醸香が感じられるが程良いもの。
味のバランスが良く、穏やかで品の良さを感じさせる。
代表銘柄らしい世界だ。


(6)
獺祭 純米大吟醸 磨き45 旭酒造 (山口)
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立香は吟醸香だが、何か香ばしさを感じる。入り口は軽く甘い。酸のふくらみは大きい、ふくらみの中に取り込まれる感じがし、スケールの大きさを感じる。中盤の渋味もなく後半の切れ良い。


舌触り丸く、大きな世界。食中酒でも単独でもいける万能選手だ。精米歩合5%の違いは大きい。

50と45の違いは精米歩合5%だけだが、この差は大きいと感じた。
違いはふくらみにある。45は口に含むと大きな透明な世界に入り込むように感じられる大きさがある。

筆者はふくらみのあるお酒が好きだが、この45は好みにピッタリの世界だった。


(7)
明鏡止水 垂氷 純米 山田錦 槽搾り 大澤酒造 (長野)
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立香はあまり感じない。甘い入り口。含み香は吟醸香のようなエチル香のようなもの。酸はふくらまない。中盤に辛味と渋味の押しが来る。肉に合わせる食中酒だろうか。


山田錦100%なのだが、前半から中盤のふくらみがあまり大きく感じられない。
山田錦の長所が活かしきれていない感じだ。


(8)
明鏡止水 ラビアンローズ 純米 大澤酒造 (長野)
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立香はあまり感じない。入り口は甘い。酸は滑らかでふくらみがある。含み香はエチル系の軽い香りが鼻に抜ける。


垂氷に比べると、中盤の滑らかさとふくらみあり、後半にかけての渋味もないので、ゆったりとした味わいで飲み易い。
ただ、含み香がエチル系なので好みではない。

La Vie en Rose
と書かれていると、エディット、ピアフを思い出してしまう。
ピアフ作詞のシャンソンの名曲だ。


確かに、この酒をワイングラスに注いで、心の通じる人と語り合えば、この酒の適性が感じられそうだが、酒だけで言えばやはり含み香が気になる。

久しぶりにピアフの歌を聴いてみた。

Edith Piaf - La Vie En Rose

https://youtu.be/BVsIs6URPw8

歌詞は以下のサイトで見ることができる。

「フランス文学と詩の世界」
https://poesie.hix05.com/Chanson/02la-vie.html



(9)
鯨波 純米吟醸 無濾過生原酒 恵那醸造 (岐阜)
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仄かな立香。甘い入り口。大きな酸に辛味のパンチがある。中盤、渋味も感じる。後半、辛味系の切れがある。酸のふくらみ、辛味、渋味のもたらす押しがあり、パンチがある。主張のある味わいだ。


無濾過生なので度数以上に活発な世界を持っている。
吟醸酒の世界というより味の豊かな純米酒の世界だ。
メリハリの効いた味わいが好きな人にお薦めだ。


(10)
鯨波 純米吟醸 袋吊り 恵那醸造 (岐阜)
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立香は、仄かな吟醸香。甘い入り口。酸は大きさは感じないが滑らかさがある。中盤以降辛味があり、押しを感じる。(9)より後半の切れが良い。


(9)
の後に飲むと、ややおとなしく感じるが、中盤の味の押しはあり主張はある。
後半の切れが良いので、単独でも食中酒でも適性がある。



<今日の贅沢・吟醸酒 飲み比べ>
定評のある大吟醸酒4銘柄の贅沢な飲み比べのコーナー。
これも個人では行えない飲み比べだ。

(11)
〆張鶴 吟醸 生貯蔵 宮尾酒造 (新潟)
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立香はハッキリとした吟醸香というより快く鼻に抜ける香り。甘い入り口。バランスの取れた味わい。酸のふくらみ大きい、味の偏りがなく、穏やかなおおらかさを感じさせる。

アルコール添加の吟醸にしてはふくらみが豊かで、柳腰というより豊満な吟醸酒だ。

ふくらみがあり、味の偏りがなくバランスの良い穏やかさがある味わいは好きな世界だ。


(12)
玉川 大吟醸 無濾過生原酒 木下酒造 (京都)
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立香はあまり感じない。甘い入り口。酸のふくらみ大きい。味わいの押し・主張があり、プレゼンスがある。

大吟醸のスッキリとした透明感のある切れの良い世界というより味わい豊かな押しのある純米酒の世界を感じる。

(11)
と同じ醸造用アルコール添加の大吟醸だが、味わいはかなり異なる。
活気のある味わいは生き生きとしていて無濾過生原酒が納得できる味わい。(9)鯨波の世界に近い印象だ。


(13)
正雪 純米大吟醸 天満月(あまみづき) 神沢川酒造(静岡)
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立香は軽く、甘い。甘い入り口。酸はふくらまず大きくはない。味の展開が早めに終わる。含み香にエチル系の香りを感じるのが静岡の酒らしい。


50%
精米の純米大吟醸だが、中盤のふくらみは大きくはなく、普通のイメージでは、この酒の方が大吟醸に近い世界だ。

個人の嗜好では、味の展開が少し忙しい、もう少しゆったり感が欲しい。
含み香もやや気になるが、静岡の酒なのでやむを得ない。


(14)
蓬莱泉 純米大吟醸生 関谷醸造 (愛知)
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立香は吟醸香だが、立ち過ぎず程良く快い。甘い入り口。味のバランス良い、五味が調和している。中盤以降の雑味は全く感じない。含み香はほのかな吟醸香。偏り無くバランスの良い格調のある佇まいで品位を感じる。

将来、空になる酒だが生の世界の方が良いかもと思わせる。

毎年再現性のある味わいで「空」をお客に届ける関谷醸造の力量を感じる。
香りも立ちすぎず、味も偏り無くバランスが良い安定感のある世界で飲み終わった後の納得感がある。

「空」は火入れ・一年熟成のお酒なので、生酒は「空」では無くなるが、なんとなく「空」の生酒と言ってみたい気がする味わいだ。



<熟・醇・を飲む>

(15)
笹一 純米吟醸 無濾過生酒 <20185月> 笹一酒造 (山梨)
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立香は吟醸香というより、甘い香り+αの個性的なもの。甘い入り口。シュワッとした発泡感が嘗てあったと思わせる名残を感じる。味は酸味と渋味の押しがある。含み香に吟醸香。中盤以降、五味の複雑な絡み合いがある。

ややこしい世界が好きな人には、興味深い複雑な世界を持っている。



(16)
蓬莱泉 春のことぶれ 純米大吟醸生 <20002月> 関谷醸造 (愛知)
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19
年物の生酒の純米大吟醸。なかなかお目にかかれない超熟成酒だ。

立香は老香ではなく、甘さと香ばしさの混合したもの、表現を変えると甘さ+干物の香り。
甘い入り口。含み香は立香と同じ。中盤、酸と辛味の押しがある。後半特に気になる後口、老香は感じない。

生酒の純米大吟醸の19年熟成酒というとイメージは浮かばない、?の世界だ。
こればっかりは、口に入れてみないと判らない。どうなるのかとの疑問は、飲んでみて氷解した。生酒の純米大吟醸の19年熟成酒の世界は在りだった。

酒の中島屋主催のこの宴では、とんでもない酒が登場する。
世の中には普通無いものが登場する事がある。
この酒もそうで、生の酒を19年熟成させる事は普通はしない。
なぜなら、生酒は酒質が変化しやすいために加熱処理をして変化を止めるのが火入れであり、生酒は早く飲むことを前提にした酒だからだ。
それに、人気銘柄である「春のことぶれ」を19年熟成させる必要性は全く無い。

この2つの常識を乗り越えた彼方に、この酒は存在する。




2019-05-08 (Wed)

2019/05/08 第347回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その2 料理)

2019/05/08 第347回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その2 料理)

手酌割烹 てら田の料理は、手間を惜しまず作られており、一品一品発見や驚きを感じさせるので、次が待ち遠しく感じられる。 (1) 前菜4種盛り 上: 稚鮎の南蛮酢 左: 牛乳の豆腐 中: さくらんぼ風甘味 右: 若鶏のつくね ・稚鮎の南蛮酢 魚の南蛮酢は、鯵や黍魚子のイメージがあるので、中骨はあるが揚げてあるので骨まで食べられると言うイ...

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手酌割烹 てら田の料理は、手間を惜しまず作られており、一品一品発見や驚きを感じさせるので、次が待ち遠しく感じられる。


(1)
前菜4種盛り
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上: 稚鮎の南蛮酢
左: 牛乳の豆腐
中: さくらんぼ風甘味
右: 若鶏のつくね

・稚鮎の南蛮酢
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魚の南蛮酢は、鯵や黍魚子のイメージがあるので、中骨はあるが揚げてあるので骨まで食べられると言うイメージが一般的だ。
その積りで口に入れたら驚かされた。鮎がトロリとして口の中で蕩ける感じ、骨の食感がまったくない。
揚げたものを、長くすに漬けてもこの触感にはならないと思う。
鮎の姿が型くずれしていないので、揚げたものを時間をかけて煮たものではないだろう。
考えられるのは、稚鮎を煮て骨まで柔らかくなったものを揚げれば、この食感になるかも知れない。
不思議さが味わいを豊かにする。

玉ねぎのシャリシャリとした食感。
柔らかい酢。
茗荷の香りと食感。



・牛乳の豆腐
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乗っているのは百合根だろうか。
ソースの説明を女性がしていたが、遠くて聞き取れなかった。

豆腐は、口の中に入れるとミルクの香りが漂う。
後で訊いてみると、チーズが隠し味になっているそうだ。



・さくらんぼ風甘味
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見たところはさくらんぼだが、口に入れるとネットリとした食感が滑らかに口に広がる。味は仄かに甘く、残り香にミルクの香りが漂う。



・若鶏のつくね
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口に入れるとホロリとした食感。
柔らかい筍の食感と若鶏の肉の取り合わせの食感が面白い。
甘く軽い切れの良いタレが後口も軽快にしている。



(2)
蟹身と蟹味噌の茶碗蒸し
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蓋を開けると上には蟹味噌のスープが浮かんでいる。
昨年は、蓋を開けるとシャーベット状のものが上に乗っていた、蟹の味噌スープを凍らせたものだった。下は普通に茶碗蒸しだった、冷たい上と温かい下の対比が面白かった。

今年は、利き酒と前菜の記録に忙しく、蓋を開けるのが遅くなったので、溶けてしまったのかも知れない。

茶碗蒸しは三層構造になっている。
一番上は、濃厚な蟹味噌のスープ(甲羅酒かも知れない)、で濃厚な味わい。
その下は、茶碗蒸しの玉子の滑らかな舌触り。
一番下は、蟹の身が敷かれている。

蟹味噌、玉子、蟹の身のそれぞれの層の味を楽しみながら、下に下がっていくと、蟹味噌と玉子と蟹の身が次第に混じり合い一体となって、味もカクテル状態になる。

茶碗蒸しの中の階層が味の階層を作り、階層が進み混じり合うに連れて、味も混じり合っていく面白い仕組みになってる。



3) 造里
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見た処、彩り野菜のサラダだが、よく見ると中心部は刺し身のサイコロになっている。
サラダではなく造里なのだろう。

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エンドウは甘くサクサクしている。
赤カブは甘く軽い味わい。

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刺し身は
サーモン トロリとした食感、後味にサーモンの香り。
マグロ サッパリとして、軽い味
白身 鯛だろうか



(4)
白エビのかき揚げ
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揚げ物は出来立てが勝負、酒は後にする。
顔を近づけると、香ばしい海老の香りが立っている。
海老を口の中に入れる。表面はカリッとした食感、噛んでいると海老の香ばしさが口の中に広がる、次に海老の身の甘味を感じる、最後に香ばしい皮の旨味と海老の甘味と旨味が一体化する。

食べ進むに連れて味が段階的に変化するのが面白い。


(5)
鰆の焼き物と青海苔の吸い物伽羅蕗寄せ
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伽羅蕗はカリカリ、シャキシャキの食感でピリリとした辛味が鼻に抜ける。
鰆はサクリとした食感で魚の生臭さは感じない、香ばしさと鰆の濃い旨味を感じる。
青海苔の吸い物は、海苔の香りが立ち、海苔の生の旨みがある。


(6)
じゃがいもと豚の三枚肉 筍添え
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じゃがいもの台の上に豚の三枚肉が乗りソースが掛けられている。
三枚肉は煮てあるが、脂と肉の食感がそれぞれ感じられる、ラフテーのような食感だ。トロリとした脂の舌触りと肉の味わい。
じゃがいもはほっこりとした食感とじゃがいもの風味。

筍の煮物と削り節は、筍は甘くシャキシャキとした食感の後、甘さと出汁の旨味。



7) 赤酢のお寿司と浅利味噌汁
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酢飯が赤酢で作られている、マグロ、白身、蟹の三種。

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浅蜊の味噌汁。
スッキリとして切れの良い出汁が浅蜊の旨味を引き出している。



(8)
甘味 杏仁豆腐 枸杞の実添え

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甘い入り口。トロリとしてふんわりとした舌触りの後、杏仁の甘い風味が口に広がる。



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最後の日本茶。
良い酒と美味しい料理を味わい続けた口と舌をサッパリと洗い、リセットしてくれる。

日本人は矢張り日本茶だ。





2019-05-08 (Wed)

2019/05/08 第347回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その3 感想)

2019/05/08 第347回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い (その3 感想)

最後に、まとめとして感想を書いて置きたい。 347回の驚異的な歴史を誇るこの宴「季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い」は毎回内容が充実している。 その中でも、今日は手応えのあった宴だった。 お酒も自分の嗜好にあったものがあり、人気店の「手酌割烹てら田」の料理も美味しく、人気店と言われる理由が判った。 ただ、内容が充実していたこの宴は、記事を書くのが大変だった。  記事は出品酒と料理に分けて書いて...

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最後に、まとめとして感想を書いて置きたい。

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回の驚異的な歴史を誇るこの宴「季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い」は毎回内容が充実している。

その中でも、今日は手応えのあった宴だった。
お酒も自分の嗜好にあったものがあり、人気店の「手酌割烹てら田」の料理も美味しく、人気店と言われる理由が判った。

ただ、内容が充実していたこの宴は、記事を書くのが大変だった。
 記事は出品酒と料理に分けて書いているが、実際はお酒と料理は同時並行的に登場する。
 作り置きの料理なら、後でまとめることも可能だが、てら田の料理は、コースになっており、温かいものは冷めない内に、冷たいものはだれない内に食べる必要がある。
 お酒を利き・料理をいただく、これだけでも忙しいが、記録を取り写真を撮る事が加わる、内容が無ければ記録も簡単に済ませられるが、今日はそうは行かない。

お酒、料理、記録の間を駆け回って、嬉しい悲鳴をあげた宴だった。


【お酒】
今日の出品酒16銘柄は、これは一寸と感じたものはなく、すべて良かったが、特に印象に残ったものは、次の4銘柄だ。

・獺祭 純米大吟醸 磨き45
 今年の4月から登場した代表銘柄の改訂版だが、磨き50とスペック上の違いは精米歩合が5%良くなっただけだが、利き比べた印象では%以上の良さが感じられた。
ふくらみがあり大きな世界はゆったりとした余韻を感じさせた。

この品質のお酒が、1.8L価格3,000(消費税込:3,240)であることを考えると驚かざるを得ない。


・〆張鶴 吟醸 生貯蔵
 この酒も味の偏りがなくバランスが良く、ふくらみがある大きな世界を感じさせる。獺祭45の方が吟醸香を感じさせるが、余韻のある快い香りがあり、よく似た世界と思った。

この酒も、1.8L価格2,960円(税込 3,197円)であり、獺祭同様コストパーフォーマンスが良い。


・蓬莱泉 純米大吟醸生
 人気の入手困難酒「空」の生酒とも言えるこの酒は、再現性のある造りを理念としている関谷醸造の力量を感じさせた。
 品位があり余韻が残る飲み口は、純米大吟醸の上級酒の世界を教えてくれる。


・蓬莱泉 春のことぶれ 純米大吟醸生 <20002月>
 今日最も刺激的であったと言えるのがこの酒。他の場所では飲めない酒だ。
 印象に書いた通り、生酒を19年間熟成させるというある意味暴挙の結果がこの酒を生んだのだが、口に含むと疑念は飛び去った。

 嫌な老香は無く、味もヘタレ感はなく酸の押しと辛味も感じさせ、生酒19年の熟成の味香をプレゼンスしていた。
 尤も、造りが良いからの結果であって、生酒19年熟成が常にこの味香になる保証は全く無い。


【料理】

てら田の料理の魅力を作り出しているものを、今日2つ感じた。

一つは、階層化。
もう一つは、時系列、時系列が事務的な表現で相応しく無ければ時の流れと言っても良い。

階層化は、蟹の茶碗蒸し。
見たところは判らないが、茶碗蒸しの中が階層化されている。
 一番上は蟹味噌のスープ、中が玉子の茶碗蒸し、下が蟹の身になっていて、食べ進んでいくと味が変わっていく。
 1個で3回楽しめる趣向だ。

これを、掻き回して食べる人もいるかも知れないが、それはてら田の趣向には合わないだろう。


時系列もしくは時の流れは、白エビの唐揚げ。
印象に書いた通り、
・最初は揚げたての白エビから立ち上がる香ばしい香り、
・口の中に入れるとカリッとした(パリッとした)皮の食感
・噛み始めると、海老の香ばしさが口の中に広がる
・次に海老の身の甘味を感じる
・最後には、香ばしい皮の旨味と海老の甘味と旨味が一体化し、大団円になる。

食べ進むに連れて、時の流れに従って香りと味が変って行って最後には一体化して味香の大合唱になるところ面白い。

料理は勿論香りと味と食感、舌触りだが、食べる人を驚かせ、楽しませる工夫・趣向も料理の醍醐味だ。
 てら田の人気は、その辺りにあるのではないかと感じた。

その後知ったことだが、てら田はミシュランにも掲載されたそうだ。


人気店てら田でのこの会の宴はおそらく年に1回だろう。
来年の企画が今から待ち遠しい。




2018-05-16 (Wed)

2018/05/16 第335回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い at てら田 (その1)

2018/05/16 第335回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い at てら田 (その1)

酒の中島屋主催の「季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い」に参加した。 30年近い歴史を持つ全国でも珍しい日本酒の会である。 日本酒の利き酒に加えて、今日のポイントは宴の場が「てら田」であることだ。 てら田は、なかなか予約も難しいほどの人気店だそうで、料理は料理割烹レベルのものが提供される。 中島屋店主のシナリオに沿った銘酒たちを利きながら、評判の料理を頂くこと...

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酒の中島屋主催の「季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い」に参加した。
30年近い歴史を持つ全国でも珍しい日本酒の会である。

日本酒の利き酒に加えて、今日のポイントは宴の場が「てら田」であることだ。
てら田は、なかなか予約も難しいほどの人気店だそうで、料理は料理割烹レベルのものが提供される。
中島屋店主のシナリオに沿った銘酒たちを利きながら、評判の料理を頂くことは至高の宴と言える。

今日初めて参加できることになったので心弾ませて岐阜へ向かった。

宴は午後8時開始なので、岐阜に着く頃にはもう日が暮れて、夜になっていた。

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岐阜駅に着いたら、先ずは信長公へ参上し、御意を得る。
太陽が沈んだ後の闇の中でも信長公は金色の光を放っておられる。


てら田は、交通至便である。
本当に駅から5分以内にある。
駅前の道路を渡れば、もう其処に店がある。

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店の前の看板行灯には、手酌割烹と書かれている。
酒を飲むには手酌に限る、それに合わせて割烹料理だから言い得て妙である。

初めての訪問なので店の様子は分からない。
扉を開けて入るともう多くの参加者が着席していた。
入り口右側にはカウンター席が置くまで有り。その右側が厨房になっている。一番奥には小上がりのスペースが有るようだ。

会費を払い、受付を済ませ利き酒メモを受け取り、指定された席に着座する。


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カウンター席の奥から、入り口方向を見た写真である。



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カウンターには、お猪口が3個用意されていた。
利き比べができるので有り難い。



【今日の出品酒】

中島屋店主が設定したコーナーは5つに分かれている。
一つのテーマではなく、色々な酒を多角的に利くことができるシナリオになっている。

<乾杯>
<夏のお酒>
<純米酒 飲み比べ>
<今日の贅沢 吟醸酒 飲み比べ>
<熟・醇・を飲む>



<乾杯>
中島屋店主の開会挨拶と音頭で今宵の宴に感謝して、全員で乾杯。
乾杯酒は鯨波。鯨波を造る恵那醸造は、平成29酒造年度全国新酒鑑評会に於いて金賞を受賞したばかりの蔵である。
(以下、利いた印象を記載するが、個人的な嗜好によるもので客観性はないことを、予めお断りする。)

(1)
鯨波 純米吟醸 袋吊り 生 恵那醸造(岐阜)
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立香は程良い吟香。甘い入り口。酸はふくらまず、スピード速い。辛味が追う。中盤、強くはないが辛・苦の押しがある。含み香も甘い。後口はピリ辛系。全体としては辛味が柱になっている世界。


次のコーナーの夏のお酒に入れても良い味わいだ。



<夏のお酒>
次のコーナーは、季節柄夏のお酒、6酒。

 (2)
芳水 暑氣拂 土用酒 吟醸生貯蔵 芳水酒造(徳島)
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芳水酒造の利き比べ2酒の1番目は、アルコール添加の吟醸酒。

立香は強くはない、軽く鼻に抜ける香り。甘い入り口、スッキリとした酸だが、丸く滑らかさを感じる。後半も苦・渋は浮かず切れが良い。

度数が13度~14度と軽目に造られている。
夏の軽やかさを狙った設計だろう。


(3)
芳水 淡遠 純米吟醸生貯蔵 芳水酒造(徳島)
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芳水酒造の2番目は、純米吟醸だ。


立香はあまり感じない、吟醸香ではないエチル系の香りが仄か。スッキリとした入り口で味のバランスが取れている、甘さは抑えられている。酸のふくらみは大きくはないが丸く滑らか。苦渋は浮かず、後半の切れが良い。
土用酒と同様、四国の酒らしくスッキリとした味わいだで後半の切れが良いが、中盤の丸み滑らかさもある。

この酒も度数が13度~14度と軽目に造られている。
吟醸酒と同様夏向けに軽ろやかに切れる飲みやすさを狙った設計だろう。

芳水2酒の利き比べでは、含み香の点で筆者の好みに近いと感じた。


(4)
玉川 アイスブレーカー 純米吟醸 無濾過生原酒 木下酒造(京都)
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夏の酒3酒目は、人気の玉川のアイスブレーカー。


 
甘い立香。甘い入り口。トロリとした舌触りがあり滑らか。酸はふくらみはなく、スピードが速く、辛味が押す。含み香が甘い。中盤、中心部に辛味と苦味の芯を感じる。後半の切れが良い、背景に辛味が持続している。

無濾過生原酒で度数1718と高く、辛味の押しのあるパンチのある味わい。
木下酒造も「とにかくロックで旨い。氷の溶け具合にしたがって温度とアルコール度数がエンドレスに変化し、それにともなう味の変化の楽しさもエンドレス。
Ice Breaker”は英語で「場や雰囲気を和らげるもの」の意味。」と説明しているので、辛味のパンチも割り負けしないための味わいと言える。


(5)
一念不動 特別純米 夏生 関谷醸造(愛知)
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立香はあまり感じない。甘い入り口でスッキリとしている。酸のふくらみあり。味の分離はなくバランスが良い。トロリとした舌触り。中盤以降も味のバランス良く、偏らない。穏やかでスッキリとした世界。ややおとなしいと感じるのは、アイスブレーカーの後だからかもしれない。


この酒も度数が14度と抑えてあるので、切れの良い夏向きの味わいをイメージした造りだ。
個人の好みにも近く、いい感じだった。


(6)
初緑 純米吟醸 夏純吟 奥飛騨酒造(岐阜)
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立香は甘い。甘い入り口。トロリとした舌触り。酸は滑らかで丸い。中盤辛味を感じるがふくらみは持続する。後半の癖はなく、切れが良い。


初緑の奥飛騨酒造も平成29酒造年度全国新酒鑑評会の金賞受賞蔵で、社名変更後も酒質が飛躍している蔵だ。


(7)
白岳仙 純米吟醸 涼純辛口 安本酒造(福井)
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立香はあまり感じない。甘い入り口の後、滑らかな舌触り。酸はすぐ終わり、辛味が押してくる、中心に集まり辛味の芯がある。辛味の主張があり味わいの柱が辛味になっている。辛口と辛い酒とは違うが、これは辛い酒で固い世界だ。

従来の、甘く透明な白岳仙の味わいとは違う世界だ。

この酒は、アイスブレーカーと同じ様にロックでも割り負けしない味わいを狙ったものだろう。



<純米酒 飲み比べ>

 (8)
明鏡止水 垂氷 純米 山田錦 槽搾り 大澤酒造(長野)
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甘い入り口。酸はふくらまない。口当たりは滑らか。ふくらみとか広がりは大きくなく、味の主張も強くないので、小さく纏まっている印象で世界が小さい。



(9)
美丈夫 弥太郎 純米吟醸 濱川商店(高知)
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立香はあまり感じない。甘い入り口。トロリとした舌触り。酸は広がりあり含み香は甘さを感じさせる。中盤辛味があり、後半にかけての切れが良い。

ふくらみ広がりがあり、大きさも感じられ味のバランスも癖がなく良い。

初めて飲んだ弥太郎だが、良かった。
四国の酒らしく、辛口でスッキリとした味わいで飲み飽きしない。

この酒は、地産にこだわった酒だそうで、酒米は高知県独自の酒造好適米「吟の夢」と高知県の開発酵母「CEL酵母」を使用している。

吟の夢は平成10年に誕生した高知県開発第一号の酒造好適米で、山田錦を母としており、山田錦の特性を受け継いでいるそうだ。
山田錦が好きな好きな筆者には、相性が良いのだろう。





2018-05-16 (Wed)

2018/05/16 第335回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い at てら田 (その2)

2018/05/16 第335回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い at てら田 (その2)

<今日の贅沢 吟醸酒 飲み比べ> 今日の贅沢は4酒。 (10) 蓬莱泉 はつなつの風 純米大吟醸生 関谷醸造(愛知) 立香は仄かに甘い。甘い入り口の後、酸はふくらまず、すぐ辛味が来る。パンチのある辛味の押しの後は切れる。メリハリのある味の展開で夏の酒としては理解はできるが、純米大吟の世界とは少し違い、無濾過生原の世界...

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<今日の贅沢 吟醸酒 飲み比べ>
今日の贅沢は4酒。

(10)
蓬莱泉 はつなつの風 純米大吟醸生 関谷醸造(愛知)
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立香は仄かに甘い。甘い入り口の後、酸はふくらまず、すぐ辛味が来る。パンチのある辛味の押しの後は切れる。メリハリのある味の展開で夏の酒としては理解はできるが、純米大吟の世界とは少し違い、無濾過生原の世界にいるような感じだ。



(11)
正雪 純米大吟醸 天満月(あまみづき) 神沢川酒造(静岡)
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立香はあまり感じない。スッキリとした入り口。甘さの後酸のふくらみあり。含み香にエチル系の香りを感じる。後半は辛味が来て、切れの良さを感じさせる。


静岡酵母の性格なのか、静岡の酒は含み香にエチル系の香りを感じることが多いが、この酒も静岡酵母かと思ったが自社培養酵母だそうだ。
含み香を除けば、好みの味わいなのだが。


(12)
七本鎗 純米大吟醸 冨田酒造(滋賀)
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立香は仄か。甘い入り口。酸のふくらみあり。味のバランスが良い。ふくらみ広がりがあり、大吟醸らしい世界。透明感は抜群ではないが適度にある。七本鎗は味の主張、濃さや厚みのあるイメージだが、この酒はオーソドックスな純米大吟醸の世界での技術を感じさせる。



(13)
清泉 亀の翁 純米大吟醸 三年熟成 久須美酒造(新潟)
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立香はあまり感じない。甘い入り口。酸のふくらみ大きい。トロリとした舌触りで滑らか。辛味が適度に味わいを締める。後半は、辛味が減衰して行き、切れが良い。滑らかな舌触りと大きさを感じさせるふくらみがあり、大吟醸の熟成酒のイメージ通りの大きな世界だ。


価格的に日常飲みできる酒ではないが、冷蔵庫に1本囲っておきたい酒だ。



<熟・醇・を飲む>

(15)
神亀 山廃純米 生酒 20132月製造 神亀酒造(埼玉)
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立香は老香と香ばしさの混合した印象。甘い入り口。酸のふくらみはあり。中盤辛味が来る。熟成期間5年だが、熟成はかなり進んでいる印象。

燗は試していないが、香りは予想がつかないが、味の展開は良さそうな気がする。


(16)
七本鎗 純米山田錦ひやおろし 平成2810月製造 冨田酒造(滋賀)
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立香は甘い。山田錦のせいか七本鎗にしてはゆとりのある酸だが、旨味の濃さは七本鎗らしい。熟成酒のコーナーだが、まだまだ活気のある世界で、もう2年位熟成させてみたい気がする。




<利き酒についての感想>
(1)
今日の主たるテーマであった夏の酒
日本酒も需要拡大の要請から様々なタイプの酒が供給されるようになっている。リキュールタイプのものが多いが、夏の酒も各蔵が新しい商品を出している。

従来のイメージでは、夏の酒と言えば「すず音」の様なシュワシュワの発泡感のあるシャンパンのようなものだが、今日の夏の酒はもう少し日本酒寄りの造りのものだった。

度数を13度~14度に下げて、軽くスッキリとした味わいで飲みやすいものと冷たくして飲むためにロック・水割りを想定している造りだ。

前者のタイプは芳水の2酒と一念不動だ。
滑らかな舌触りでバランス良く飲み易いので夏の料理に合わせやすい。このコンセプトは良いと思った。

後者のタイプは、辛味を柱にした味わいで、氷を加えても割り負けしないような味の設計だ。
其の儘では辛味が強すぎる印象だ。今日は氷・水は無しで飲んでいるので、結論は出せないが、筆者の場合ロック・水割りなら泡盛と言う選択肢があるので日本酒までそうしたいとは思わない。
コンセプトとしては、個人的には今ひとつだ。

(2)
良かった酒
筆者の嗜好に合った酒としては、味のバランスが良く偏りがない、ふくらみが有り透明感が有り、後半の切れが良いものだ。

芳水、一念不動、美丈夫、亀の翁が繊細なてら田の料理にも合うバランスの良さを持っていた。
美丈夫の弥太郎は、価格は高くないが素性の良さを感じた。亀の翁は、金賞を受賞する新酒ではないが、熟成酒の滑らかさと落ち着きがよく表現されていて良かった。毎日飲む酒ではないが、ハレの日には飲みたい酒だ。
日本酒の熟成酒のジャンルも次第に形成されていく筈だが、亀の翁は一つのタイプを示している。





2018-05-16 (Wed)

2018/05/16 第335回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い at てら田 (その3)

2018/05/16 第335回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い at てら田 (その3)

<今日の料理> 手酌割烹 てら田は、岐阜駅前の超人気店で予約がなかなか取れない店だそうだ。 以前から来たかった店だったが、来たことがなく、今回が初めてなので楽しみにしていた。 期待しすぎるとその反動で...ということもよくあることだが。 (以下、料理の感想を書くが、お品書きはなかったので料理の名前は筆者が勝手に書いたもの。 料理について、フ...

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<今日の料理>
手酌割烹 てら田は、岐阜駅前の超人気店で予約がなかなか取れない店だそうだ。
以前から来たかった店だったが、来たことがなく、今回が初めてなので楽しみにしていた。
期待しすぎるとその反動で...ということもよくあることだが。


(以下、料理の感想を書くが、お品書きはなかったので料理の名前は筆者が勝手に書いたもの。
料理について、フロアー担当の可愛子ちゃんから説明があったが、利き酒に忙しかったり、声が小さかったり、周囲の声にかき消されたりで全ては聞き取れなかった。間違いがあるかも知れない。)

(1)
先付け三点盛り
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最初から手のかかった前菜が登場した。
見ているだけで楽しい。
説明があったが、多くは聞き取れなかった。

・左上
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若鶏胸肉の青菜葛餡かけ。
彩り千切り大根添え。
葛餡は甘みのある旨い出汁で青菜のさっぱりとした食感。
鶏肉の旨味が口に広がると直ぐ味わいが消える切れの良さがある。これなら酒を選ばない。

・中の下
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豆腐状のもの: 牛乳の葛寄せ豆腐と木の芽。ツルリと滑らかな食感の後、ミルクの香りが漂い、木の芽が初夏の季節感を添える。
薄い褐色のかけ垂れは、何かわからなかったが、甘くトロリとしている、味噌ではないと思うが。

黄色いさくらんぼ状のもの: 見た処さくらんぼだが、何だろうと思って口に入れる、甘くねっとりとした舌触り、漸く南瓜と判る。遊び心の料理。

ピンクの色のある白いもの: よく判らないが、百合根だろうか、サクリとしてサッパリしている。

・中の上
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稚鮎の甘露煮。
見かけは柔らかそうだが、口に入れると確りとした食感がある。身と骨を噛み続けていると、甘い味に肉と骨の旨味が次第に濃くなり醤油の香ばしさと山椒の風味が絡まっていく。
姿は小さいが、味は濃く旨味は厚い。無濾過生原に良く合う。

・右
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蛤の料理だが、何かはみ出している。

上蓋を取ると見た処、揚げ物が乗せてあるように見える。
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中味を取り出そうとすると、外れない。乗せてあるのではなく、蛤と一緒に焼いてある。
箸で割れ目を作り、一部分を取り出し口の中に入れる。天ぷらの衣のように見えたのはチーズだった。
焼かれたチーズのもっちりとした食感と蛤の柔らかさ、チーズの香りと蛤の旨味の取り合わせが面白い。



(2)
海老と蟹味噌の茶碗蒸し
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運ばれてきた茶碗蒸し、蟹味噌が凍らせてあるので、溶け具合を試しながら食べてくださいというような説明があった。
熱い茶碗蒸しに凍らせた蟹味噌? 何!、聞いたことがない。

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蓋を取る。
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確かに凍らせたものが乗せられている。
蓋をかぶせて暫く様子を見る。

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再度蓋を取ると、上部は溶けて蟹味噌らしきものが浮いている。
匙で掬って口に入れると、ふんわりとした蟹味噌の旨味、蟹味噌は特有の癖があるのだが、これはそれがない。上品な旨味で癖がない、凍らせることによって蟹味噌の荒々しさを抑えて、旨味だけ取り出しているようだ。

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下の方には、普通の茶碗蒸しがある。
海老の身と玉子の旨味を感じる。

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上の方は蟹味噌の出汁のスペース、真ん中から下が茶碗蒸し。
蟹味噌と出汁の旨味、玉子のトロリとした食感と海老の風味がそれぞれ有り、混じり合う。

初めての経験だが、これは面白い趣向だ。



(3)
お造り四点盛り
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次に登場したのは、お造り四点盛り。
大きな皿に乗っていると思ったら、皿は平貝の貝殻だ。
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人を超える参加者の人数分揃えるのは、大変だが普通の皿で終わらず、客を驚かせる趣向がてら田にはある。

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飛騨牛の刺身のキャビア添え。
飛騨牛はねっとり柔らかくではなく、シャキシャキとした食感で肉の癖を感じさせないスッキリとした味わい。
極新鮮な肉なのか温度が低く設定してあるのか、肉が好きでない人もこれは大丈夫だ。

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肉を食べ終わると、下に隠れてたものがでてきた。
何だろうと口に入れると、湯葉の刺身だった。
とろりとした滑らかな食感と生湯葉の甘味。
サッパリしとして上品、吟醸酒に合う。

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刺身はカンパチ。
シコシコとした食感と甘味で生きの良さを感じる。
活き造りのような新鮮さだ。
ハマチのようなトロリ感はないが、新鮮なシコシコの刺身が好きな人にはたまらない。

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真ん中は高級食材の平貝の貝柱。
口に入れるとサクサクとした食感だが滑らかな舌触りもある。サラリとした味わいで仄かに甘い。ホタテのべたりとした甘さと違って、スッキリと切れる上品な旨味で人気が理解できる食材だ。

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白身の刺身に魚卵添え。
白身は鯛、魚卵はイクラにしては小さめなので鱒の子かもしれない。

口に入れると、これもシコシコした食感の後甘味、旨味と広がり展開していく。矢張りこれは鯛だろう。



(4)
揚げ物
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揚げ物が4個、天つゆではなく塩とレモンが添えられている。
油が切れるように吸い取り紙に乗せその下に網があり万全の油切がされている。
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説明が聞き取れなかったが、海老真丈と言う言葉だけ聞き取れた。

緑色のものから口に入れる。
見た処アスパラガスではない、菜の花かアオサか。
噛むとホックリとした食感で、中の方は軽くほろ苦い。
木の芽であることがわかったが、何の木かはわからない。
忙しい可愛子ちゃんに教えを請うとタラの芽だった。

左側の四角いものを口に入れると、とうもろこしだった。
粒のかき揚げかと思ったらそうではなくて、生のとうもろこしを下地についたまま削ぎ取って揚げてある。
カリカリとした衣の食感の後、生のコーンなので甘く、噛むとコーンの香りが口中に広がる。
かき揚げより強力だ。

丸いのが海老真丈。
山芋入りはんぺんのようにふんわりとした食感。
柔らかい海老の風味が軽く香る。

素材の味を活かした揚げ物には、レモンより塩の方が合った。



(5)
焼き物
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アルミホイールがラップされて出てきた。
中の様子はわからない。

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ラップを取り、アルミホイールを開くと、その中に朴葉が敷かれており、味噌焼きだった。

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葱の下には筍が有り、その下に鮭の切り身がある。その横に柔らかい緑色のものがある。何かと思い口に入れると、生麩だった。

朴葉味噌は、甘みのある味噌だが、赤味噌の厚いコクと焼いた香ばしい香りがある。

生麩はモッチリとしているがサクッと切れる食感で餅のような粘っこい食感ではなく、切れの良い食感。
生麩を噛んでいると、朴葉味噌の甘・辛・旨味が追い掛けてくる。

筍はカリカリとした食感で味噌をつけると甘さが立つ。

全体として朴葉みその香ばしい香りが楽しめる。

2018-05-16 (Wed)

2018/05/16 第335回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い at てら田 (その4)

2018/05/16 第335回 季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い at てら田 (その4)

(6) ローストビーフ 次はローストビーフ。 ソースが掛けられているのではなく、食べ方が選べるようになっている。 塩と山葵と左の器に入ったタレ。 飛騨牛のローストビーフ。 ローストの加減が丁度よい。 ローストビーフの下には焼茄子が敷かれていた。 薬味の塩と山葵。 ...

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(6)
ローストビーフ
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次はローストビーフ。
ソースが掛けられているのではなく、食べ方が選べるようになっている。
塩と山葵と左の器に入ったタレ。

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飛騨牛のローストビーフ。
ローストの加減が丁度よい。

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ローストビーフの下には焼茄子が敷かれていた。

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薬味の塩と山葵。

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ローストビーフを温かいつけダレにつけて食べるのは初めてなので、これを選択した。

ローストビーフをタレにくぐらせ口に入れる。
サッパリとした舌触りのローストビーフにトロリとした舌触りが加わり、コクのある旨味が加わり、終わりがけに牛肉の乳臭い含み香が口の中に感じられる。

このタレは脂濃さも感じるが一方サッパリとした切れの良い旨味もある。
ローストビーフは一般的に肉はアッサリとしているが、掛タレは煮汁とかソースとか味の濃いものが多いが、このタレは脂分の粘りをローストビーフに戻し、熱いタレの温度でローストビーフが柔らかくなり、旨味も感じる。
これも可愛子ちゃんに教えを請うた。一番出汁にバターを加え・薬味葱を入れてあるとのこと。
和洋折衷のタレだった。



(7)
握り寿司
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左から、鮪、鯛、平目。酢生姜。
いずれも新鮮な味、白身はシコシコとした食感で旨い。

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吸い物は、浅蜊の味噌汁。
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合わせ味噌の薄塩の味噌汁。浅蜊はプリリとした食感。



(8)
スイーツ
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杏仁豆腐枸杞の実添え。

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温かい緑茶。



<てら田の料理の感想>
(1)
初めて参加することが出来て、期待通り楽しむことが出来た。人気の店であることが理解できた。
料理は居酒屋を超え、値段は割烹より格段に安い。
看板の「手酌割烹」と言う文字は、言い得て妙だ。

(2)
料理一品一品が手を抜かず丁寧に作られ、器の工夫・味わい、料理の見映えもよく、今の表現で言えばインスタ映えする。
写真をとる価値、楽しみがある。

(3)
何これ!!と思わせる遊び心があり面白く楽しい。
全体としてはオーソドックスな和の会席料理で割烹の水準を楽しむことができる上に、処々驚きを感じさせる。
・かぼちゃのもどきサクランボ
・下に隠されていた生湯葉、焼茄子(発見の楽しみがある)
・凍らせた蟹味噌と茶碗蒸し
・とうもろこしのスライスの天ぷら
・ローストビーフのバター一番出汁しゃぶしゃぶ

など、意表をつかれる驚きが楽しい。



22
時半を過ぎ、帰る時刻が迫り、最後は特に慌ただしかったが、全体としても忙しかった。
15種類の銘酒をいただきながら、何が出てくるかわからない料理に驚かされながら、メモを取りながら、お話をしながらで、兎に角忙しかった。
忙しかったが、参加してよかった。

帰りの東海道線は、眠ったら帰れなくなる。
立った侭快い酔いに想いを任せている内に列車は名古屋に着いた。
だが、まだ安心しちゃぁいけない...






【データ】

<酒の中島屋>
岐阜県岐阜市吉野町1-1
TEL
058-262-2515
FAX
058-262-2892
E
メール nakashim@jeans.ocn.ne.jp
定休日 毎日曜日

営業時間 午前9時から午後8時まで
公式サイト
http://nakasimaya.sakura.ne.jp/



<手酌割烹 てら田>
 
岐阜県岐阜市吉野町5-14 丸安会館1F
  058-265-5377
 
営業時間

   
: 11:3014:00 (料理L.O. 13:30 ドリンクL.O. 13:3017:3023:00 (料理L.O. 22:30 ドリンクL.O. 22:30
火~木、祝日、祝前日: 17:3023:00 (料理L.O. 22:30 ドリンクL.O. 22:30
金、土: 17:30~翌0:00 (料理L.O. 23:30 ドリンクL.O. 23:30

 
定休日 日曜日
公式サイト
https://terada.owst.jp/

料理は記事の通りだが、日本酒も趣味が良い。
獺祭 梵 蓬莱泉(空)を飲むことができる。






2018-03-14 (Wed)

2018/03/14  第333回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その1)

2018/03/14  第333回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その1)

岐阜の酒の中島屋主催の宴に参加した。 今回は333回目ゾロ目の記念すべき回、次のゾロ目は111回後、10年位先になる。 会場は、楮グループのMINOてつめい。 開催時刻は、水曜日の夜8時から10時までだが、酒の中島屋店主の吟味された銘酒とMINOてつめいの創作料理のコラボレーションとなれば参加せざるを得ない価値がある。 岐阜駅を出て、徹明町まで歩く。 今までは日曜日...

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岐阜の酒の中島屋主催の宴に参加した。
今回は333回目ゾロ目の記念すべき回、次のゾロ目は111回後、10年位先になる。
会場は、楮グループのMINOてつめい。

開催時刻は、水曜日の夜8時から10時までだが、酒の中島屋店主の吟味された銘酒とMINOてつめいの創作料理のコラボレーションとなれば参加せざるを得ない価値がある。


岐阜駅を出て、徹明町まで歩く。
今までは日曜日の昼の開催が多かったが、今回は夜。

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お店の佇まいも夜の顔だ。


店に入り、会費を支払い、所定の席に着く。
今回は、総勢24名だったが、インフルエンザで2名欠席、22名の参加者になり、若い女性が多いとのことだ。

定刻の8時になり、中島屋店主から今日の宴の説明がある。3月は酒蔵の繁忙期のため蔵元の参加はない。
今日の出品酒につきコーナー毎の説明があり、乾杯、新酒、吟醸酒飲み比べ、30年ものの超古酒の飲み比べ。
今回の柱は2本で、新酒は酒米別にしぼりたてを飲み比べる。

熟成酒の方は新潟の久須美酒造出荷の30年ものの熟成酒「清泉 亀の翁 くらっしく」と酒の中島屋で冷蔵熟成させた「清泉 亀の翁」の飲み比べ。
こちらの方は、開栓してみなければ判らないリスキーな酒なので、承知の上利いてほしいとの説明があった。
出品酒リストを見ると、「清泉 亀の翁 純米大吟醸」33年の熟成酒と書かれている。これは大変な酒だ。


宴は、出品酒を順番に飲み、並行してMINOてつめいの料理が提供される。
利きながら、食べながらの進行なので忙しい。進行通り記事を書くと纏まりが無くなるので、お酒と料理は区分して書くことにする。

出品酒は、中島屋店主のシナリオに沿って、各コーナーが設定されており、順を追ってお酒が登場する。



<乾杯>
今日の乾杯酒は美丈夫
(1)
美丈夫 舞 純米大吟醸 うすにごり 濱川商店 (高知)
この酒米は松山三井。

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グラスに注ぐと中から泡が立ち上る。



https://youtu.be/hzk29Da2uc4


入り口甘い。柔らかく優しい発泡感で辛くはない。中盤からスッキリと切れる。含み香は甘いもので麹香もある。甘く柔らかい世界で、軽やか、乾杯の酒に適している。

この酒があれば、洋風のパーティーでもシャンパンはいらない。



<新酒しぼりたて生のお酒>
到着したばかりの新酒を、酒米別に飲み比べる趣向だそうだ。

(2)
美田 山廃純米 うすにごり生 みいの寿 (福岡)
この酒米は山田錦。

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グラスに注ぐと表面にヨーグルトのような澱が浮いている。

立ち香は甘いもの。甘い入り口。すぐ辛味があり切れの良さを感じさせる。次に酸味があるが透明感のあるもので切れが良い。後口は辛味系。


(3)
玉川 山廃純米 雄町 無濾過生原酒 木下酒造 (京都)
この酒米は雄町。

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立香は仄かに甘い、山廃だがそれらしい香りではない。先ずトロリとした舌触りを感じる。酸の膨らみが丸い、中心にある苦味と渋味を柔らかく包み込んでいる。含み香、味わいも山廃らしい癖の強さは感じない。丸く膨らみのある豊かな味わいの世界で、個性を感じる。雄町でこの様な膨らみを感じさせる造りができるのかと思わせた。
単独で飲んでも楽しいが、合わせる肴を探す楽しみがありそうな酒だ。

この酒は、周囲の女性に評判が良かった。


(4)
百歳 夜桜 漆黒 特別純米 無濾過生原酒 吉久保酒造 (茨城)
この酒米は常陸錦。

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甘い入り口。酸は膨らみがあるが、やや透明感が足りなく見通しが利かない印象。後半の展開は早目に終わり、押しは感じない。後半はやや寂しい感じ。全体として温和な世界、味の基調は苦・渋。


(5)
京ひな 深山 特別純米 直汲み生 酒六酒造 (愛媛)
この酒米は松山三井。

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立ち香は甘く、ふんわりと漂い快い。甘い入り口。まったりとした膨らみ、酸の丸みあり。中盤からの切れが良い、含み香は仄かな麹香を感じる。後半にかけて苦・渋は感じない、軽く締める程度で切れの良さを感じさせる。

京ひなはお気に入りの銘柄だが、この酒も豊かさが有り、切れもよく、京ひなの良さを再確認した。
周りの女性達も美味しいと評価していた。


(6)
白岳仙 純米大吟醸 限定商い 生 安本酒造 (福井)
この酒米は、吟のさと、五百万石。

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(会場で写真を取り忘れたので、ネット上から借用した。)

立香は甘い仄かな吟醸香。甘い入り口。切れの良さを感じさせる入り口で、酸はスッキリとして透明感がある。含み香も吟醸香だが立ちすぎず快い。中盤以降も切れがよく、有りがちな甘・苦の展開はなく、大吟醸らしい世界を持っている。

周りの女性の評判が良かった。



<今日の贅沢・吟醸酒 飲み比べ>

(7)
墨廼江 純米吟醸 八反錦 墨廼江酒造 (宮城)
この酒米は八反錦。

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立ち香甘い。甘い入り口。酸はあまり膨らまず、早目に終わる。後半は苦・渋があるが軽いもの。全体の印象としておとなしい世界。


(8)
四季桜 特別純米 宇都宮酒造 (栃木)
この酒米は美山錦。

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甘い立香。甘い入り口。スッキリとした酸だが膨らみもあり、透明感がある。後半、やや渋みが浮く。後半の切れが欲しい後口だ。


(9)
笹一 山廃純米 笹一酒造 (山梨)
この酒米は夢山水。

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立香は甘いもの。トロリとした舌触り、甘い入り口。酸は丸みがあるもので透明感もある。辛味、苦渋は上手くコントロールされていて、癖を感じさせない。終盤もスッキリとして切れる。従来の山廃らしさを感じさせない世界。




2018-03-14 (Wed)

2018/03/14  第333回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その2)

2018/03/14  第333回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その2)

<今日の贅沢・吟醸酒 飲み比べ> (10) 出羽桜 一路 純米大吟醸 出羽桜酒造 (山形) この酒米は山田錦。  立ち香、吟醸香高い。甘い入り口。含み香も吟醸香。酸は適度で切れが良い。底に軽い渋味が締める。吟醸香の含み香が長く続く、しつこいと感じる人もいそうだ。 (11) 清...

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<今日の贅沢・吟醸酒 飲み比べ>

(10)
出羽桜 一路 純米大吟醸 出羽桜酒造 (山形)
この酒米は山田錦。

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立ち香、吟醸香高い。甘い入り口。含み香も吟醸香。酸は適度で切れが良い。底に軽い渋味が締める。吟醸香の含み香が長く続く、しつこいと感じる人もいそうだ。


(11)
清泉 亀の翁 純米大吟醸 久須美酒造 (新潟)
この酒米は亀の尾。

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立ち香は仄か。甘い入り口。穏やかな含み香。酸のバランスが良い。味わいの偏りがなく、優しい味わいの世界。

この酒は、「清泉 亀の翁 純米大吟醸」の現行バージョンである。
出荷は今年20183月で最新、製造は20164月となっている。
ラベルで見ると、利いた印象が得心できる。
新酒にしては、穏やかな佇まいでバランスが良く、フレッシュだが味わいが暴れるといった新酒らしさがない。
穏やかな上品さの世界を持っている。


(12)
清泉 亀の翁 くらしっく 純米大吟醸 30年熟成酒 久須美酒造 (新潟)
この酒米は亀の尾。

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蔵元の久須美酒造が商品化した純米大吟醸の30年熟成酒。立香はエチル系の香りの中にかすかな老香。甘い入り口、含み香に老香を感じる。超古酒に期待するビロードもしくは絹の舌触りはあまり感じない。味わいは癖は感じないが、基調としては辛味系。残り香にも軽い老香をかんじる。

この酒は、久須美酒造が出荷した特別な酒で、355mlの容量で価格は、9,720円(税込)である。平成29年の出荷は限定600本。殆ど品切れで、入手不能、入手できてもプレミア価格で税込み16200円もする。

説明書きを「地酒の隠れ家 三清酒店」より転載させていただく。
『清泉 くらしっく30年熟成(穴蔵貯蔵)

亀の翁くらしっく01.jpgロバートパーカーポイント最高位を獲得した久須美酒造より、ワインのグランクリュヴィンテージに匹敵する日本酒史上かってない30年熟成酒が登場。その名は「亀の翁くらしっく」。当時専務であった久須美記廸(現会長)が昭和55年幻の酒米・亀の尾をロマンと執念の末ようやく見つけたわずか1500粒の種籾を2年の歳月をかけ昭和57年「純米大吟醸 亀の翁」を醸し“亀の翁伝説”が始まりました。生まれその後まもなく日本全土を席巻し一世を風靡した時に当時日本酒業界が全く考えもしなかった熟成を楽しむ時代が来ることを予見したて貴重な酒の一部を久須美酒造敷地の裏山にある深さ約25mの穴蔵に保管し大切に大切に寝かせ時が来るのを待ち続けついに今、日の元に登場、それはまさに唯一無二。

≪酒の履歴書≫

製造年度/昭和60年(1985年)極寒期 仕込み・製造・瓶詰め

精米歩合/50%(全量自家精米)

仕込み水/昭和60年 新潟県名水指定の自家湧水

アルコール度/16

熟成/穴蔵貯蔵20年 久須美酒造二代目・久須美作之助が明治時代に酒蔵裏山の水源林に掘った穴蔵   (深さ約25m

冷蔵庫貯蔵10年 久須美酒造三代目作之助が大正時代に建てた白壁欅づくりの蔵に設えた冷蔵庫

新瓶詰め替え/平成2810

容量・製品本数/355ml600

価格/9,720円(税込)

味わい/通常10年を過ぎる古酒は、色が茶色や赤っぽくなり、香りも老香を強く感じてしまうものですが、亀の翁30年熟成は黄金色でにごりもなく、スキッとしていて。高級ブランデーのような奥の深い得も言われぬ味わいです。冷蔵庫で管理し、飲むときは酒に眠る成分が花開く頃1213度位が適温。料理は和食はもちろんフレンチ、イタリアンでもお好み次第、食後酒でも合います。そして、何よりもこの酒を酌み交わしながらご自分のそしてご家族の30年間を振り返るのもまた味わいをさらに豊かにしてくれるでしょう。(久須美酒造七代目 久須美 賢和)

 
【店主より】本商品は、超希少につき当店入荷数も極小につき、ここでは商品紹介のみとさせていただいております。販売については当店規定によりますので直接当店にお問合せ下さい。
TEL 0257-22-3354
Mail sansei@eos.ocn.ne.jp

http://www.zizake-sansei.com/sake/kusumi/cat65/001324.html


<熟・醇・を飲む>

(13)
清泉 亀の翁 純米大吟醸 昭和60年製造 久須美酒造 (新潟)
この酒米は亀の尾。

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正面ラベルの上に清酒二級の表示がある。

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製造年月は昭和604月。
紛れもない33年超古酒である。

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酒の中島屋の冷蔵庫で33年の歳月ををかけ熟成した超古酒。立香は老香ではなく、香ばしい香り、敢えて言えば乾物系の香。甘くトロリとした舌触り。含み香もふんわりと香ばしいもので、老香ではない。舌触りはビロードの舌触りで、超古酒の世界がある。後半軽い辛味を感じる。残り香のほのかで、老香ではない。


(14)
天狗舞 石蔵 山廃純米吟醸生酒 平成17年製造 車多酒造 (石川)
この酒米は山田錦。

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立ち香は乾物系のもの。甘い入り口。酸は切れの良いもの。含み香有り。舌触りは良い。残り香まで乾物系の香りが続く、やや含み香が気になる感じもする。




<亀の翁 くらしっくと亀の翁昭和60年の印象>

冷蔵熟成30年を超える日本酒を利くことができるチャンスは滅多にない。
くらっしくもレア物で入手不可能であり、プレミア16200円個人的に飲むことはないだろうし、昭和60年ものはこの宴しか存在しないかもしれないし、その可能性は高いだろう。

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並べて利いた印象では、個人的には右の昭和60年の方が自分の嗜好に合った。
クラッシクは、立香は良いが、含み香に老香が感じられる。舌触りも超長期の熟成酒としては絹のような究極の舌触りまでは感じられなかった。
一方、昭和60年は、立香も含み香も老香はなく香ばしい香り。舌触りも、絹のような滑らかさを感じられた。
クラッシクは地下25mの穴蔵で熟成され、途中詰替えも行われているそうで、温度がやや高めになった時期があるのかもしれない。
昭和60年は、個別の瓶熟成で、冷蔵庫に33年間保管されてきたので、条件が一定していた効果かもしれない。

いずれにしても、30年を超える日本酒が今日2酒利くことができたのは、藤井六段の言葉を借りれば「僥倖」だった。
幸運に感謝する他はない。





2018-03-14 (Wed)

2018/03/14  第333回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その3)

2018/03/14  第333回季節の美味しさと日本酒を楽しむ集い(その3)

MINOてつめいの料理は、楮グループらしく、イメージした世界を持って、手を掛けて提供している。 ありふれた居酒屋料理とは違う、発見の楽しさを感じさせる。 ・鯛と分葱の梅味煎り酒浸し 煎り酒は、醤油が使われる前、室町時代から使われてきた調味料で、日本酒と梅干しを一緒に煮て造る調味料。 素材は鯛、分葱、梅干し(赤く見えるもの)...

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MINO
てつめいの料理は、楮グループらしく、イメージした世界を持って、手を掛けて提供している。
ありふれた居酒屋料理とは違う、発見の楽しさを感じさせる。


・鯛と分葱の梅味煎り酒浸し
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煎り酒は、醤油が使われる前、室町時代から使われてきた調味料で、日本酒と梅干しを一緒に煮て造る調味料。

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素材は鯛、分葱、梅干し(赤く見えるもの)、煎り胡麻。
日本酒の旨味に梅干しの味香を乗せた上品な味わいで鯛の刺身の上品さを邪魔しない。
分葱はヌタのようなトロリとした食感。
梅干しの実は上品さの中に塩味と梅の香でアクセントを付けている。
見た通りの綺麗な外観と上品な味わいが上手く調和している。



・蓬豆腐と白子の柚子風味のお椀
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葉に包まれているのが蓬豆腐。柚子が薬味として乗せられている。
蓬豆腐は胡麻豆腐のような食感で仄かな苦味があり、焼いてあるのか香ばしい香りを感じる。
白子はトロリと滑らかな食感。
出汁はトロリとした舌触りで、甘さの後ふんわりと旨味が口に広がる、美味しい出汁だ。
個性のある蓬豆腐と白子の味と食感をこの旨味のある出汁が纏めている。



・海老と芹のかき揚げ
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口元に寄せると海老の香りが立つ。
カリカリとした衣の食感、芹のパリパリとした食感の後、揚げすぎていない太目の海老の弾力のある食感が続き、海老の甘みと香りが口の中に広がる。
食材に合わせた揚げ方のチューニングが見事なかき揚げだ。




・里芋の海老味噌・このわた・西京味噌焼き
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蒸した里芋と天使海老を味噌で包み焼いてある。
里芋はネットリとした食感で口の中で滑らかに溶ける。
海老はサックリとした食感に甘みと旨味。
味噌は、海老の味噌と海鼠腸(このわた)と左京味噌を合わせたものだそうで、複雑な旨味を感じさせる。



・鴨肉と椎茸と蕗の薹の朴葉味噌焼き白髪ねぎ添え
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素材は鴨肉と厚みのある椎茸。
鴨肉はサクサクとした柔らかい食感で臭みはまったくない。朴葉味噌には蕗の薹の早春のほろ苦い味と香りが加わり、口の中に蕗の薹の香りが広がり春らしさを演出している。
椎茸は肉厚でシコシコとした椎茸の食感を味わうことができる、食べ終わると蜂蜜のような残り香を感じた。



・鯛と菜の花と大根の粕汁
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福井の銘酒加藤吉平商店の酒粕を用いた粕汁だそうだ。
鯛はホロリとした柔らかな食感と上品な味。
大根は酒粕の甘さとふんわりとした味わい
菜の花はサクサクとした食感で春を感じさせる。



・生海苔と焼きおにぎりの山葵茶漬け
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出汁は薄い塩味に旨味。生海苔の香りと旨味が加わる。
焼きおにぎりの香ばしさに山葵のピリリとしたアクセントと香りが加わる。
主役は生海苔で、最初から最後まで海苔の甘みと香りが持続する。



しぼりたての新酒からレアもものの銘酒まで幅広く日本酒を楽しむことができ、MINOてつめいの創意ある料理を楽しむことができた今宵の宴は最高だった。

またこの様な刻があれば嬉しいのだが。