コロナ感染騒ぎが始まって、夜、外で飲む機会は激減した。今日は、岐阜の酒の中島屋主催の酒宴が開催され、会場が人気店の手酌割烹てら田なので、一瞬悩んだが、参加申し込みをした。JR東海道線で岐阜駅に着く。以前は、機会のある都度、駅前の金色に輝く信長公に拝謁する習わしだったが、久しぶりに拝謁をお願いすることになった。18時を過ぎると夏近いとは言え、駅前には夜の帳が近づいていた。暗い中でも、信長公は燦然...
コロナ感染騒ぎが始まって、夜、外で飲む機会は激減した。
今日は、岐阜の酒の中島屋主催の酒宴が開催され、会場が人気店の手酌割烹てら田なので、一瞬悩んだが、参加申し込みをした。
JR東海道線で岐阜駅に着く。
以前は、機会のある都度、駅前の金色に輝く信長公に拝謁する習わしだったが、久しぶりに拝謁をお願いすることになった。
18時を過ぎると夏近いとは言え、駅前には夜の帳が近づいていた。
暗い中でも、信長公は燦然と輝いて居られる。
信長公もマスクで防御されておられるので、コロナなどに負けるものではない。
ご拝謁を終え、駅前の今日の宴の会場手酌割烹てら田さんに、向かった。
【今日のお酒】
この酒宴は、主催者の酒の中島屋店主のテーマによって出品酒がグループ化され登場する。
テーマに沿って、各銘柄を利き比べ、検討することが出来る。
そのシナリオは、受付時に配布される「利き酒メモ」に記載されているので、利き比べ中も、酒宴が終わった後もデータとして利用できる。
今日のテーマは、以下の通り、5つ。
お酒は、14銘柄になっている。
<乾杯>
・玉川アイスブレーカー純米吟醸無ろ過生原酒
<夏のお酒>
・芳水 土用酒 吟醸生貯蔵
・新亀 純米 ライト生酒
・白岳仙 夏虫 純米吟醸 生
・開運 涼々 特別純米
<個性派純米酒飲み比べ>
・鯨波 純米吟醸 袋吊り
・長珍 純米60 無濾過生原酒
・墨廼江 純米大吟醸 八反錦
・四季桜 純米吟醸
<今日の贅沢 吟醸酒 飲み比べ>
・日高見 純米吟醸 吟のいろは
・小左衛門 純米大吟醸 黒ラベル
・蓬莱泉 吟 純米大吟醸 限定生
<熟・醇を飲む>
・玉川 アイスブレーカー 純米吟醸 無濾過生原酒
2019年7月詰 冷蔵三年熟成
・手取川 大吟醸 全国新酒鑑評会入賞酒
2005年6月詰 詰後冷蔵12年熟成
今日の出品酒の勢ぞろい
(玉川アイスブレーカーの3年熟成を入れ忘れたので、13本になっている。
玉川のラベルは3年熟成も同じである。)
以下、出品酒の印象を記載しているが、個人の嗜好による印象なので、客観性はないことを予めご承知をお願いしたい。
<乾杯>
先ずは玉川で乾杯。
・玉川アイスブレーカー純米吟醸無ろ過生原酒
立香はフルーティーな香り。吟醸香というより甘い香り。 甘い入り口、酸は大きくは膨らまないが、滑らか。中盤、辛味のパンチがあり、この酒の主張を感じさせる。後半の切れ良い。ふんわりとした甘みの追いかけも感じる。
<夏のお酒>
・芳水 土用酒 吟醸生貯蔵
立香はあまり感じない。すっきりとした入口、とろりとした舌触り。酸は透明でなめらか、味わいの押し付けはなく、穏やかな味わいになっている。後半の切れ良い。食中酒として適性を持っている。
・新亀 純米 ライト生酒
立香はあまり感じない。 甘い入り口、味わいはバランスよく纏まっている。すっきりとした飲み口で、酸は広がりはないが、中程度の広がり、程の良さを感じさせる、バランスの良いのが身上と思われる。後口も良い、食中酒として幅広い料理に合いそうだ。
・白岳仙 夏虫 純米吟醸 生
立香はあまり感じない。トロリとした舌触り。なめらかな酸、透明感を感じる。味わいはすっきりとして切れも良い。
・開運 涼々 特別純米
立香は甘い香り、ほのかな香りだが、独自の個性を感じさせる香りのような気がする。甘い入口、トロリとした舌触り。酸は大きさを感じる。含み香は吟醸香が軽く漂う。後半、軽い渋味と辛味が味を締めている。
<個性派純米酒飲み比べ>
・鯨波 純米吟醸 袋吊り
立香は、軽くて甘い吟醸香。甘い入口。酸は中程度でなめらか、辛味が後を追い、味を締める。含み香も吟醸香。後半、苦味が味を締める。残り香も吟醸香の余韻。
・長珍 純米60 無濾過生原酒
立香はほのかに甘い香り。甘い入口、その後スーッとする酸を感じる、発泡感だろうか。中盤以降スッキリとして切れる。酸の切れの良さと爽やかな味わいが身上の酒。
・墨廼江 純米大吟醸 八反錦
立香りは軽く甘いもの。 甘い入口。トロリとしている滑らかな酸の後に軽い苦味を感じる。中盤やや重い感じがするが、味のバランスは良い。
・四季桜 純米吟醸
立香は甘い。 甘い入口、すぐ辛味が続き、やや重い感じの酸はすぐ終わり、広がりはあまり感じない。渋味と苦味が続く。中に集まる傾向があり、少し広がりが欲しい世界だ。
・日高見 純米吟醸 吟のいろは
立香は程良い吟醸香。上品な印象を感じさせる。甘い入口、酸は広がり過ぎず、その後辛味が押してくる。含み香は吟醸香。味のバランスは良い。後口は辛味系でピリリとした味わい。
ぬる燗:味わいが軽やかになるが大きくは変わらない。
・小左衛門 純米大吟醸 黒ラベル
立香は甘くスッキリとした香り。甘い入口。酸はトロリとして膨らみがある。含み香も吟醸香。上品さの中に押しも感じさせる。こだわりの世界を感じる。良いと言うか上級者向けの世界だと思う。
ぬる燗:立香は、吟醸香。甘く広がり、スーッと広がり消えて行く、上品さの中に切れの良さも感じる。
・蓬莱泉 吟 純米大吟醸 限定生
立香はほのかに甘い、明確な吟醸香は感じない。味わいはバランスが良く旨味を感じさせるもので確りとした世界を感じさせる。甘・酸・辛・苦・渋の味の主張に個性を感じさせるのではなく、味のバランスの中に旨味を感じさせる味わい。
<熟・醇を飲む>
・玉川 アイスブレーカー 純米吟醸 無濾過生原酒
2019年7月詰 冷蔵三年熟成
(この写真は、2021年のアイスブレーカーを表示している)
乾杯酒のアイスブレーカーと比べると香り、辛味のパンチが丸くなり、滑らかさが出るような印象だが活発な印象は新酒と大きくは変わらない。 冷蔵三年熟成だが、この酒もう少し寝かせた方が、より熟成する余力を持っている印象だ。
・手取川 大吟醸 全国新酒鑑評会入賞酒
2005年6月詰 詰後冷蔵12年熟成
12年の熟成酒だが、老香とかの嫌な香りは全くない。穏やかな快い香りを感じる。トロリとした舌触りで、熟成酒特有の肌理の細かさを感じる。含み香も老香等の香りは無い。
熟成酒の良さを感じさせる香りと味わいになっている。 日本酒も管理が良ければ長期熟成をさせる事が可能である事を感じさせる味香の実例と言える。
<出品酒 覚書>
・人気の玉川アイスブレーカー2021年と2019年の利き比べ
人気の玉川の印象は、香りが甘くフルーティーで、酸は滑らかで入りやすいが、その後中盤の辛味にパンチ力がありアイスブレーカーの存在感を感じさせる。
2019年の3年熟成も舌触りの滑らかさ、辛味の丸みなど熟成らしさも感じるが、まだまだ活発で、3年ではまだ熟度が足りない印象、5年、10年などのアイスブレーカーの熟成を利いてみたいと思う。
・夏の酒4酒は、玉川の後なので一層感じたのかもしれないが、味のバランス、味わいの穏やかさがあり、偏り・癖がないので、相手を選ばない食中酒としての適性を感じた。
どの酒も、様々な肴を邪魔すること無く、相手を引き立てる力を持っている印象だ。
白岳仙はこの処、香りを抑え味の主張を追求する方向性を感じていたが、今日の夏虫は主張し過ぎず、軽く綺麗に終わる印象を受けた。
・個性派純米酒4酒
鯨波袋吊りは、香りが好きな人にはお勧め、立香から含み香、残り香に至るまで吟醸香を楽しむことが出来る。
長珍純米60新聞紙は、久しぶりに飲んだが、良かった。開栓直後は、すーっと鼻に抜ける酸の発泡感のような爽やかさがあり、酸の切れもよく、爽快。時間の経過とともに、酸が落ち着き厚みを増し飲み応えが出る。
同じ酒で2度楽しむことが出来る楽しみが多い酒だ。
・吟醸酒3酒
日高見、小左衛門、蓬莱泉それぞれ、目指す所が異なるが、それぞれ所を得ていた。
日高見は、純米吟醸だが吟醸香、味のバランスが良く上品さを感じさせる。後口もピリッとして終わり、後口の演出が良い。価格を考えると、コストパーフォーマンスが良い。
小左衛門は、酒の中島屋さんでの扱いが一時無かったと思うが、今日の黒ラベルは良かった。立香、舌触り、膨らみ、含み香、切れなど上級酒の世界が提供されており、間違いのない酒だ。
蓬莱泉の吟は、人気の蓬莱泉の最上級酒。純米大吟醸なのだが、香り立つ吟醸香とか切れの良い爽やかさの世界ではなく、蔵で3年冷蔵熟成され出荷されている熟成の生酒なので味のバランス・厚み・密度に隙がない世界を実現している。
評価が難しい面もある。鯨波袋吊りの後に飲んだりすると、何これ香りが立たないじゃないのっといった印象になりかねない。飲む人を酒が選ぶ酒と言ったほうが良さそうだ。
・熟成酒2酒
玉川3年熟成については、先に書いた通り、まだまだ活発なので、もう少し寝かせてみたい。
手取川大吟醸12年熟成酒。これは、ここでしか味わえない一期一会のお酒と言って良い世界だった。
香りも熟成酒にありがちな老香とか刺激性の香りはなく、穏やかな快い立香が漂い、舌触りの肌理の細かさは12年の歳月が作り出すもので、日本酒にもビンテージの世界があることを理解できる貴重な酒だった。